会話が苦手で、どんな風に話していいか...。突破口を開きたいときは「相手の勝手なイメージ」を聞いてみる。

初めての人と話すのが苦手! 1対1で話すのが怖い! どうでもいい会話の対処がわからない! 最近は、スマホの普及によりそう感じている人が増えていると思います。元コミュ障のアナウンサー・吉田尚記さんは「会話のテクニックを覚えたらちょっと楽しいと思えるようになります」と言います。そこで、吉田さんの著書『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(吉田尚記/アスコム)より、日常生活の中でいろいろ使える会話術をお届けします。

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悩み どんなことをどんな風にしゃべればいいのかわからない

答え 心に浮かんだことを、そのまま言葉にしてみよう


しゃべるとは、心の描写だ

会話をシンプルに分解すると、「相手の話を聞く」と「自分がしゃべる」の2つになります。

もう少し細かくすると、「相手の様子や話を受けて次にしゃべるまでの準備」がその間に挟まります。

これをサッカーにたとえると、質問など相手に話をしてもらうためのきっかけはボールを渡す「パス」、「しゃべる」は自分でボールをキープする「ドリブル」になります。

「相づち・リアクション」は、相手からのボールを受けて自分でコントロールできるようにする「トラップ」ですね。

トラップがうまかったり、いいパスを出せたりするようになると、会話は弾んでいくわけです。

「質問=パス」は「しゃべる=ドリブル」よりも重要です。

あくまでもパスが基本。

いいパスを出すためにドリブルしなければならないときがあるだけです。

最近、「しゃべる」に関して重要な気づきがありました。

それは、「しゃべる=描写」であるということ。

会話におけるドリブルとは、描写だったんです。

これが「何をしゃべればいいのかわからない」「どうしゃべればいいのかわからない」「話題が広がらない」という悩みへの解決策でもあります。

描写とは、身の回りにある状況や、自分の目に映ったもの、心に浮かんだ考えを言葉にすることです。

余計なことを考えず、そのままを言葉にするというのがポイントです。

たとえば、会話が少しかみ合わなくなったとき、「ちょっと待って!今、変な感じになりましたよね?」ということさえも、描写といえます。

少し実例を見せましょう。

これは、サロンメンバーと私の実際の会話の一部です。

吉田アナ「ご出身はどちらなんですか?」

Aさん「××県の△△というところです」

→ここから、心に浮かんだことをどんどん描写する

吉田アナ「うーん、失礼ですけど僕は知らない地名です」

Aさん「もう、すごい田舎で、山の中の『限界集落』みたいなところです」

吉田アナ「おお、それなら星とかすごくきれいに見えそうですね」

Aさん「星はめちゃくちゃきれいです。まあ、星と温泉くらいしかありませんが......」

吉田アナ「いやいや、星空と温泉って、めちゃくちゃ素敵な組み合わせでしょ!?みなさん、お家も広そうですよね。逆にマンションなんてなさそうですね」

Aさん「マンションはないですね。大きな一軒家が点在していて」

吉田アナ「ということは、庭もびっくりするくらい広そう」

Aさん「余裕で野球ができますね。ピッチャーマウンド作れるくらい広いです」

吉田アナ「うわー、ぜいたくだなー。子どもの頃は、そこで友達とか兄弟とかと野球をしたんですか?」

この会話、最初に「ご出身はどちらですか?」という、誰にとっても答えに困らない質問をしたあとは、私は答えを受け取って、心に浮かんだイメージを言葉にしているだけなのがわかりますか?

それだけで会話がどんどん広がり、さらに情報が出てきています。

ただ描写を繰り返すだけで相手は気持ちがよくなって、話に乗ってきてくれるということに私は気づいてしまった。

ここからも武器を作りました。

【武器】頭に浮かんだ感情をそのまま言葉にしてみよう

【武器】「先入観」や「勝手なイメージ」をぶつけてみる

【武器】相手が話し始めるまで自分の体験や感情を細かく描写していく

質問者 感情が高まるとつい先走ってしまったり、食い気味に反応したり、相手の話にかぶせて話したりしてしまいます。

吉田アナ すごくわかります。でも、前のめりになったり、かぶったりしても罪ではないし、それはそれでいいと私は思うんです。

気まずいと感じているのは自分だけで、興味を示されている相手はむしろうれしいかもしれない。

それこそ、状況をそのまま描写して「食いついちゃいました、興奮しちゃって」といってみてもいい。

だいたい、かぶったぐらいで怒り出す人とは、そもそも仲良くなれないと思いません?

