「人生100年時代」「老後2000万円不足問題」。良く耳にするけど、なんとなくしか理解していない...という方も多いのではないでしょうか?そこで、家計再生のプロフェッショナル・横山さんの著書「横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか?」(KADOKAWA)より、「老後のお金に困らない仕組み」を作るためのエッセンスをご紹介。ぜひ「自分の場合はどうなのだろう」と考えるきっかけにしてみてください。
年金だけで暮らそうという考えはすでに甘い!?
高齢者を支える若い世代が少なくなっていく中、日本の年金制度をいかに維持していくかについても、もう少し自分たちに引き寄せて考えてみてもいいと思っています。
あなたの老後の生活費はいくらかかりますか?
あなたの年金受け取り額はいくらですか?
その年金はいつから受け取れるか、知っていますか?
もしこうしたことに答えられないとしたら、「老後2000万円不足問題」の報道のときも、わけもなく怒っていただけだったのではないでしょうか。
端的に言っておきましょう。
これからの日本では、年金だけではほとんどの人は暮らしていけません。ほとんどというのは全体の8~9割くらいの人です。
老後は年金だけで何とかなるだろうという発想があるとしたら、それ自体、今の現役世代にとっては現実的ではありません。これを機に、その考え方から離れてほしいと思います。
自分自身の年金受け取り額の見込みを把握すること、そして、今とこれからの社会状況を認識した上で、「将来の自分の場合はどうなのか」を知っておくこと。まずはこの2点が大切です。
そして、自分は将来どういったライフスタイルを目指すのかを考え、そのためにどうするのかを探っていく必要があるということです。
内容を理解せず、人に勧められるままに投資をしたり、極端な節約生活を続けていくのは老後の生活が危ういだけでなく、長続きしません。
老後も働くことは、前向きな人生の選択肢の一つ
厚生労働省が発表する年金生活のモデル世帯の年金額として月額約21万円という数字が出されました。しかしそれは、あくまで今現在の金額に過ぎません。
そこで、21万円を真に受けるのではなく、年金額は将来目減りしていくだろうという分を見越して、7~8割くらいで計算してもよいかもしれません。
少し乱暴に見えるかもしれませんが、そうすると、私たちの老後の生活費がどれくらい足りなくなるかがざっくりと見えてきます。
生活費も、現役時代の8割ほどに減るかもしれません。教育費が減ったり、ローン関係が減ると、生活費は実質この程度は減るかなと思います。できる方は、実際に、「どこが、これくらい減るから......」などと計算してみてください。ある程度は正しい金額が見えてくるでしょう。
仮に現在、一カ月の生活費が30万円かかっている人の場合、老後の生活費は約24万円程度になると考えてみます。年金等による収入は夫婦で21万円が平均ですから、自分たちの老後は減ることを見込み、8割の約17万円としてみましょう。もし、「ねんきん定期便」などで大体の金額がつかめるなら、それを参考にしてもよいでしょう。
収入が17万円、支出が24万円ですから、差額分は7万円です。65歳からの30 年(95歳まで)は必要と考えてかけ算すると、約2500万円。絶対に必要な金額ではありませんが、リフォーム費用や医療・介護費用なども見越してさらに1000万円くらい多めに見ると、合わせて3500万円くらい。これが老後の生活に「足りない」金額となります。
そこでどうするか。ないものはない、では生きていけませんから、貯金から取り崩すのか、もしくは働くのか、といった選択肢が見えてきます。「次に何をしなくてはならないか」という方針が、自ずと決まってくるのです。
すでに十分な貯金があれば問題ありません。一方で、「貯金はないけど働くのは嫌いじゃない」と自分たちの状況を冷静に捉え、前向きに考えようとする方もいます。すると、5万円でも7万円でもいいから無理のない範囲で、10年くらいは夫婦揃って働くというアイデアも出てくるでしょう。
こうして自分自身で、老後人生を明るく設計していくのもいいと思うのです。
年金収入と支出の差額分を埋めるための方法として、「働く」という選択肢は年齢を問わず素晴らしいことだと思います。
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