気づけば税金滞納500万円!?脱サラ自営業者が陥る「無申告」の先

老後2000万円不足の問題を耳にして、すぐに貯蓄や投資を始めようとした人、ちょっと待って!何となく始めてしまうと、大きな失敗につながります。そこで、2万3000人の家計を再生したファイナンシャルプランナー・横山光昭さんの著書『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』(あさ出版)から、実際にあったお金の失敗エピソードを連載形式でお届け。動き出す前に、まずはお金の正しい知識を学びましょう。

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借金は整理できるが税金は支払いが義務

「税務署から滞納した税金を支払えといわれて困っています」

家計相談をやっていると、こんな相談をしてくる自営業者の方がよくいます。

相談内容が「借金」であれば、状況によって債務整理なども視野に入れて解決を目指すこともできるのですが、滞納関係、特に〝税金〟はどうにもなりません。債務整理の対象にはならず、なんとしてでも支払わなければならないからです。

特に脱サラして自営業を始めた人は、税金や社会保障といった制度に疎い傾向があります。なぜなら会社員時代、それらはすべて給与から天引きになっていたからです。

そのため、自営になった後も自動的に支払っていると思ったり、関係ない話だと思ったりしている人が少なくないのです。

●木村さん(47歳/男性)の場合......

「突然、税務署から連絡があって、滞納した500万円を支払えといわれて困っています。どうすればいいんでしょうか?」

4年前に脱サラして独立、自営業を始めた木村さんも、税金を滞納して困っている1人です。

商売のほうは、スタート時から比較的スムーズに波に乗ったこともあり、収入も会社員時代より多くなりました。月の収入にばらつきはありますが、平均すると手取りで60万円ほどです。

ただ、ざんねんなことに次第に生活が贅沢になり、貯蓄を増やすどころか少しずつ食い潰しているような状況で、相談時の貯蓄は50万円あるかないかというところ。500万円の税金は、到底支払えません。

しかも木村さんは、小学3年生と1年生の子どもがおり、教育資金を準備しておく必要がありました。加えて、老後の生活も視野に入れ、老後資金も貯めておかなければならないと考えていました。

にもかかわらず、受け取った収入すべてを使い切ってしまっていたのです。

貯蓄もなくなり老後破綻まっしぐら

このように、脱サラ後に自営になった人たちのなかには、確定申告しなければならないことさえ知らず、ほったらかしにしている人もいます。

会社員時代は、会社がすべてやっていてくれたからでしょうか、税金を滞納すると延滞税もかかり、先送りすればするほど金額が膨らんでしまうということも当然知らないわけです。

さらに、税金だけではなく、国民年金保険料も支払っていないケースもよく見られます。これについては、2018年10月までは過去5年までさかのぼって納付できる「後納制度」がありましたが、現在は直近2年分しかさかのぼれないことになっています。当然、支払わないままでいると、もらえる年金は会社勤めの期間分だけ。老後資金もなく、年金も少ないとなれば、〝老後破綻〟まっしぐらであることが容易に想像できます。

そうした段階にきてできることは、経費などを見直すことで税金を少し安くできる可能性こそあれ、「どのように税金を支払っていくか」というプランを立てること、そして「支出を減らして滞納分への支払いに充てるお金を作ること」しかありません。

少しでもいい老後を送ることができるようにするには、贅沢な生活に伴う支出を圧縮し、税金と国民年金保険料、国民健康保険料などを収入の範囲内から支払えるようにします。それと同時に貯蓄もしないと、教育資金を作ることも難しいでしょう。奥さんも働きに出て、収入を得ることを検討したほうがよい場合もあります。

自営業の方で多いのは、「経費」と「生活費」の切り離しがうまくできず、支出が把握しづらくなっていることです。

例えば、自宅を事業所としている場合は、家賃や水道光熱費をはじめとして、共通してかかる支出に対して生活費部分と事業費部分を按分しているつもりでも、支払いは一つにまとまってしまうので、結局うやむやになってしまうなどは珍しいことではありません。

この場合、会計上の処理は別として、現状の生活費はいくらかかっているのかを切り離して把握できると、家計状況は改善へ向かっていくことが多いものです。

会社が社会保障制度に未加入だと年金ゼロ

家計相談に来られた方で、50歳を過ぎるまでずっと〝確信犯〟的に無申告だった自営業の男性がいました。その人は、税金の滞納を税務署に指摘され、1000万円を超える税金を納めなければならなくなりました。

しかもその男性の場合、以前勤めていた会社が零細企業で、社会保障制度に加入しておらず、その頃から今に至るまで年金はずっと未払い。そのため65歳からの年金受給権が発生せず、年金は1円ももらえませんでした。

そのような状況であるにもかかわらず、今後5年間、毎月20万円ずつ滞納した税を払い続けなければならないのです。当然、貯蓄は使い果たし、老後に突入するまでの間にもお金を貯めることができない可能性が高いといえます。自営業の方は、くれぐれも気をつけてください!

なお、自営業の方が老後資金を確保するためにお勧めなのが、個人型確定拠出年金と小規模共済制度への加入です。その詳細は下に挙げていますので参考にしてください。


自営者が老後資金確保のためにやっておくべきこと

1.個人型確定拠出年金に加入
掛け金月額:5000円~6万8000円
※掛け金は下限の5000円から1000円単位で決められる
加入すると
⇒60~70歳の間で自分の好きな時から受給できる
⇒掛け金全額が所得控除されるので、所得税と住民税が安くなる
⇒年金受け取りか一時金受け取りかが選べ税額控除の対象となる

2.小規模企業共済制度に加入する
掛け金月額:1000円~7万円
※掛け金は下限の1000円から500円単位で決められる
加入すると
⇒掛け金全額が所得控除されるので、所得税と住民税が安くなる
⇒年末に一括払いもできる
⇒満期はなく、解約、自営業の廃止、老齢給付など請求事由に
より受けられる共済金の金額が異なる

基本この2つに入っておけば大丈夫!余裕があればつみたてNISAなどを組み合わせるのがおすすめ!


【ここがざんねん】税金の支払いもそうですが、自営業の方は事業の財布と自分の財布の区分けがうまくできないという悩みを抱えがち。商売のもうけも大事ですが、家計の支出もしっかりと意識し、管理していきましょう。

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020-あさ出版・ざんねんなお金の話.jpg 習慣、資金計画、投資の3テーマで、絶対NGなお金の扱い方を実例から学べます。最終章にはプロが教える「お金を増やす」13のステップも

 

横山光昭(よこやま・みつあき)

ファイナンシャルプランナー、家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。独自の家計再生プログラムで、抜本的解決、確実な再生を目指し、これまで2万3000人以上の家計を再生。個別の相談・指導で課題解決する活動は業界でも異端で、各種メディアへの執筆・講演も多数。

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『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』

(横山光昭/あさ出版)

世の中には「家計無頓着夫」「保険乗り換え貧乏妻」「教育費破綻夫婦」であふれてる!?「ウソでしょ?」と言いたくなる家計のやりくりや、「私も…」と悲しい共感をしてしまう投資の失敗まで、21の“残念なお金の話”がラインアップ。その対策から「正しいお金の増やし方」まで学べる家計の救済本です。

※この記事は『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』(横山光昭/あさ出版)からの抜粋です。

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