もめたらどこに相談するの?「ご近所トラブル」基礎知識

ご近所トラブルに巻き込まれたことがある人は4割を超えているというデータがあります。住み慣れた我が家に安心して住み続けるには、ご近所トラブルが起こったときに上手に対処することが必要です。トラブルを自分だけで抱え込まないで、相談先をみつけて解決を目指しましょう。ユウキ法律事務所の弁護士、出口裕規先生にご近所トラブルとその対処法について聞きました。

ご近所にこんな人がいます

毎日が発見の読者に聞くと、ご近所にはトラブルの火種にもなりかねない、さまざまな人がいるようです。「指定の有料ごみ袋を使わない人がいます。腹立たしくなります」「区長をしていますが、班で働いてくれない人がいるので困ります」「お隣は深夜0時でもキャーキャーとにぎやか。困ったものです」。やはり、誰にでもご近所トラブルは起こりえるのです。

近頃のご近所トラブルの傾向と原因は

ご近所トラブルは、一軒家やマンションなど、さまざまな住宅で発生しています。

下の図のように、「ご近所トラブルに遭ったことがありますか?」という質問に対して、43パーセントの人が「ある」と回答しています。ご近所トラブルの1位になっているのが「騒音」です。一軒家よりも、部屋が密接していて、壁や床から音が伝わりやすい集合住宅のマンションなどで問題になっています。

「ご近所トラブルは、小さな問題から裁判に発展する深刻なものまで、さまざまなケースが考えられます」と出口裕規先生は話します。

もめたらどこに相談するの?「ご近所トラブル」基礎知識 1908p030_2.jpg出典:日本法規情報株式会社「近隣トラブル意識調査」(2014年)を基に作成。

トラブルを抱え込まずに相談窓口を見つける

近所の人の行為に対して、困ったり不満を感じた場合は、どうしたらよいのでしょうか。

「トラブルが小さいうちに解決しておけば、問題が大きくなったり、人間関係がこじれたりすることはないでしょう」と出口先生。特に一軒家や分譲マンションなどは所有物件のため、トラブルが原因で精神的ストレスになっても、簡単に住み替えることができません。

出口先生は「1人で悩まずに、早めに相談先を見つけて相談することが大切です」と言います。以下に「ご近所トラブル例と相談先」をまとめました。どんな物件に住んでいるかによっても相談先が違ってきます。

■ご近所トラブルと相談先の例

<一軒家>

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【トラブル】ごみ出しルールを守らない人がいる

「ごみは収集日の朝に出す」というルールを守らずに、前日の夜に出す人がいる。分別ごみを収集日以外の日に出す人もいる。

【相談先】町内会の役員、班長

町内会の役員や班長などに状況を伝える。町内会全体の問題として、役員会や班長会議などで解決策を話し合ってもらう。

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【トラブル】隣家の庭木の枝がはみ出している

隣家の庭木の枝が我が家にはみ出している。隣家に頼んでも切ってもらえず、落ち葉の掃除が大変。車が枝にこすれて傷もついた。

【相談先】自治体の無料相談、法テラス

自治体の無料相談や最寄りの「法テラス」の無料法律相談で弁護士に相談したり、解決のための適切な相談機関を紹介してもらう。

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【トラブル】境界線の位置で隣家ともめている

自分の土地を売却しようとしたが、境界線の位置について隣家と意見の食い違いがあり、話し合いでも解決しない。

【相談先】法務局、土地家屋調査士会の無料相談

無料相談に行き、法務局の「筆界特定制度」や、土地家屋調査士会の「境界問題解決センター」の利用を検討し、解決を目指す。

<分譲マンション>

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【トラブル】騒音、ペット臭、違法駐車で困っている

上の部屋の足音が響く。ペットを飼っている部屋のペット臭が強く廊下まで臭う。所定の駐車場以外の場所に車を停める人がいる。

【相談先】マンションの管理組合

マンションの管理組合に直接相談したり、管理会社を通して管理組合に伝える。管理組合が掲示物などで住民全員に注意を促す。

<賃貸マンション>

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【トラブル】たばこの煙が部屋に入る、騒ぎ声が気になる

隣の住人がベランダでたばこを吸うため、部屋に煙が入り込む。夜間、酒に酔って廊下やエントランスで騒ぐ人がいてうるさい。

【相談先】管理している不動産会社、大家

マンションを管理する不動産会社や大家に相談し、そちらから相手に伝えてもらうか、掲示物などで住民全員に注意を促す。

取材・文/松澤ゆかり、山川寿美恵

 

<教えてくれた人>

出口裕規(でぐち・ひろき)先生

弁護士。ユウキ法律事務所。不動産取引、マンション管理、建築(設計・施工)案件などを得意とする。税務、不動産評価業務に関連する案件は税理士、不動産鑑定士と協力して解決。

この記事は『毎日が発見』2019年8月号に掲載の情報です。

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