大切な人が亡くなったとき、悲しみと慌ただしさの中で多くの人は「何から手をつけていいかわからない」状態になるといいます。そこで、各分野の専門家が手続きやノウハウをわかりやすく解説した「まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド」(クロスメディア・パブリッシング)より、今から知っておきたい手続きや相続のノウハウを、連載形式でご紹介します。
相続財産の相続・放棄は選ぶことができる
故人が借金を抱えていた場合には、相続を放棄するという選択肢を取ることもできます。
相続財産がどのくらいあるか把握することができたら、その相続財産をどのように扱うのかを決めましょう。相続財産は必ず相続しなければならないものではなく、放棄することも可能です。
●相続放棄について
相続財産の全体を把握してみると、実は借金やローンなどの負債のほうが多かったということもあり得ます。
そういったケースでは、相続財産を相続せずに放棄することができます。これを相続放棄といいます。
相続放棄を行った場合、相続人にならないとみなされます。
そのため、故人がのこした借金などの負債を負う必要がなくなります。
もちろん、放棄を選択した場合、負債だけでなく土地や不動産、現金預金などのプラスになる財産に関しての権利も失うことになるので、どちらが自分にとって良い選択なのかしっかりと考える必要があります。
また、相続財産があったとしても相続に一切関与したくないと考えている場合には、相続放棄するというのもひとつの選択として考えられます。
●相続放棄の手続き
相続放棄の手続きには期限があります。
相続を放棄する場合には、原則、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所へ相続財産を放棄する手続きをしなければなりません。
●限定承認
限定承認とは、故人の財産の中から借金を支払う相続の方法です。
たとえば1億円の相続財産があり、限定承認して相続した場合、あとから2億円の借金があるとわかったとしても、相続財産で1億円だけを支払い、のこされた1億円の借金は支払う必要がなくなるのです。
そのため、まだ知られていない借金の可能性がある場合には限定承認で相続することが望ましいといえます。
限定承認を行う場合には共同相続人全員で限定承認の申述をする必要があるため、注意が必要です。
また、こちらも相続放棄と同じく、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内という期限が定められています。
まずは財産や負債をどう処分するかを決めましょう
1.相続する............ プラスになる財産>マイナスになる財産(負債)の場合など
2.放棄する............ プラスになる財産<マイナスになる財産(負債)の場合など
3.限定承認する...... あとから負債が見つかるかもしれないなど、相続財産が明確でない場合
相続放棄をしたといっても、相続財産を放置していいわけではありません。
家庭裁判所で選任された「相続財産管理人」に財産管理を引き継ぐまで、相続財産が失われないよう管理する義務は相続放棄の予定者にあります。
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