家族や友達、仕事仲間に頼み事をすると、「何だか悪いな」と思うことありますよね?でも、実は人に頼ることで「人とつながる」と、一人ではできないことに挑戦できたり、ワクワクできたり、自分にも周りにもいいことが起こるそうです。今回は、「人の助けを受け入れる力=受援力」の重要性を説く医師・吉田穂波さんの著書『「つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける』(あさ出版)から、「人に頼るときの心構えと方法」について連載形式でお届けします。
結論から先に伝える
誰かにお願いをする際、つい前置きが長くなってしまうことがあります。
たとえば、重い荷物を持って、子どもをベビーカーに乗せて駅のホームを移動しているお母さんが、階段しか移動手段がなく、他の人の力を借りなければいけない場合。
「階段を上がるのに力を貸してもらえませんか?」という本題を切り出す前に、
「エレベーターを探したんですけど、この駅にはなくて」
「この子がベビーカーから降りようとしなくて」
「荷物が増えてしまって一人では荷物とベビーカーを一度に運べないんです」
など、最初にその理由を話してしまうことがあります。
もちろん、相手に自分の状況をわかってもらおうという気持ちから来るもので、悪いことではないのですが、もし相手が時間に余裕がない場合、説明をしている間に相手が断る理由を探し始めてしまう恐れがあります。
また、理由を長々と話すほど、言い訳がましく聞こえてしまうのもマイナスです。
まず、「お手間をおかけしますが、この紙袋だけ持っていただけませんか」と簡潔かつ具体的にお願いの内容だけを伝えましょう。細々と話さなくても状況は理解してもらえます。
職場などでも同様です。
大切なのは、「報告・連絡・相談」の何を伝えたいのか、シビアな問題なのか、軽いお願いなのか、緊急を要するのか、要さないのか。まずは結論から。それだけで相手から奪う時間も戸惑いも減らすことができます。先につらつらとお願いする理由から説明されると、相手は「何を頼まれるんだろう?」とあれこれ考え、もどかしく思ってしまいます。何かをお願いするとき、「いつもありがとうございます」の後は、すぐに本題を切り出すのが肝心です。
たとえば、会議や打ち合わせに間に合わない場合、電車が止まって遅れるのか、子どもが熱を出して遅れるのかという理由よりも、大事なのは何分遅れるのか、その間に何をしてほしいのかということです。
お願いごとをするときはつい自分の状況を理解してほしいと理由や背景から伝えてしまいがちですが、まずは本題である頼みごとの内容から先に話すようにしましょう。
また、理由を先に話すと言い訳と受け取られかねませんが、頼みを引き受けてもらった後に困っていた状況を話すと、プラスの印象を与えられることがあります。「実は子どもが熱を出して困っていたんです。代わりにプレゼンしてもらえて本当に助かりました」といったように、後から理由を伝えることで相手に対し、より大きな感謝の気持ちを示すことができます。
相手から理由を聞かれた場合は別ですが、そうでない場合は、まず頼む内容から。相手が本当に必要としている情報を先に伝え、自分の事情は後に。それが、緊急時に人の力を借りるマナーだと心得ておきましょう。
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