年金や老後の蓄えなど、年を重ねるほどに重くなっていくのが「お金」の問題。不安を解消するための手段の一つとして「投資」も考えると思いますが、なかなか始められない方も多いのではないでしょうか。そこで、1万人以上の赤字家計を救ってきた家計コンサルタント・横山光昭さんの著書『貯蓄感覚でできる 3000円投資生活 DELUXE』(アスコム)から、初心者が覚えておきたい「投資の準備と心得」のヒントをお届けします。著者が提唱する「月々3000円投資術」を始める前に、まずは投資の基本を押さえましょう。
楽しく、ラクに、生活のムダを省く
みなさんがもし、「投資を始めてみたいけれど、毎月家計がギリギリで、貯金のほかに月々3000円のお金をつくるのが難しい」、あるいは「もう少し投資額を増やしたいけれど、これ以上家計で削れるものがない」と思っているなら、ぜひ見直してほしいものがあります。
それは「生命保険」「通信費」「光熱費」です。
これらを見直し、不要なものをカットするだけで、簡単かつ効果的に支出を減らすことができるのです。
まず生命保険ですが、「保険貧乏」に陥ってしまっていて、「保険料を払っているせいで、貯金ができない」という方は少なくありません。
日本人の生命保険への加入率の高さは、世界でもトップクラスです。
生命保険文化センターが2018年12月に発表した「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険に加入している世帯は88・7%、一世帯あたりの年間の払込保険料の平均は38万2000円(月額3万円強)に及びます。
ところが、生命保険の必要性は人によって異なります。
「生命保険は不動産の次に高い買い物だ」とよくいわれますが、実は、そこまでの額を払う必要のない人も多いのです。
生命保険には、「死亡時に備える」「医療費にあてる」「貯金代わりにする(貯蓄)」という3つの役割があります。
そのうち貯金については、今は、うまみがある貯蓄商品はないので、わざわざ生命保険を使う必要はありません。
貯蓄と保障は切り離して、自分自身でコツコツとお金を貯めていけば十分です。
死亡時の備えについては、幼い子どもを残して親が亡くなったときなどは、生命保険が役に立つかもしれません。
貯金だけではなかなか、子どもが独り立ちするまでの費用をまかなうことができないからです。
しかし、子どもがすでに独立しているなら、基本的に必要はないといえます。
お葬式代についても、生命保険に加入せずとも、ある程度の貯金があればまかなえるはずです。
また、住宅ローンを組んでマイホームを買うと、たいていは団体信用生命保険(団信)に加入することになります。
本人が死亡したときや高度障害になったときは、団信でローンが相殺されます。
そのため、生命保険の遺族への保障額は、団信の保障内容を考慮して検討する必要があるでしょう(がんや三大疾病など、所定の疾病と診断されたときに、住宅ローンが相殺される団体信用保険もあります)。
医療費についても、
●貯金が不十分なとき
●自営業で、働かないと収入がゼロになってしまう方が、病気やケガをしたとき
●健康保険が適用されない、自由診療による治療を受けたとき
●入院が長期化したとき
などは生命保険が役に立ちますが、医療費としてのある程度の貯金があれば、病気やケガをしても治療費はまかなえますし、高額療養費制度を利用すれば、高額な医療費の自己負担額の一部を払い戻してもらうことができます。
このように、保険というのは、あくまでも「公的な社会保障や貯金でまかなえない部分をカバーするもの」ととらえ、必要最低限にとどめておきましょう。
そもそも生命保険は、基本的には「万が一」のときがなければ、給付金・保険金は支払われないので、支払い損になる可能性が高いものだと思います。
ただ、「万が一」のときに有用ですから、貯蓄で備えられないものをまかなうために本当に必要な保障が何なのかをよく考え、生命保険を賢く使ってください。
本当にその保障が必要なのか、ムダな特約をつけていないかなどを見直して保険をスリム化するだけで、月々数千円から数万円の支出がカットできる可能性があります。
その分を貯金や投資にまわした方が、効率よく資産を形成できるのではないかと、私は思います。
次に通信費ですが、近年、スマートフォンを格安スマートフォン(格安スマホ)に替える人が増えつつあります。
無料通話サービスが少ないため、不安だとおっしゃる方もいますが、無料通話アプリなどを利用したり、最近ではさまざまな通話オプションを付帯したりすることで、通話料をおさえることができるため、あまり問題にはならないでしょう。
電話番号はそのまま使えるし、問題なく通信できるけれど、利用料金は大手キャリアのスマートフォンの半分以下。
支出をおさえるうえで、格安スマホを使わない手はありません。
インターネットに関しても、プロバイダを替えたり、スマホや電気・ガスとのセット割を利用したりすることで、月々数千円分の支出を減らせるかもしれません。
最後に光熱費ですが、2016年4月から電力の小売りが全面自由化され、2017年4月からは都市ガスの自由化も始まりました。
これにより、電気・ガスともに、さまざまな事業者が参入し、私たちは地域の電力会社やガス会社以外からも買うことができるようになりました。
実際に利用できるのは、地域でサービスを展開している事業者中心になりますが、ライフスタイルや価値観などに合わせて電力会社を選べるため、メリットは大きいといえます。
事業者によっては、ポイント付与や電気、ガス、インターネット、ガソリン、電話などの料金とのセット割があり、四人家族の家庭で、電気代やガス代などを含めた年間の固定費が1万円以上も安くなる(見込み)ケースもあるようです。
どの事業者を選べば一番おトクか、シミュレーションサイトなどを利用するなど総合的に判断し、家計の改善に役立てましょう。
【POINT】生命保険料を払いすぎている人はかなり多いので、その保険が本当に必要かどうか、一度見直そう。通信費や光熱費の見直しも、ラクに支出をおさえるうえで効果的。
老後資金をためる第一歩『3000円投資生活 DELUXE』記事リストはこちら!
シリーズ累計70万部突破! 1万人以上が成功した「月々3000円でできる投資術」の具体的な方法が詳しく解説されています。投資を始める準備ができたら、すぐに実践を