老後資金のために「投資」を考えているけど、ちょっと怖い...そんな人にまず知ってほしいのが「金融のイロハ」です。そこで、資産運用のプロ・山崎元さんに、金融知識が全くない大橋弘祐さんが質問する形式で分かりやすいと好評の著書『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)から、投資の初心者が知っておきたい「投資と貯蓄の疑問」をお届けします。
NISAって何ですか?
じゃあ、そろそろ買ってみようか。インデックスファンドを
――はい
ただ、買う前に知っておいたほうがいい制度があるから先に説明しておく
――お願いします!
NISAって知ってる?
――聞いたことあります。たしか銀行がテレビCMをやってました。なんか、ああやってCMをたくさん打たれると、騙されそうな気がしちゃうんですよね。NISAって横文字なのも怪しいし。やっぱり、あれも銀行の策略か何かなんですよね。先生、今回もバッサリ斬っちゃってください
いや、NISAは国が進めている制度。税金が安くなるから、絶対利用したほうがいい
――え、そうなんですか?
もともと、イギリスで導入されたISAという制度を参考にしたもので、個人での投資を活発化させることを目的にはじまった制度。ほら、君もそうだけど銀行に口座をつくるのと違って、証券会社に口座をつくるのは抵抗あるでしょう
――たしかに、あります
だから、最初の敷居を下げて、運用を活発にさせようとしているわけ。日本って預貯金が多くて、資産運用している人が少ない。さらに少子高齢化で年金財政が心もとなくなってきた。国は個人でお金を運用させるように促そうとしているの
――いったいどんな制度なんでしょう。NISAってやつは?
満20歳以上で、国内在住者だったら、一年間に100万円(※)までの投資に対する利益が5年の間、非課税ということ
※2016年よりNISAの非課税枠は120万円に拡大される
――すいません......。そもそも課税ってなんですか?
もし給料以外に収入があると、確定申告して税金を収めなきゃいけないでしょう。それと一緒で、お金を運用して得た利益には税金がかかる。所得税と住民税あわせて約20%
――20%も?
うん。2割は持っていかれる。厳密に言うと20.315%だけどね
――さっき教えてもらった投資信託も税金かかるんですか
当然
――税金を払うってなんか面倒臭いですね。確定申告する必要があるんですか?
ううん。証券会社が代行してくれる。だから税金の手続きのことは、基本的に気にしなくていい。でもNISAだと5年間はそもそも払う必要がない
――税金を払わなくていいんですか?
そう。たとえば、NISAの口座で投資信託を100万円分買って、それが5年後に120万になったとする。普通だったら、利益分20万に税金の約20%の4万円くらいを払う必要があるんだけど、NISAの口座だったら払わなくていい
――5年過ぎたらどうなるんですか?
5年たった時点で課税口座(普通の証券会社の口座)か、また新たなNISA枠に移す(ロールオーバー)か、換金するか選べる。何も選択しなかった場合は課税口座に移される
――なるほど
投資で自分でできる最大の努力はコストを下げること。税金は手数料と一緒で確実なマイナスリターンだから、極力減らす。よってNISAは最大限に利用したほうがいい。ただ、まだはじまったばかりの制度だから、今後、制度が変わって、5年間の制限が延びたり、100万円の枠が増えたりするかもしれない。だから最新情報をチェックしておくこと
[まとめ]
・金融商品を売って得した利益には、約20%の税金がかかる。
・NISAなら100万円までの投資額に対して、5年間は税金がかからない。
※NISAの非課税枠は2016年より120万円に拡大される
・5年後は非課税口座か、換金か、もう一度NISA枠を使うか選べる。
・NISAは今後、制度が変わるかもしれないので情報をチェックする。
※2015年発売書籍の内容です。現在の情勢と異なる場合があります
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5章にわたって国債や投資信託、NISAに年金に至るまで、資産運用の基本のキを解説。実際にネット証券の口座開設法も写真で紹介されて分かりやすい