坂東眞理子さんからのメッセージ「我慢をやめることが自分らしくあることではない」

なんだかうまくいかないあなたに、ベストセラー作家・坂東眞理子さんが伝えたいことは「自分がどうありたいか」を真剣に考えた方がいいということ。今回は、坂東さんの新刊『「自分」を生きる~上手に生きるより潔く~』(あさ出版)から、生き方に迷ったときに道しるべとなる珠玉のメッセージをお届けします。

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「自分らしさ」はわがままだった

「自分らしく生きたい」という声を耳にすることが少なくありません。

自分らしく装いたい。

自分らしい暮らし方をしたい。

自分らしさを大事にできる仕事に就きたい。

自分らしさを大事にしてくれる人と結婚したい―、など。

そのたびに、新しい時代の新しい基準が広がってきたと、少しうれしい気持ちになります。

というのも、一般的な基準にとらわれることなく自分の好みや考え方を大切にしていきいといった「自分らしく生きる」自由を求めることは、ちょっと前の世代までは"わがまま"とされてきたからです。

かく言う私も、その価値感を引きずっています。

日本がまだ貧しかった時代、自分の好みを振り回すのではなく、与えられたものを受け入れ、与えられた義務を忍耐強く果たす。

自分のためよりも家族のため、職場のため、国のために行動する。

それが「期待される人間像」であり、目指さなくてはならない姿でした。

しかし、時代が変わり、日本が豊かな社会になったことで、まずモノの面で選択の幅が広がり、みんなが同じである必要がなくなり、個性を大事にするようになりました。

衣類、食べ物、様々な「もの・こと」の種類が増え、選択の幅が広がり、今では、個性的で人が真似のできない仕事や生き方をし、わがままとされてきたはずの「自分らしさ」を貫いている人が、魅力的な生き方をしているヒーロー、ヒロインとしてもてはやされ、あこがれられ、目指すべき姿と変わってきました。

大量生産の3枚1980円のTシャツより、デザイナーズブランドの限定生産で1枚5000円のTシャツを買い、個性的なモノやサービスを生み出す人の評価も所得も上昇しました。

「自分らしさ」にこだわり、追い求め、前面に押し出すことが、魅力的な生き方として称賛される、それが"今"という時代なのです。

我慢をやめることが自分らしくあることではない

その一方で現実には、周りの人に気を遣い、場の空気を読んで、その社会からはみ出さないように行動しなければと、ガマンしている人もたくさんいます。

個性を発揮するどころか、自分らしさを抑えて生きていかねばならない。

職場では上司や先輩、時には部下や後輩に気を遣い、家では夫や子ども、親の様子を見て、ママ友や近所の人々に嫌われないように上手に付き合う。

これまでは、それがまともな社会人として生きていくうえで当然とされていました。

しかし今や、その基準が揺らいでいます。

「自分らしく生きたい」から仕事を辞めました。

「自分らしく生きたい」から離婚しました。

「自分らしく生きたい」ので断捨離します。

といった声を聞くことが年々増えています。

今までずっと我慢し続けてきたけれど、もうやめる。

心身ともにスッキリするために、煩わしいことを断ち切る。

そして、「私らしく」生きる。

一見、毎日うじうじ悩んでいるよりかっこよく思えるかもしれません。

でも私は、少し違うのではないかと考えています。

「自分らしさ」を大事にするために、自分の好みでないものは我慢せず切り捨ててしまう行動が、前向きとは思えないからです。

そもそも好みでないもの、ことを切り捨てたからといって、そのあと残ったものが「自分らしさ」かというと、それは疑問です。

切り捨てたあとに何も残らないこともあります。

切り捨てるのは、あくまで何かしたいこと、するべきことがある時にすべきです。

何かするために捨てざるを得なくなるという環境を自分でつくり出すわけです。

「○○を、ぜひしたい。それには時間が必要だから仕事は辞める」

「△△を手にするために向かうべき明確な目標がわかった。だからほかは必要なくなった」

など、具体的にすべきことを見据えたうえで、できなくなったこと、いらないものを切り捨てる。

それが自分らしく生きるということです。

しっくりこない状態を切り捨てるだけでは、自分らしい生き方にはならないのです。

「自分らしさ」はつくり出すもの

「社会的役割」なんか演じたくない。それでは、「私らしくない」。

その一方で、今の仕事や生活に満足していない、つまらない、楽しくない。

ほかに自分らしい生活、仕事があるのではないか。

そんなふうに悩んでいるのなら、「自分らしさ」を発揮する仕事とは何か、どんな働き方をしたいのか、どんな生活をしたいのかを明確にするために、自分の希望を書き出してみましょう。

それがはっきりすれば、何を切り捨て、何を残すか、何に取り組むかの取捨選択の基準がはっきりします。

今の仕事や暮らしも我慢できるなら、もしくは自分で担えるなら、捨てないで持ち続けるというのも、一つの判断です。

「自分らしく」あるには、自分が何をしたいのか、明らかにすることが、最初のステップとも言えるでしょう。

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092-H1-zibunwoikiru+.jpgベストセラー作家が伝えたい、自分を大切にして生きるための36のメッセージがつづられています

 

坂東眞理子(ばんどう・まりこ)

富山県生まれ。昭和女子大学理事長・総長。東京大学卒業後、69年に総理府入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事などを経て、98年、総領事(オーストラリア・ブリスベン)になる。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め退官。04年に昭和女子大学教授、同大学女性文化研究所長。07年に同大学学長、14年から理事長、16年から現職。330万部を超える大ベストセラーになった『女性の品格』(PHP研究所)、『70歳のたしなみ』(小学館)ほか著書多数。

092-H1-zibunwoikiru++.jpg『「自分」を生きる~上手に生きるより潔く~』(坂東眞理子/あさ出版)

「女性」について深く考察してきた著者が、自分を大切する方法や、人生を積極的に生きるヒントを教えてくれます。落ち込んでいたり、ふさぎ込んでいる気持ちが明るくなり、なりたい自分になれる言葉がたくさん詰まった一冊です。

※この記事は『「自分」を生きる~上手に生きるより潔く~』(坂東眞理子/あさ出版)からの抜粋です。

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