年金や老後の蓄えなど、年を重ねるほどに重くなっていくのが「お金」の問題。不安を解消するための手段の一つとして「投資」も考えると思いますが、なかなか始められない方も多いのではないでしょうか。そこで、1万人以上の赤字家計を救ってきた家計コンサルタント・横山光昭さんの著書『貯蓄感覚でできる 3000円投資生活 DELUXE』(アスコム)から、初心者が覚えておきたい「投資の準備と心得」のヒントをお届けします。著者が提唱する「月々3000円投資術」を始める前に、まずは投資の基本を押さえましょう。
3000円投資生活を始めたら、できるだけ手間をかけない
3000円投資生活を成功させ、みなさんの資産を確実に増やしていくために、ぜひ守っていただきたいことをお伝えしたいと思います。
私は今まで、2万3000人を超える方から家計に関するお話を伺い、相談を受けてきました。
その中には、3000円投資生活を始められた方もたくさんいらっしゃいますが、着実に資産を増やしている方もいれば、残念ながら途中で挫折してしまった方もいます。
その分岐点は、いったいどこにあるのでしょうか?
それぞれの投資の仕方を見てわかったのは、「価格の上がり下がりに一喜一憂してはいけない」ということです。
自分が持っている投資信託や株式の価値が上がると、すぐに売ってしまったり、ちょっと価値が下がると、慌てて損切りしたり、別の銘柄の株を買い足したりする人は少なくありません。
しかし、値上がりした株を急いで売って、一時的に利益を得たものの、あるいは損切りしてはみたものの、あとで「あのとき売らなければよかった」と後悔することも多いのです。
特に積立投資信託は、最初の数年間で得られる利益はとても小さいものです。
長期で利益をコツコツと増やす方法であることを忘れないでください。
「一時的な価格の変動に振り回されない」というのが、投資を成功させるポイントの一つだと、私は思います。
3000円投資生活の場合は、積立の設定をしたら、あとは基本的に、ほったらかし。
投資信託は、プロのファンドマネジャーが経済状況や社会の動きを見て運用してくれていますから、あとは気が向いたときだけ、証券会社から定期的に送られてくる取引報告書に目を通せばOKです。
実は私も、過去に、いろいろと苦い経験をしています。
かつて、日本の個別株に投資したときのことです。
株価は刻々と変わります。
私は、自分が買った株の値動きが気になって仕方がなく、株式市場が開いている昼間に、仕事の合間を見てチェックするようになりました。
それはどんどんエスカレートし、ついには株価チェックの合間に仕事をするような状態に。
まさに本末転倒です。当然、仕事は手につきません。
ところが、それだけ熱心に取り組んでいたにもかかわらず、あるとき、私が選んだ銘柄が、市場全体の下落に引きずられ、一気に値下がりしてしまいました。
「あんなに時間と労力を割いたのに......」「一生懸命分析し、市場がどうなろうとダメージを受けないよう、手を打っていたつもりなのに......」と、私は大きなショックを受けました。
投資は、手間をかけたからといって、100%うまくいくとは限りませんし、頻繁に売買を繰り返せば、その分手数料もかかります。
また、一時的な値上がりや値下がりに一喜一憂するのは、時間とエネルギーのムダでもあります。
投資は本来、長期的な視野に立ち、「お金に勝手に増えてもらう」くらいの気持ちで取り組むべきものだと、私は思います。
「20年間は続ける」「50万円になるまでは続ける」など、具体的な目標を立てたら、あとはほったらかしにするようにしましょう。
【POINT】価格の上がり下がりに一喜一憂するのは、時間とエネルギーのムダ。投資には手間をかけすぎず、腰を据えてじっくり取り組むこと。
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