コミュニケーション力がとても高い女性は共感力があるから孤独に強い/「孤独」を幸せに変える方法

2030年には「男性が3人に1人、女性が4人に1人」が生涯孤独時代を迎えると言われています。数値だけを見ると「孤独=不幸」が刷り込まれてしまいます。幸福学博士・前野隆司さんの著書『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』(アスコム)から、幸せな孤独を実現する方法をご紹介します。

【前回】たくさんの友だちより多様な友だちがいる方が幸せ。豊かに過ごせる/「孤独」を幸せに変える方法

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2 0 3 5 年には日本人の約4割が独り暮らし

日本では、独りで暮らす人たちが確実に増えてきています。

それは生涯未婚率や単身世帯数の推移を見てもよくわかります。

独り暮らしが孤独感をつくる大きな要因であることは間違いありません。

日本の生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚していない人の割合)が高くなり始めたのは、1990年代以降のことです。

2017年の『少子化社会対策白書』によると、

1980年 男性2・6% 女性が4・45%

2017年 男性23・37% 女性が14・6%。

さらに、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、

2030年 男性29・5% 女性22・5%。

つまり、男性は3人に1人、女性は4人に1人が生涯独身の時代を迎えるというわけです。

単身世帯数に関しては、1980年の総世帯数に占める割合は19・8%でしたが、2010年は32・4%、2035年には37・2%が独り暮らしになると推計されています。

人生の選択肢として結婚を選ばない人たちが増えてきているのは事実です。

経済的な問題もありますが、少子化でわかるように子どもを産むことに消極的な風潮もあります。

何のために結婚するのか。

それを男性も女性も自問自答するのが今の時代なのかもしれません。

特に、最近の女性はその思考が強くなっているようです。

婚活に励む女性が多く見られたのは、もう10~15年前の話。

最近は、独りでも楽しいという女性が増えてきています。

幸せな孤独を手に入れているのなら、それは素晴らしいことでもあります。

独り暮らしの人が孤独を感じやすくなるのは、ほかの人と接する機会が少なくなりやすい生活スタイルだからです。

たとえ独り暮らしでも、友人や隣人との付き合いが多い人は、孤独感を覚えることは少ないでしょう。

世界には、すでに日本を超える単身世帯数の国もあります。

ノルウェー、デンマーク、ドイツなどは、単身世帯数が4割近くに達しています。

それでも、孤独が社会問題化しないのは、友人や職場の同僚、あるいは隣人などと過ごす時間が非常に多い国だからです。

その点、日本は不安を抱かざるを得ません。

OECD(経済協力開発機構)が2005年に調査した結果を見ると、日本人では、友人や同僚など他人とほとんど付き合わない人の割合は15・3%でした。

平均の6・7%と比べて2倍以上の数字です。

ドイツ3・5%、アメリカ3・1%、オランダ2・0%と比べると、日本人の人付き合いの少なさがよくわかります。

特に男性ほど高齢になればなるほど孤独になりやすい

ただでさえ人付き合いが少ないのに、年齢とともにさらに少なくなるのが、定年後の男性たちです。

街中を見回してみてください。

集団で行動しているのはどんな人たちでしょうか。

学生や社会人、女性たちだと思います。

中高年以降の男性の集団を見かけることはほとんどないのではないでしょうか。

退職間近の男性の声を集めると、将来に不安を抱える人が多いようです。

「退職した後にやりたいことがわからない」

「仕事以外で、人とどう付き合えばいいのかわからない」

「趣味はあるが、新しい友人をつくる気になれない」

「無理をして人と付き合いたくない」......。

日本の男性は仕事に明け暮れた人が多く、退職後の人とのつながりに後ろ向きです。

何十年も働き続けてきたことを考えれば、「退職後は家でのんびり」と思ってしまうのはわかりますが、それが孤独の始まりでもあります。

どうして男性は外に行きたがらないのでしょうか。

家族がうまく連れ出して地域デビューする人もいるようですが、そこで邪魔をするのがプライドです。

自治会やサークル活動に参加したものの、「私は取締役でした」「私は○○という会社を経営していた」と、過去の名声をひけらかしてしまう人がいます。

口には出さないものの、自分は大企業の要職を務めた人間だからムダなおしゃべりや愛想笑いは性に合わないと、新たに人とつながるきっかけを自ら手放してしまうのです。

プライドは、本当に厄介なものです。

特に、終身雇用、年功序列という制度の中で着実に出世していき、部下を指揮するという権力を手に入れていった人は、そのプライドを実際よりも大きなものとしてとらえています。

カリフォルニア大学バークレー校のダッチャー・ケルトナー教授は長年の行動学の研究から「権力を持った人はそうではない人よりも無礼で、身勝手、そして非倫理的な行動をとりやすい」と結論づけています。

また、裕福な人はそうではない人より他人の感情を理解する共感力が低く、脱税といった非倫理的な行為も許されると思う人の割合が多かったそうです。

さらに、別の研究では、企業で権力を持つ人は職場でほかの人の話をさえぎる、会議中にほかの仕事をする、人に対して怒鳴る・侮辱する可能性が権力のない人の3倍だったという結果が出ています。

