ごみ屋敷とは違うの?放置すると危険な「特定空家」の基礎知識

ご近所トラブルに巻き込まれたことがある人は4割を超えているというデータがあります。住み慣れた我が家に安心して住み続けるには、ご近所トラブルが起こったときに上手に対処することが必要です。トラブルを自分だけで抱え込まないで、相談先をみつけて解決を目指しましょう。今回は、ユウキ法律事務所の弁護士、出口裕規先生に特定空家とごみ屋敷問題の対処法について聞きました。

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各地で起きている空き家やごみ屋敷問題

近年「空き家」や「ごみ屋敷」問題がニュースなどで取り上げられるようになりました。周囲に悪い影響を及ぼす恐れもあります。「空き家が増えた原因の一つは、実家を相続した子どもが、自分で住んだり売却したりせずに、そのまま放置していることです」と出口先生。住宅を解体して土地を更地にすれば、税金負担が数倍になります。空き家の状態で放置されるのは、そのためです。

空き家やごみ屋敷には以下のようなことが起きやすいです

・建物が倒壊、崩壊したり、屋根や外壁が落下する
・放火により火災が発生する恐れがある
・治安が悪くなり犯罪が起こる
・ごみが不法投棄される
・害虫やねずみが大量発生して不衛生で悪臭が漂う
・庭に雑草が生い茂り、木の枝が野放図に伸びる
・風景や景観が悪くなる。

2015年に「空き家対策特別措置法」が施行され、「特定空家」に指定されれば、強制撤去になる可能性が出てきました。「ごみ屋敷」については、人が住んでいることが多いため、自治体ごとの条例により立ち入り調査や指導を行います。「空き家」や「ごみ屋敷」は自治体に相談しましょう。

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「特定空家」に指定されれば強制撤去になる可能性も

・「特定空家」とはどんな空き家のこと?

適切な管理が長期間行われずに老朽化し、防災、防犯、衛生面で近隣住民の生活を脅やかすリスクが高い空き家。自治体から、早急に解体などの措置を取るよう勧告、命令されて、従わないと強制撤去が行われるケースもあります。

・「特定空家」に指定される条件とは?

次の4項目のどれかに当てはまると「特定空家」に指定されることがあります。

①放置すれば倒壊などが起こる恐れがあるほど危険性が高い。

②衛生面で非常に有害な状態である。

③適切な管理が行われていないため著しく景観が損なわれている。

④周辺の生活環境を守るために放置することが不適切な状態である。

・近所に空き家があったらどこに相談すればいい?

自治体に相談します。自治体は現地調査や所有者の調査を実施し、所有者に対して状況改善を依頼。また、上の条件に当てはまると「特定空家」に指定される場合があります。

・「ごみ屋敷」は「特定空家」とは違う?

住人がいれば「空き家」ではないため「特定空家」に指定されることはないです。「ごみ屋敷」解消のための条例を作り、立ち入り調査や指導、片付け支援などを行う自治体もあります。

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取材・文/松澤ゆかり、山川寿美恵

 

<教えてくれた人>

出口裕規(でぐち・ひろき)先生

弁護士。ユウキ法律事務所。不動産取引、マンション管理、建築(設計・施工)案件などを得意とする。税務、不動産評価業務に関連する案件は税理士、不動産鑑定士と協力して解決。

この記事は『毎日が発見』2019年8月号に掲載の情報です。

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