人生の大転換期である「定年」。その後の暮らしが不安と言う方も少なくないでしょう。そんな人生の後半を楽しむためには、生活空間にあるあらゆるモノを点検し、先の人生を共にしたいモノを選び抜くことが重要だと「断捨離」の考案者・やましたひでこさんは言います。そこで、やましたさんの著書『定年後の断捨離~モノを減らして、愉快に生きる』(大和書房)から、「不要・不適・不快」を捨てて、「要・適・快」を招き入れられる「人生の断捨離」のヒントを連載形式でお届けします。
定年後の「衣」空間とは
ぎちぎちに詰まったクローゼットの前で、「今日、着る服がない」と悩む――。
これは、どこにでもある朝の光景といえるでしょう。
テレビの取材でお会いした78歳の男性も、そんな悩みを抱えていました。
にもかかわらず、いざ断捨離に踏みきろうとすると、こう言って手元に残しておこうとするのです。
「うん、これは着ようと思えば着られる」
その洋服を買ったときのことを思い出してみてください。
「着られる」から買ったわけではなく、「着たい」から買ったわけですよね。
洋服は、私たちを引き立ててくれるものです。
「着たい」と思って、一定期間着たら、洋服の「旬」は過ぎます。
人の心は常に移ろうものですし、世の中の流行も移ろうもの。
その洋服は十分に役目を果たしたのです。
私はその男性に、こう伝えました。
「着られるかどうかではなく、自分がカッコよく見える服を着てください」
自分がカッコよく見えるかどうかがわからなければ、一回着てみて、その姿を鏡に映したり街に出たりして、そこで判断したらいいのです。
そんな話をしているうち、彼はあっという間に7袋分の洋服を断捨離しました。
クローゼットをぎちぎちにしないために、ハンガーで洋服の総量規制をすることをオススメしています。
私は、交感神経の服(仕事用・仕事場に保管)、副交感神経の服(プライベート用・自宅に保管)と分け、それぞれ5着ずつを着まわしていますが、定年後であれば、それぞれ2着と6着にするなど、割合を変えてもいいでしょう。
数量を決めたら、ハンガーをそれ以上増やさないこと。
新しい服を買ってきたら、古い服とはさよならする。
いいえ、古い服とさよならしたら、新しい服を買う。
こうして新陳代謝することで、「着たい服」「カッコよく見える服」だけが気持ちよさそうに掛かっているクローゼットになります。
クローゼットの断捨離3ステップ
流行も気分も体型もどんどん「変化」していくようにクローゼットの中身もどんどん「変化」していくのが自然。
「着たい服」でワクワク過ごすために、この手順で。
【ステップ1】クローゼットを開け放ち、服をすべて水平面に出して俯瞰する。
↓
【ステップ2】カビが生えていたり傷んでいたりする服から手放していき、「今、着たい服」を意識して絞りこんでいく。
↓
【ステップ3】クローゼットは「見えない収納」のため、空間に対して7割以下の量を目安に。ハンガーで容量を決めて、それ以上増やさないと心に決め、「とり出しやすく、しまいやすく、美しく」を念頭に、「旬」の服を決めていく。
イラスト/福々ちえ
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