しかも、経済成長率の高かった以前の日本は、昇進するチャンスの多い社会でした。

実力以上に出世し、気づかないうちにプライドを膨らませて、部下に甘える体質が育っていた可能性があります。

そのため、定年後に参加したボランティア活動で、感謝してもらえないと拗ねたり、ひがんだり、恨んだりする人がいます。

ボランティア活動は対価のない奉仕です。

それでも自分の働きを認めてほしいと思いすぎるのは甘えといえるでしょう。

さらに、このプライドが強固な場合は、人とのつながりを難しくしてしまいます。

人との関係性を深めるために相手に寄り添い、共感して理解することを強固なプライドが邪魔をしてしまうからです。

だからといって、長い間、働いてきた中で強くなったプライドを簡単に捨てることができないのが日本の中高年の男性。

プライドを捨ててしまえばらくになるのに、とても不思議です。

男性と女性、どちらが孤独感に負けやすいのか?

世界的に見て、日本人は無口な人が多いと思われています。

沈黙を美徳とする文化があるからでしょう。

言葉数だけではなく、日本人は見知らぬ人と話すのがあまり得意ではない印象があります。

特に、東京などの都会では見知らぬ他人との垣根が非常に高くなりがちです。

面識のない人にいきなり話しかけるのは失礼だと思ってしまうからかもしれません。

これには家や職場という閉鎖的な内側と、それ以外の外側の壁が厚く、社交性の欠如を生んでいるという背景もあります。

特に、見知らぬ人には、極端に遠慮しているともいえます。

それを端的に表しているのが、尊敬語、謙譲語、丁寧語と相手との距離感に応じて3種類の敬語があることです。

そのような言語は、日本以外にあまり見かけません。

アメリカでは日常的に初めて会った人と話す機会があります。

電車の中でも、エレベーターの中でも、レストランでも何気ないきっかけでたわいのない話をしています。

それがきっかけで知り合いになる人もいます。

そういう点では、大阪の人はややアメリカ寄りの気質があるのかもしれません。

そのため、大阪から東京に転勤すると、東京の人が初めて会う人にあまり話しかけない姿を見て、カルチャーショックを受けることもあるようです。

ほかの多くの地域の人は、こんなことをしたら迷惑かもしれないと思う気持ちが強過ぎるのかもしれません。

この「迷惑かも」という思考が日本の社会を息苦しいものにしている原因のひとつといえるでしょう。

先ほど、日本の中高年以上の男性は孤独に弱いという話をしましたが、女性はどうでしょうか?

実は、日本に限らず、世界的に見て、女性のほうがコミュニケーション能力に長けているようです。

というのは、女性のほうが、共感力が高いからです。

コミュニケーションには、相手の感情を読み取りながら、感情に訴えていく共感力も求められます。

そのためには、言葉だけでなく、表情やしぐさなどからも感情を読み取る力が必要です。

その力は、女性のほうが強いようなのです。

イギリスの調査によると男性が相手の表情から感情を見極めようとするとき、脳に通常の2倍の負荷がかかり、オランダの実験では女性が男性ホルモンを投与されると人の感情を読み取りづらくなるという結果が出ています。

ただ、感情に対して鈍感であることは、戦いの場では強みになります。

人の感情を気にしていると大胆な決断ができないからです。

そういう場面では役に立つ特性だといえますが、人とつながろうとしているときには障害になるというわけです。

しかも、多くの男性はあまり感情を表に出すことはありません。

男ならちょっとのことで感情的になってならないという意識が強いからでしょうか。

一方で、女性は一般に感情をどんどん表現します。

その感情を察した女性は同じような言葉を使って、言葉のキャッチボールをくり返していきます。

実際、女性はよくしゃべります。

女性は1日平均2万語を話すといわれます。

男性は7000語。

単純計算で、女性は男性の3倍話していることになります。

もともと男性は、ムダなおしゃべりが苦手な人も多いようです。

目的もなく話すのが苦痛なのです。

しかし、多くの女性にとって、話す目的は必要ありません。

なぜなら、女性の雑談では多くの場合、話すこと自体が目的だからです。

そして、相手の感情を察しながらいとも簡単に共感という絆をつくっていきます。

その点、男性は一般に共感が苦手で、目的のない会話に苦痛を覚えるなど、会話をするうえでハンデを抱えているといえます。

それを乗り越えることができない男性は、結果的に孤独に陥りやすくなるわけです。

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全7章にわたって「幸せな孤独」の理由、仕組み、方法などをわかりやすく解説
 

前野隆司

幸福学の第一人者/キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授などを経て、現在は慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長。著書に『幸せのメカニズム』『幸せな職場の経営学』『99.9%は幸せの素人』(共著)など。

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『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』

(前野隆司/アスコム)

幸福学博士が提唱する幸せな孤独を実現する3つの要素「うけいれる」「ほめる」「らくになる」。日本の「孤独=不幸」には心の癖があるとし、幸せのメカニズムがわかりやすく解説。幸せな孤独なレッスンも記されたオススメの一冊。

※この記事は『「孤独」を幸せに変える方法』(前野隆司/アスコム)からの抜粋です。

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