「小太り」よりも「やせ」が危ない!? 低いほうが死亡率が上がる「BMIパラドックス」とは

コロナ禍での外出自粛などで、いま全国のシニアがフレイル(要介護の前の虚弱状態)の危機にあります。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢さんの著書『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA)より、自宅でできる感染予防や、要介護予防についてご紹介します。

pixta_66786443_S.jpg

「小太り」よりも「やせ」が危ない! フレイルを招く、やせすぎに要注意

低いほうが死亡率が上がるBMIパラドックス

新型コロナウイルスが気になって外出を控え、家に閉じこもって食べてばかり......。

思い当たる方は、BMIを計算してみましょう。

BMIとは、肥満か否かがわかる体格指標のこと。

日本ではBMI22が推奨されています。

もし、あなたが40~50代で、BMIが20~23なら、肥満の心配はないでしょう。

25以上だったら、ちょっと「メタボ」が気になるところ。

健康診断などでは、減量を勧められるかもしれません。

このように、一般的にはBMIが高くなると健康に影響が及ぶと考えられています。

ところが、フレイルが心配され始める65歳以上の高齢者の場合、「BMIが高いからよくない」とは一概にいえません。

65~79歳の日本人を11年間、追跡したら......
高齢者のやせ(低BMI)は総死亡率が高い!

28_01.jpg

その理由が、研究者の間で「BMIパラドックス」と呼ばれているグラフ。

65~79歳の日本人、およそ2万7000人のBMIと死亡率の関係を表したものです。

もっとも病気にかかりにくいとされるBMI20~23の人を基準に見てみましょう。

BMIがそれ以上の人、つまり太り気味の人は、従来の認識からすると死亡リスクが高くなるはずです。

それなのに、BMI23以上になっても、男性は死亡リスクがやや低くなり、高くなるのはBMI30を超えてようやく。

しかも、女性だけがやや高くなっているくらいです。

反対に、BMIが低くてやせている人はどうでしょうか。

BMI20を切った途端に死亡リスクが上がり始め、数値が低くなるほどにリスクが上昇......。

従来の認識とは逆のことが起こっていたのです。

だからパラドックス。

「逆説」「矛盾」と呼ばれています。

海外で行われた日本人を含まない65歳以上の高齢者、約20万人を対象にした調査にも、「いちばん死亡率が低かったのはBMI27台の人だった」というものがあります。

これらの調査から考えられるのは、「小太りぐらいのほうが健康で長生きする可能性が高い」ということ。

中年期から高齢期へ移行する際、メタボ予防一点張りだった考え方を大きく変える! フレイル予防には、これが必要です。

カンタンに計算できます
自分のBMIを知ろう

28_02.jpg

イラスト/中村知史

『今日からできるフレイル対策』記事リストはこちら!

71b6ze8LnIL.jpg要介護の手前の「フレイル」状態を防ぐために自宅でもできる健康法について、5章にわたって分かりやすく解説

 

飯島勝矢(いいじま・かつや)
東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授。医師、医学博士。フレイル(虚弱)予防のための大規模コホート研究およびシステムを構築し、なかでも市民フレイルサポーター主導型健康増進プログラム(通称フレイル・チェック)を推進している。

shoei.jpg

『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』

(飯島勝矢/KADOKAWA)

新型コロナによる外出自粛、人との接触制御という生活不活発によって全国のシニアが「フレイル」の危機、同時に感染症リスクが高まっています。「要介護の前の虚弱状態」であるフレイルには可逆性があり、早く気づいて生活習慣を見直すことで進行を食い止め、健康な状態に戻ることができます。自宅でもできる感染・要介護予防法を実行して、フレイルを防ぎながらwithコロナ時代を前向きに過ごしましょう。高齢の親と離れて暮らす家族も参考になる一冊です。

※この記事は『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(飯島勝矢/KADOKAWA)からの抜粋です。
PAGE TOP