ただ、アナウンサーという職業の私としては、会話が重なるクロストークにはならないように注意しています。

リスナーやお客さんが聞き取りにくいし、後から編集できなくなってしまうので。

これは、「相手にかぶらない」と決めておくだけでできるようになります。

質問者 相手の会話にかぶらないように......、とタイミングを待ちすぎると、聞きたかった内容を忘れてしまうこともあります。

吉田アナ これは逆のパターンですよね。興味があったり聞きたいことが出てきたりしたけれど、待っているうちに話題を逃してしまうこと、確かにあります。

どうでもいい会話であれば別に逃しても気にしなくていいと思いますし、本当に聞きたいことであれば、私はその場で「メモ」を取るようにしています。


悩み 相手の口数が少なくて話がなかなか広がらない

武器 「先入観」や「勝手なイメージ」をぶつけてみる


相手がしゃべりにくそうなとき、即効性のあるテクニックです。

会話の糸口を見つけられないときは、勝手な先入観や決めつけをぶつけると、相手は否定しようとして、結果的にたくさん話してくれるようになります。

自分に置き換えてみても、事実とは違うことをいわれたら「いや...」と本当のことを話したくなりますよね。

決めつけるのに根拠はいりません。

ベタなこと、ステレオタイプ的なこと、ひと昔前の常識、とんちんかんなこと、めちゃくちゃな情報......何でもいいんです。

ちょっといい加減な感じでもいいでしょう。

コツとしては、プラスのイメージの勘違いをぶつけること。

「すごいお嬢様学校を卒業してるんじゃないですか?」とか。

△自分「どんな音楽がお好きですか?」

○自分「どんな音楽がお好きですか?なんか、ロックとかお好きそうですよね?」

○自分「どんな音楽がお好きですか?◎◎さんって、貴族みたいなイメージだからクラシックとか?」

自分「昨日の夜は何を食べました?」

相手「冷凍の焼きおにぎりです」

△自分「......そうですか。焼きおにぎり、おいしいですよね」

自分「昨日の夜は何を食べました?」

相手「冷凍の焼きおにぎりです」

○自分「あら!ってことは、最近お仕事が忙しいんですか?」

○自分「昨日の夜は何を食べました?うーん、当ててみましょうか。カレー?」

相手「冷凍の焼きおにぎりです!カレーは最近食べてないかも」

自分「外れた!カレー苦手ですか?」

《実践例1》

質問者 知人に当てずっぽうで「ご実家って○○でしたっけ?」と聞いたら、「そこはダンナの実家で......」と奇跡的につながって、そこからご主人ネタのカードをいろいろ引けて話が広がりました。

吉田アナ いい使い方ですね。罪のない先入観ですから、本当に適当でいいんです。人間は否定や訂正をしようとするとより詳しく話してくれるので、自動的にいい話のカードがドローしやすくなります。

また、この例のように、いい加減にいったつもりが偶然正解に近かったり、意外にも当たったりすることもあるので、それはそれで面白いですよね。

「えっ!? 今テキトーにいったのになんで当たったんだろう?」という正直な反応は、会話に和やかさを付け加えてくれます。

《実践例2》

質問者 知人と仕事の話をしていたとき、相手の「広報の仕事を担当している」という言葉を「『東北』の仕事」とナチュラルに聞き間違えてしまったんですが、かえって出身地や旅行の話、広報の地域ごとの違いの話などにつながり、会話が弾みました。

吉田アナ 聞き間違え、すごく良いですね! 地域の話なんかしていなかったのに、いきなり「東北」といわれたら、違和感アリアリなんで、当然相手から否定されますよね。

それを、テクニックとしてやってみてもいいぐらいです。

「わざと聞き間違えてみる」というのもひとつの有効な手段ですね。これは私も思いつきませんでした。

ただし、「偽装」とか「作られたウソ」は良くないので、本当に聞き間違えたり、曖昧にしか聞き取れなかったことを、恐れずに口に出すぐらいがいいと思います。

《実践例3》

質問者 ゲーム好きの同僚に、ネットで知ったあやふやなゲームの知識をぶつけてみました。実は自分の完全な誤解だったのですが、むしろそこから話が進んで、いろいろ知らないことを教えてもらえました。

吉田アナ 誤解で全然かまわないんです。「誤解しているかも......」と思って聞くのをためらってしまうほうがもったいない。

今は、仕事も遊びも趣味もものすごく細分化されています。ひと口にアニメが好き、ゲームが好きだといっても、自分一人ですべての情報をカバーしきれるわけもないんです。

ということは、あらゆるところで誤解が起きていて当たり前。そう考えれば、自分より詳しい人にこんなことを聞いたら失礼かな...なんて遠慮する必要も、誤解を怖がる必要もないんですよね。

【登場人物】
吉田アナ=吉田尚記 

※コミュ障は「コミュニケーション障害」の略称。本来、言語障害や語音障害など、医学的な診断基準に基づく疾患として分類されるもの。現在は一般的に「他人とコミュニケーションをとることが苦手であることを表す俗称」として使われることが多い

【まとめ読み】『会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』記事リスト

H1_話し方・聞き方の教科書.jpgキャリア20年のアナウンサーが自身の学んできた会話術を全4章にわたって紹介。心理学の研究者などの解説付き。

 

吉田尚記(よしだ・ひさのり)
ニッポン放送のアナウンサー。ラジオ番組のパーソナリティのほか、テレビ番組やイベントでの司会進行など幅広く活躍。またマンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、「マンガ大賞」発起人となるなどアナウンサーの枠にとらわれずに活動中。2012年に「第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞。著書も多数。

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元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書

(吉田尚記/アスコム)

自身も「コミュ障だった」と語る現役アナウンサーが「会話が苦手だ」と思う人のために書いた一冊。実際に「どんなことで困っているか?」をアンケートで集計し、その中から日常生活でコミュニケーションにしんどさを感じている人のために「会話の仕方」を具体的に説明してくれます。心理学の研究者などにもわかりやすく解説してもらい、一般人向けに会話術をやさしく教えてくれる良書です。

■『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』の紹介動画もチェック!

※この記事は『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(吉田尚記/アスコム)からの抜粋です。
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