「冷やす」「温める」ために湿布を貼るのはNG? 気軽に貼りがちな湿布の「正しい効果」と「使い方」

湿布に冷やす・温める効果はない

また、次にありがちな勘違いとしては「ねんざ部位を冷やすために冷湿布」や「寒いから温めるために温湿布」というものです。

冷湿布のひんやりとした冷感をもたらしているのはメントールです。つまり、実際に患部が冷却されているわけではなく、メントールの成分によってスースーする感覚を冷えていると感じているにすぎません。これは温湿布についても同様で、温湿布のぽかぽか感は、カプサイシンやノニル酸ワニリルアミド(合成トウガラシ)の刺激によって皮膚がぴりぴりする感覚を温かいと感じているだけで、実際に患部が温められているわけではありません。どちらも消炎鎮痛に関する有効成分は含有されているので、好きなほうを貼ればよいと筆者は考えます。

では、冷湿布や温湿布にその名のとおりの効果がないとすれば、湿布を貼りつつ患部を冷やしたり、温めたりしたいときはどうすればよいでしょうかという質問を受けることがあります。

非常に単純な話で、患部を冷やしたいときは湿布を貼った上から、氷を入れた袋や保冷剤などをタオルに包んで当てればよいですし、温める場合も湿布を貼った上から使い捨てカイロなどを低温やけどにならないように注意しながら当てましょう。

最後にありがちな間違いとして「剥がれてすぐダメになる(から大量にくれ)」という点について話します。

確かに湿布は粘着剤でただ貼り付けているだけなので摩擦などには強くはありませんが、ある程度貼り方に気をつけるだけで剥がれにくくすることはできます。湿布に限りませんが、正しい効果をもたらすために添付文書などに記載されている注意事項を必ず守るようにしましょう。

 

おると
整形外科専門医。診療にあたりながら、自身の転職経験をもとにしたブログ「フリドク」やX(旧Twitter)を2018年より開始。正しい医療をわかりやすく発信するスタイルや世間のネットニュースについての専門医目線での解説、ニセ医療解説などが大きな反響を呼び、現在12万人を超えるフォロワーを有する(2024年2月時点)

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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