40~50代になって「老後の孤独」が頭をよぎるなら、「心の自立」が足りていないからかもしれません。そこで、「孤独との向き合い方が大切です」という心療内科医の反田克彦さんの著書『孤独を軽やかに生きるノート』(すばる舎)から、「無自覚の寂しさ」への対処法をご紹介します。
謙虚すぎるのはあなたの弱点です
拒絶される不安は、他者から自分の存在を否定される恐怖に直結しています。
そのため、極端にネガティブな考えや、誤ったとらえ方に走ってしまう人が多いです。
「孤独=魅力のない人間、誰からも顧みられない存在」というように。
これは偏った考え方です。
これがさらに進むと妄想に近くなります。
世の中には自分のことを肯定的に見る人と、否定的に見る人がいます。
何かにつけ自分を否定するのは歪んだ認知と言えます。
これを正すには、少々身贔屓に解釈をすることが大切です。
身贔屓な解釈とは、「自分に都合よく」考えることです。
自分勝手な感じがするかもしれませんが、いつも自分より他人を優先するような、謙虚すぎる考えが染みついている方の場合には、それくらいがちょうどいいのです。
あなたは、次のどちらのタイプにより近いでしょうか。
①自分を肯定的に見る人
自分が女性であるならば「女性のほうが人生で得をすると」考えるような人です。身贔屓な考え方とも言えます。こういうタイプの人は、何かに失敗しても、かえってそのほうがよかったと考えます。ポジティブな人とかメンタルが強い人はそうです。自分に自信があるので自分を否定しません。相手と違っているからといって、自分が間違っているわけではないからです。他人は他人、自分は自分ですからね。
②自分を否定的に見る人
他人の芝生のほうが青く見える人です。せっかく成功しても、偶然そうなっただけで、次には失敗すると考えます。いつも自分を低く評価しているので素直に喜べません。自分に自信がないので自分を否定しがちです。一人でランチを食べているときに、クラスメイトが大勢で食べているのを見ると、一人の自分は恥ずかしいと思うのです。
ネガティブな考えを書き換える
クリニックでは、ものごとをネガティブに考える患者さんに対して「自分に都合よく考える練習をしましょう」と言います(よくお勧めしているので、最近ではネガティブなことを考えると、僕の顔が頭に浮かんでくるようになったと言われます)。
下にお題を出していますので、ご自分に都合よく書き換えてみてください。
自分勝手な理屈でかまいません。
解答例もつけましたが、人それぞれの答えがあるはずです。
まず、自分がネガティブな考えをしていることに気づくことが重要です。
気づいたら「また悪いクセが出た。訂正しなきゃ」と自分に言い聞かせて、うまく変換していくクセをつけましょう。
だまされたと思って練習してください。
毎日続けていると必ず身につきます。
あなたの場合は?思い込みを自分に都合よく書き換えてみよう
【例題1】
思い込み:「仲間はずれにされていてつらい」
【例題2】
思い込み:「一人でいるのは友だちがいない寂しい人だ」
【例題3】
思い込み:「孤独な人は面白みがないに違いない」
【例題4】
思い込み:「私のことなんて、誰も受け入れてくれない」
【例題5】
思い込み:「この先もずっと失敗が続くに決まっている」
〈回答例〉
【例題1】
思い込み:「仲間はずれにされていてつらい」
書き換え:「自分が成長したから気が合わなくなっただけです」
【例題2】
思い込み:「一人でいるのは友だちがいない寂しい人だ」
書き換え:「群れずに行動できる人は強い人です」
【例題3】
思い込み:「孤独な人は面白みがないに違いない」
書き換え:「偉大な画家や音楽家や小説家で、孤独を好まない人は例外的です。孤独はイメージを羽ばたかせてくれるので、魅力的な人が多いのです」
【例題4】
思い込み:「私のことなんて、誰も受け入れてくれない」
書き換え:「誰でも何%かは孤独です。完璧を期待しなければ、受け入れてくれる人もいます。カップルだって、相手のすべてを受け入れているとは限りません」
【例題5】
思い込み:「この先もずっと失敗が続くに決まっている」
書き換え:「先のことは誰にもわかりません。前回うまくいかなくても今度は大丈夫。もしダメでも次があります」
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