「自由な心を持った60代」を迎えるために...私たちに必要な「自立」と「自律」

50代になると頭によぎる「終わり」の迎え方。人生の後半について、作詞家で作家の吉元由美さんは、「これからがクライマックス」と言います。今回は、著書『エレガントな終活』(大和書房)から、吉元さんが考える「50歳からの女性の生き方」のエッセンスをお届け。これからの人生が幸せになるヒントが散りばめられています。

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自立は「自分で引き受ける」ことから始まる

子どもが大きくなり、何かしたいと思ったとき。

それまで専業主婦だった人が自力でお金を得られるようになろうと決意したら、それは後半の人生の大きなテーマになります。

自由になるお金がほしい。

経済的に自立したいと願っている人は多いと思います。

もう一度チャレンジしたい人、将来的に夫と別れる準備として自立を目指す人もいるようです。

ある友人は、数年前に洋裁の腕を生かして小さなブランドを立ち上げ、展示会をし、受注販売を始めました。

リスクを最小限に抑えるためです。

徐々にビジネスとして軌道に乗り始め、いまは離婚後の経済的な自立を目指しているそうです。

自分の作品を通して生きてきた私は、歌が売れないこと、CDの売り上げが悪いことを嘆いても、それを社会の仕組みのせいにしていては一歩も進んでいくことはできません。

歌が売れないなら、自分の才能を別の場所で生かせないか考える。

もっとおもしろいことはないか考えながら三十五年仕事をしてきました。

苦しい気持ちになったときもありましたが、自分が精一杯書いた作品で勝負をしているのですから、どんな状況でも責任は自分にある。

そう決めると、たまに頭を抱えることはありますが、腹が立つことはありません。

赤ちゃんがハイハイを始め、自分で移動できるようになる。

そしてつかまり立ち、つたい歩きを始め、あるとき二本の足で立てるようになる。

よちよち歩きが始まり、一気に世界が広がり、喜びいっぱいで歩き始める。

これが最初の自立なのでしょう。

そして学業を終え仕事を始め、経済力を得る。

親に依存していた自分を卒業し、経済的に自立する。

さらに、ひとりで生活できるようになる。

それは、精神的、社会的な面で、誰の支配や助けもなしでものごとが行えるということです。

一方、自律とは、自分の立てた規範、考えに従って行動できるということ。

自分を律し、道を切り開いていけることです。

自分のしたことに最後まで責任を持つ。

これが自律の大きな柱です。

主体的に行動する自律と、自分自身を頼れるよう自立すること。

どんな状況であっても、どんな環境であっても、このふたつが本当の「自由」を創造するのです。

自分はどうしたいのか。

どんな自分になりたいのか。

どんな人生を送りたいのか。

そのためには何をするか。

自律とは、すべてを自分だけで独善的に決めて行うことではありません。

他人のアドバイスを聞き、協力を得て行動することも大切です。

それは依存することではなく、人との関わりの中で自分の意思決定をし、行動するということ。

それができて初めて、枠にもしばられず、敷かれたレールもない本当の自由を手にする生き方ができるのです。

自律しているということは、うまくいかなくなったときに他の何かの責任にせず、最善の解決方法を見つけ出せる力を持っているということです。

意に添わないと不平不満を言い、不具合なところばかりに目がいき、文句、愚痴の多い人は、果たして自律できているかどうか、自分を見つめなおしてみるといいでしょう。

心は自由な六十代を迎えたい

「女性は自立しているべきだし、男性が自分を幸せにしてくれるなんて、考えてないの」

アメリカの女優、キャメロン・ディアスの切れ味のいい言葉です。

このような意識を持ちながら、パートナーと共に、またはひとりで生きることができたら理想的です。

「究極のチャレンジは、独自のスタイルと魅力を確立することよ」

これはマドンナの言葉です。

いまの自分を知り、いまの自分の良さを表現していくことこそがチャレンジ。

マドンナ流の自律の定義なのでしょう。

パンチが効いています。

自律とは、自分の立てた規範、考えに従って行動できること。

後半生を豊かにするために、もう一歩、二歩、踏み込んだ自律を考えてみるのはどうでしょうか。

誰かが書いたシナリオにはない楽しみを自分で探してみる。

いままでは自分にはできないと思い込んでいたことにもチャレンジしてみる。

苦手な人と無理をして付き合うのをやめる。

必要のないものを手放す、身軽になると決めたら、どんどんものを手放していく。

年を重ねていけば、誰かに助けてもらうことが増えてきます。

多くの人にお世話になるでしょう。

肉体的に自立することはむずかしくなるかもしれませんが、自分はこうしたい、このようにしてほしい、という意思を伝えておくことが大切です。

それも自律なのです。

この人生は自分のもの。

自分の考え、意見、意思を持ち続け、行動する。

そんな理想を持って、身体はともかく心は自由に、六十代を迎えたい。

いまはそう考えています。

50代を迎えた全女性に贈る「エレガントな終活」記事リストを見る

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杏里、松田聖子、中山美穂などのアーティストに作詞を提供する著者が、50代の女性へ贈る幸福論です

 

吉元由美(よしもと・ゆみ)

1960年、東京都生まれ。作詞家、作家。洗足学園音楽大学客員教授、淑徳大学人文学部表現学科客員教授。成城大学文芸学部英文学科卒業。1984年、作詞家デビュー。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、石丸幹二、加山雄三ら多くのアーティストの作品を手掛ける。エッセイストとしても幅広く活動し、著書多数。

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『エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~』

(吉元由美/大和書房)

仕事、パートナー、老親、子どもとの関係が激変する女性の50歳。この先の人生に必要なことは、大切にしたいことを「取捨選択する」ことです。自分を愛し、より自由で幸せな女性になるために、50歳となった今からできる新しい「終活」を提案しています。

※この記事は『エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~』(吉元由美/大和書房)からの抜粋です。

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