夫に家計簿を任せたら大変なことに...老後資金の残念エピソード

老後2000万円不足の問題を耳にして、すぐに貯蓄や投資を始めようとした人、ちょっと待って!何となく始めてしまうと、大きな失敗につながります。そこで、2万3000人の家計を再生したファイナンシャルプランナー・横山光昭さんの著書『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』(あさ出版)から、実際にあったお金の失敗エピソードを連載形式でお届け。動き出す前に、まずはお金の正しい知識を学びましょう。

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会社員意識で家計管理をする夫

老後の生活に入った途端、「予定よりも老後資金が減ってしまって困っている」という人は意外と多いです。

一度に多額の退職金を手にし、人生の中で最高の金額が書かれた預金通帳を見た途端に気が大きくなってしまい、「むだ遣いはしないぞ」と決めていても使ってしまったというケースは枚挙に遑(いとま)がありません。

●斎藤さん(女性/61歳)の場合......

斎藤さんは専業主婦でこれまで家計を切り盛りしてきました。
斎藤さん一家の家計は、ご主人の定年退職に向けて住宅ローンを完済。さらに、ご主人が雇用延長して65歳までは収入がある状態を作り上げていました。

子どもはすでに独立しているので、教育費の心配もありません。
斎藤さん夫婦は、老後資金の大切さはよくわかっていたつもりだったので、派手な海外旅行をしたり、大金を投資につぎ込んだりといった贅沢なことは決してしないと誓っていました。

ただ1つ、計算が違ったのは、ご主人に家計簿をつけるのを任せたことでした。

雇用延長したとはいえ、収入が減るわけですし、これからは家計にも関心を持ってもらおうと、斎藤さんはいつも自分でつけていた家計簿を、「私も家計簿をつけることを退職していいかしら」といってご主人に任せることにしたのです。

ご主人は、今まで家庭を顧みず「仕事、仕事」といってきた自覚があったのか、快く引き受けてくれたといいます。

斎藤さんはご主人の退職に際し、家計管理については2人で話をしてきたし、ご主人も支出の概要はつかんでいるだろうから大丈夫だと思っていました。

しかし、その思い込みが間違いでした。

家計簿への記入を怠り支出がわからなくなってしまう

ご主人は、会社員時代ほど忙しくなかったものの、雇用延長で仕事を続けていたこともあって、次第に家計簿をつけるのを怠り始めました。

とはいえ、急な支出やむだ遣いをしているわけではなかったので、どこかで「大丈夫だろう」と思っていました。

ところがです。1年ほど経過し、斎藤さんが銀行口座からお金を下ろした際に通帳で残高を見ると1950万円となっていました。

少し使い過ぎたかなと思って計算してみると、この1年で250万円以上もの貯蓄を使っていたのです。

60歳の時点では、退職金に加えて確定拠出年金の一時金や預貯金など、合わせて2200万円ほどが口座にあったはずでした。

それがかなりのスピードで減っており、斎藤さんは驚いたそうです。ご主人が雇用延長して、収入を得ていたにもかかわらずです。

このままでは、年金がもらえる歳を超えても働かなければ、老後資金は10年ほどで底をついてしまいます。

「温泉旅行だなんだといっている場合ではなく、生きるための資金さえ足りなくなってしまう......」と思った途端に焦り始めました。

老後の家計は現役時代より計画的に

斎藤さんはご主人に事情を話し、「一緒に家計簿をつけましょう」といい、改めて2人で家計管理をすることにしました。すると、以前よりもかなり浪費が増えていることがわかりました。食費は6万円ほどに膨らんでいたほか、外食にも2万円ほど使っていました。そのほかにも、ご主人が友人との交際費や娯楽費に合わせて10万円も使っており、現役で働いていた頃の2倍以上の支出になっていたのです。

普段の生活を振り返ってみても、例えば「食事は質だなどと、いろんな所で少しずつ贅沢志向になっていたのだな」と斎藤さんは反省しました。家計簿を自分でつけなくなったことで、どこか気が緩んでいたのでしょう。

斎藤さんは「あれだけ気をつけなくてはいけないと意識していたはずなのに」と悔やんでいました。

そして、家計管理に関するご主人との話し合い、人生100年時代といわれる今、これからの40年を暮らすには蓄えが足りない現状を再度把握しました。

もし、今あるお金を40年間で均等に使うと考えると、貯蓄は年に49万円弱しか使えない計算となります。年金が入るとはいっても、油断できない金額です。

斎藤さんは自らの行動を反省するとともに、「このままではまずい」と考えたご主人も、雇用延長の65歳を超えても、関連会社などでより長く働ける方法はないかと考え始めました。

斎藤さんも、得意の裁縫を収入につなげようとシルバー人材センターに登録し、保育園に入園する子ども向けのグッズ作りを請け負って少しずつ収入を得始めました。やはり、老後は油断してはいけません。

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まずは、どのような生活をするかを検討し、支出金額をきちんと決めて管理するなど、現役時代よりも計画的なお金の使い方をしなければいけないのです。

節約を意識することは、生きている限り必要なこと。お金がないのであれば、生活をダウンサイジングするしかありません。

【ここがざんねん】退職金など大きなお金が入ると、とかく財布のヒモは緩みがち。まして、リタイヤ後は大きく収入が減るわけですから、「お金の使い方はより計画的に」を心掛けたいものです。

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横山光昭(よこやま・みつあき)

ファイナンシャルプランナー、家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。独自の家計再生プログラムで、抜本的解決、確実な再生を目指し、これまで2万3000人以上の家計を再生。個別の相談・指導で課題解決する活動は業界でも異端で、各種メディアへの執筆・講演も多数。

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『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』

(横山光昭/あさ出版)

世の中には「家計無頓着夫」「保険乗り換え貧乏妻」「教育費破綻夫婦」であふれてる!?「ウソでしょ?」と言いたくなる家計のやりくりや、「私も…」と悲しい共感をしてしまう投資の失敗まで、21の“残念なお金の話”がラインアップ。その対策から「正しいお金の増やし方」まで学べる家計の救済本です。

※この記事は『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』(横山光昭/あさ出版)からの抜粋です。

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