性別:女
年齢:58
プロフィール:私の母は認知症です。そんな母は遺言書を公正証書にしたいと話していました。遺言書作成に必要なこととは......。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
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私の母は85歳のときに重度のアルツハイマー型認知症と診断されました。母は田舎に住んでいるため、近くには診療所があるだけ。大きな病院はバスや電車を使わないと行くことができずなかなか受診ができませんでした。もしかしたらもっと早くから症状はあったのかもしれません。
私は、父・母・兄・兄・私と妹の6人家族でした。父は早くに病気で亡くなり、兄2人も病気で亡くなったため、今は母と私と妹の3人になりました。私自身は18歳のとき、就職を機に田舎を離れその後結婚し、子どもが2人います。母のお世話は、基本的に妹とデイサービスの方が行なってくれています。
ある日、母から「遺言書を作成したい」と連絡が来ました。きっかけは2番目の兄の死でした。兄には子どもがいましたが、事故で亡くなっています。しかし兄の死後、兄の子どもに婚外子ですが、認知した子どもがいることが判明したのです。つまり、私の母にとってはひ孫にあたる子で、相続権が発生するということです。
このままでは、近い将来私たち家族が暮らしていた家の権利を、見ず知らずのひ孫の許可がないと動かせなくなってしまう。母自身も書類上でしか知らないひ孫ではなく、私や妹に家を守ってほしいと考えてくれたことから遺言書の話になったようでした。
遺言書は公正証書にする形で、第三者の承認をしっかり含めたいと考えました。公正証書を作るために、母が住んでいる地域の公証役場に行き、現状を話しました。基本的な遺言書の内容は、現状や遺言者、つまり私の母の意志や言葉を尊重したものを基に作られていきます。家族関係を示す役所の書類など必要書類を集め、公証役場の公証人が遺言者の遺言書をつくりたいという意思確認を行ない、作成するという流れでした。
しかし、結果として遺言書の作成はできませんでした。病院から送られた認知症の診断書内容から、公証役場の方から遺言書の作成自体が難しいという判断をされてしまったからです。公正証書での遺言書を作成するためには、必要な書類や条件がそろっていなければ作れないということを痛感しました。公正証書の作成が難しい場合には、家庭裁判所による後見人に関する申し立てをすることを勧められました。今は、田舎の近くにある家庭裁判所で後見人申し立てを行なうために必要な書類や準備を進めています。
私の田舎を守るために、ここまでさまざまな手続きをしなければならない現状に驚愕していますが、できることはすべてやっておきたいと思っています。年齢を重なれば重ねるほど、周りの状況はどんどん変わっています。母の意思とともに、家族としてできることをしてあげたいと考えています。
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