「まだこんな歳」考え方ひとつで心がみるみる若返る!フランス人が考える「老い」3つの強み

歳を重ねるとともに増えていく、病気、孤独、お金などの不安...。世界共通の悩みと思いきや、「フランス人」は老いることを「人生の収穫期」と考えて、楽しく過ごしているそうです。外交官から仏修道会の介護ボランティアに転身した賀来弓月さんの著書『60歳からを楽しむ生き方 フランス人は老いを楽しむ』(文響社)から、フランス流の「人生を前向きにとらえる10のヒント」を連載形式でお届けします。

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自分は若いと感じながら、老いを生きる

日本の高齢者の中には、謙遜からか、卑下からかあるいは本心からか例えば「もうおじいちゃんですから」あるいは「もう年ですから」などと口にする人が多いように思います。私は、このような高齢者意識は万国共通のものだろうと思っていました。しかし、フランスではそうでないようです。

ブルターニュ人(ケルト民族系のフランス人)で音楽学校の元教授ジャック・ベロワ氏(74歳)は、フランス人はいつでも「自分は若い」と思っているといいます。

90歳を越えても老人だという自覚があまりないというから驚きます。年齢だけで老い感じるのではなく、足腰が立たず自立的に生活する能力がかなり失われたときにはじめて老いを感じるのだそうです。

フランスの高齢者がおしゃれを楽しむことは、「自分は若い」という自意識と無関係ではないでしょう。90歳近くになっても日常的に性愛を楽しんでいると全く恥じらいを見せずに私にささやいたフランスの高齢者(男性)もいました。

元演出家だったパリ在住のデュバル氏(77歳ボランティア)は、「高齢期、それは、『自分はこんなに若く感じたことがない』と言い始める時なのです」というジュール・ルナン(1864~1910仏小説家・劇作家)の言葉を引用しました。

フランスの小説家ベネット・グル(1920~2016)は、「高齢期は長い。だから、これをあまり早くから始める必要などない」といっています。さらに、フランスの小説家・劇作家ジャン・アヌイ(1910~1987)も、「人は、自分でそう決める日以外に、年寄りになることはない」と言っています。

人は自分で年をとったことをマイナスに捉えれば、本当に老けてしまうものです。フランスの高齢者たちは、高齢者であることの3つの利点を挙げて、今を楽しもうとします。

第一に、"幼少期"のように親に依存する必要がないこと。

第二に、"青年期"のような落ち着かないソワソワした気持ちを抱かずにいられること。

第三に、"壮年期"のように上下関係や競争の支配する職場の苦労から解放されていること。

定年退職後は、心の持ち方次第で、その前の時期のさまざまなストレスから解放されて、心穏やかに楽しく生きることのできる時期なのです。

ビクトル・ユーゴは、「あなたが賢いか愚かであるか次第で、あなたの老いの時期の夢を、若いときの後悔あるいは永遠の希望をもって、紡ぐこともできる」といっています。賢くあろうとすることが、重要だと私は思います。

高齢者の幸福度を左右するのは、最低限の経済的生活基盤(収入)、健康、家族、社会的なつながり(友人関係)、「今現在の生き方」の捉え方であるかと思います。

健康を害し体が衰えていくことは、仕方のないことです。社会的な居場所が少なくなっている高齢者にとって、家族が重要なことはいうまでもありません。しかし、社会的なつながりに関しては、定年後も自分の努力次第で、新たな人間関係を育んでいくことができます。また、「今現在」をどう捉え、どう生きるかについても、自分自身の気持ちのもち方次第で、コントロールできるものなのです。

フランスの高齢者たちは、人間関係と「今現在」の捉え方が上手。だから、高齢期を「人生の実りと収穫の秋」とすることができるのです。

驚いたことに、何人かのフランスの人たちが「私には過去の人生がありました。先は長くはないかも知れませんが、将来には将来の人生があることでしょう。でも、過去の人生と将来の人生の間にある今現在を実り多い豊かなものにするために一生懸命生きたいと思っています」という趣旨のことを私に語ったのです。これはまさに日本神道の「今中」の思想なのです。

フランスの哲学者モンテーニュ(1533~1592)は、「老いは、我々の顔よりも心にもっと皺を作るものだ」といっています。私たち高齢者としては、互いに心に皺が増えないように気をつけたいものです。

同性愛事件に巻き込まれて服役後フランスに移り住んだ英国の劇作家オスカー・ワイルド(1854~1900)は、「老いのドラマは、老けることではなく、若くとどまることにあるのだ」といっています。

また、フランスには「偉大な高齢期は第二の幼年期である」という諺もあります。

「もうこんな年」(悲観主義者の感じ方)ではなく、「まだこんな年」(楽観主義者の感じ方)と考える。そうすれば、高齢期を生きる姿勢も自ずと変わり、生きる士気も高まり、若い気持ちでい続けられるに違いありません。

『老いのドラマは、老けることではなく、若くとどまることにあるのだ』
Le dramatique de la vieillesse, ce n'est pas qu'on se fait vieux ,c'est qu'on reste jeune.

フランス人に学べば老後は楽しくなる!『60歳からを楽しむ生き方』記事リストはこちら!

051-syoei-france.jpg「美しさとは何か」「オシャレの楽しみ方」「孤独の捉え方」など10の項目から、老いを楽しむフランス人の人生観が分かります

 

賀来弓月(かく・ゆづき)

1939年、愛知県生まれ。1960年外交官上級試験合格、61年名古屋大学法学部卒、外務省入省、英オックスフォード大学大学院留学(外務省在外上級研修員)。外務省退職後、清泉女子大学非常勤講師、NPO法人アジア近代化研究所特別顧問。主な著書に『内なるものと外なるものをー多文化時代の日本社会』(日本経済評論社)など。

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『60歳からを楽しむ生き方 フランス人は老いを楽しむ』

(賀来弓月/文響社)

年齢を重ねると孤独感や焦燥感、死への恐怖心にさいなまれる…。そんな不安を、フランス人が考える「老いの愛し方」で払拭してくれる一冊。フランスの高齢者がオシャレや食事をどう楽しんでいるのか、その生き方を見習えば、老いも光輝く人生の一部になるはず。

※この記事は『60歳からを楽しむ生き方 フランス人は老いを楽しむ』(賀来弓月/文響社)からの抜粋です。
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