念願のマイホームを購入したはいいけど...ついお金もかかるし、ほったらかしにしていませんか? 「家も人間と同じようにメンテナンスが必要です」。そう語るのは、家のアンチエイジング専門家・山下隆盛さんです。その山下さんの著書『あなたの持ち家が危ない』(アスコム)には、「自宅を補助金などを使って効率的にメンテナンスすることで結果的に老後の暮らしが豊かになる」などの家情報が満載です。そこで、その著書より「老朽化の原因」「外壁補修のタイミング」「リフォーム業者の選び方」などをご紹介します。
触って白い粉がついたら、外壁補修のタイミング
家を長持ちさせるためには、外壁と屋根のリフォームを、専門の会社に頼むことになります。
まずは、家への雨水浸入事故が最も多く起きている外壁のリフォームについて、どのようなことを行うのかを簡単に説明します。
その劣化状況にもよりますが、窓サッシ周りの外壁とのとり合い(重なっている)部分のシーリングと呼ばれている箇所や壁のひび割れの補修などに加え、外壁の塗り替えが主な内容です。
見た目をきれいにするのももちろんですが、塗装の塗膜(塗料が乾いて固まって膜状になったもの)には、雨や紫外線から建物を守るための重要な役割があります。
塗装がはがれてくると、雨水は外壁材から中へと染み込んでいき、それによって木材が腐り、家が劣化していくのです。
だからこそ、外壁の塗り替えは、家のアンチエイジングに、非常に大切な意味を持ちます。
しかも、長く住むのであれば、1回で終わりというわけにはいきません。
なぜなら、外壁と屋根は、建築部位の中でも特に日射や風雨などの影響を強く受けるため、時間の経過とともに劣化しやすいからです。
そのため、何度かのリフォームが必要になります。
外壁は、建築部材によって、リフォームのタイミングも方法も変わってきます。
外壁の建築部材、いわゆる「外壁材」は、大きく2つに分けられます。
1つは、水を使わずに施工できる「乾式材料」です。
代表的なものが、サイディングです。
今の新築木造住宅の9割で、このサイディングが使われています。
もう1つは、水などを混ぜ、それが乾かないうちに施工する「湿式材料」で、モルタルやコンクリート、伝統的な左官材料などが該当します。
ご自宅の外壁には、どちらの材料が使われていますか?
乾式材料、湿式材料でそれぞれ最も使われることが多い窯業系サイディング、モルタル塗りを例として、劣化の進み方の傾向を表にまとめました。
レベル1~2の段階では、美観を損ねるものの、壁としての機能、性能にまだ問題はありません。
早ければ新築から5年以内に、この状態まで劣化します。
試しに、ご自宅の外壁の表面を触ってみてください。
もし手に白い粉がつくようなら要注意、劣化はレベル3の状態まで進んでいます。
この白い粉は、防水や美装のための塗料が、雨水や日光の紫外線によって劣化し、粉状に分解されたものです。
新築または前の補修から10年ほどでこうした兆候が現れますが、そのまま放置すれば、水分が外壁材に直接触れて吸収されたり、日射を受けた水分が熱とともに湿気として内部に浸入したりして、壁の下地や構造材を傷めることもあります。
この段階になれば、年数に関係なく、塗り替えなどのメンテナンスを考え始める1つのきっかけにしてください。
レベル4まで劣化が進んだ場合には、塗膜がひび割れて、サイディングの基材やモルタル本体が水分を吸ってしまいます。
そして、水分を吸う、乾くというサイクルを繰り返すうちに、サイディングの基材は割れ、モルタル部分にはひびが入るのです。
こうなると、塗り替えるだけでは対応できず、より大がかりな補修が必要になる可能性が高くなります。
今、家の外壁を見てください。
レベル3以上の症状があれば、今すぐにでもリフォームを検討したほうがよいでしょう。
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「家を長持ちさせる」と経済的にも精神的にも豊かな人生を送れる理由が5章にわたって解説されています。