働いていても年金ってもらえるの?損をしない年金の受け取り方/60歳からのリアル

老後資金に「2000万円の準備を...」と言われても、すぐに作れる人はなかなかいません。そこで、社会保険労務士歴20年の岡久さんが著した『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』(自由国民社)から、老後の不安を解消できる60歳からの生き方のヒントを連載形式でお届け。人生のシミュレーション、今こそやるべきです。

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働きながら年金をもらう「在職老齢年金」でリスクヘッジ

「えっ、働いてたら年金はもらえないんでしょ?」と、たまに誤解されている人がおられるのですが、働いていても条件に合致しているのであれば、年金をもらうことができます。

これが「在職老齢年金制度」で、六十歳以上で年金の支給対象者となっている人に適用されます。

給料(総報酬月額相当額)プラス年金額(加給年金を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額)が二十八万円を超えないうちは、原則、年金の支給停止を受けることはありません。月に二十八万円あれば、なんとかやっていけそうですよね。

また六十五歳以降は、四十七万円を超えなければ支給停止の対象にはなりません。病気が気になる年齢ですが、これだけあると思えれば生活にも余裕がでるのではないでしょうか。ただ注意してほしいのは、ここで繰り下げ受給を選択した場合には、支給停止された年金額には繰り下げによる増額率が適用されないということです。

もし年金が全額停止される場合には、年金受給開始年齢の繰り下げによる年金額の増額はゼロになるので、働きたい高齢者にとって不公平感も指摘されています。

六十歳から六十五歳の人が注意しなければならないのは、「特別支給の老齢厚生年金」を受けながら、高齢者雇用継続給付を受ける場合です。

まず「特別支給の老齢厚生年金」の受給要件は次のようになっています。

・男性の場合、昭和三十六年四月一日以前に生まれたこと。
・女性の場合、昭和四十一年四月一日以前に生まれたこと。
・老齢基礎年金の受給資格期間(十年)があること。

一方で高年齢雇用継続給付は、給与の減額幅に応じて雇用保険からでる給付ですが、年金給付を受け取りながら、給与と高年齢雇用継続給付を受け取る場合、年金との支給額が調整されることになります。

せっかく年金をもらえるのに、働いていると減額されてしまう......ということになる場合もあるわけです。

それだけ聞くと損した気分ですが、結局のところ健康に働けるうちは、自分の力でお金を稼ぐほうが生活にも張り合いが出ます。(預貯金にも余裕が出ます!)

「働けなくなったら......」、「持病が悪化したら......」という不安だけに囚とらわれて仕事を辞めてしまうのは、金銭面でも精神面でも考えものです。

「自分のことは自分でする」ということほど、老後の気構えとして大切なものはありません。

もちろん、働かず年金をもらって暮らすことは悪い選択肢ではありません。もはや現役時代のようには体が動かない人もいるでしょう。

これまでがむしゃらに働いてきたので、余生をゆっくり過ごしたいと考える人もいます。貯金や年金と併せて働いた分の給料があれば、十分普通の生活ができる―そんな人は、働く時間を調整しやすいパートタイムでの勤務などができれば、仕事を通して社会とつながっているという安心を持つことができます。

日本の年金制度は他国と比較しても多くの国民にとって手厚く、屋台骨もしっかりしています。しかし、少子高齢化、人口減に伴って年金を支払う世代ともらう世代の不公平を調整する必要が出てきました。給付額や支給開始年齢はこれからも厳しくなってくる可能性があります。

これからの年金については、「これがないと生活できない」という大黒柱的な存在ではなく、「生活を楽にしてくれる副収入」だと思うくらいがちょうどよいのです。

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2000manen-syoei.jpg誰もが将来不安を覚える「生活、仕事、お金、心、住まい、健康」の6テーマを章ごとに紹介。60歳になると何に対峙しなければならないのか、リアルな状況が理解できます

 

岡久(おか・ひさし)

社会保険労務士。シンクタンク岡事務所、ナイン・ヒル・パートナーズ株式会社代表。人材開発や働き方改革から労務管理までさまざまなコンサルティングを手掛ける。社労士歴&コンサル歴20年以上のプロ、関連分野の著書も多数執筆。

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『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』

(岡久/自由国民社)

「人生100年時代」と言われても、お金に仕事、住まいに健康と不安が多過ぎる!そんな心のざわつきが止まらないあなたのための現代社会サバイバル本。生活のダウンサイジング法や孤独の楽しみ方など、老後資金に2000万円も持っていない私たちがどう生きるべきか、たくさんのヒントを教えてくれます。

※この記事は『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』(岡久/自由国民社)からの抜粋です。

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