大切な人が亡くなったとき、悲しみと慌ただしさの中で多くの人は「何から手をつけていいかわからない」状態になるといいます。そこで、各分野の専門家が手続きやノウハウをわかりやすく解説した「まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド」(クロスメディア・パブリッシング)より、今から知っておきたい手続きや相続のノウハウを、連載形式でご紹介します。
自動車の相続手続き
故人が使っていた自動車も相続財産の対象になります。
故人が自動車を所有していた場合には、自動車の名義を相続人に変更する手続きが必要になります。
自動車の相続方法の決定 (遺産分割協議)まずは、故人が所有していた自動車をどうするのか、遺産分割協議にて、相続人全員で決める必要があります。
自動車は複数の相続人で共同名義にすることが可能ですが、特定の相続人が相続する場合には、遺産分割協議書が必要となります。自動車の相続をする場合の遺産分割協議書には、(1)自動車登録番号(ナンバープレートの番号)、(2)車台番号の2つを記載してください。
車台番号は、車検証(自動車検査証)に書かれています。陸運局のホームページには、自動車の遺産分割協議書のひな形もあります。共同名義にする場合は、名義変更の申請の際に、「氏名等補助シート」の記入が必要になります。
申請書に記入した相続人以外の相続人全員の氏名及び住所コードを氏名等補助シートに記入し、申請書とともに提出します。
登録申請管轄の陸運局に移転登録申請書を提出します。
申請書のほか、自動車検査証、戸籍謄本、遺産分割協議書、所有者となる相続人の印鑑証明書 、所有者となる相続人の実印、車庫証明書などがあわせて必要になります。
共同名義にする場合には、全員の印鑑証明書と実印を持参しましょう。
申請書は、陸運局や自動車検査登録事務所でもらえるほか、陸運局のホームページでダウンロードすることもできます。
車庫証明故人と同一の車庫を、故人と同居していた相続人が引き続き利用する場合には、車庫証明書は不要です。
同一の車庫を利用する場合でも、同居していなかったときは車庫証明書が必要となります。
自動車にローンが残っている場合相続する車にローンやリースの残債務がある場合、車の名義はローン会社やリース会社となっています。
この場合、相続人はこれらファイナンス会社に債務者が亡くなったことを伝えなければなりません。
その際に車の残債務がどの程度あるのかを確認し、返済方法について問い合わせましょう。
基本的に車の残債務は一括清算です。
しかし、そのまま車を相続し使用したい場合などは、ローンを分割で引き継ぐことができるケースもあります。
ただし、その場合は相続人の審査が必要となります。
相続人が車に乗らない場合には、ファイナンス会社が車を引き取り換価処分します。
そして換価処分されたあと、まだ債務が残っているのであれば、法定相続人に残債務が請求されます。
逆に換価処分して剰余金が出た場合には、ファイナンス会社から相続人に剰余金が支払われます。
第三者に譲渡する場合自動車を相続人の中の誰かの名義にするのではなく、相続人にならない孫などに渡す場合は、贈与という扱いになります。
その場合は、遺産分割協議書に第三者へ贈与する旨を記載し、一旦相続人が相続してから贈与したとして、名義変更することになります。
陸運局で手に入る譲渡証明書に必要事項を記入し、印鑑証明書などの必要書類とともに届出をします。
自動車は誰に名義変更するかで必要書類が異なるため、陸運局に問い合わせをしてから手続きをすると漏れなどがないでしょう。
◎自動車の相続による移転登録申請
期限:すみやかに(ただし期限はなし)
手続き先:陸運支局、自動車検査登録事務所
手続きする人:自動車を相続する人
必要なもの:申請書、戸籍謄本、自動車を相続する人の印鑑証明書・実印、自動車検査証、車庫証明書、遺産分割協議書、氏名等補助シート(共同名義の場合)
自動車を売却する場合は、遺産分割協議書に売却することを記載した上で、一度代表相続人へ名義変更の手続きを行います。名義変更が終わったのちに、売却の手続きを取りましょう。
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