プロでも一人じゃムリ!介護と仕事を両立させる「自分ファースト」という考え方

親などの介護に奮闘することで、仕事を辞めてしまう「介護離職」。しかし、介護をきちんと続けるには、「自分第一で考えること」が重要だとされています。そこで、介護支援の専門家・飯野三紀子さんが執筆した、『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』(方丈社)から、仕事を続けながら介護と向き合う方法について、連載形式でお届けします。

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「自分ファースト」でいい

仕事としているプロの介護士でも、交代しなければ質を保てないのが介護です。それほど、心身ともに負担が大きい仕事なので、自分の仕事と心身に無理のないマネジメントを心がけるべきです。そうでないと、両立は続かない。

だから介護にとりかかるときは「自分ファースト」と何回でも言って、思って、無理のない計画かどうか、確かめてください。

キーパーソンが倒れたら、一番困るのは護るべき要介護者です。つまりは自分を護ることが、両立介護を続けられることなのです。

だいたいのかたは突然やってくる介護にパニックになり、自分の介護の動機付けがなにか、わからないままスタートします。

そして、介護はどんなに上手くやりこなせていてもストレスが必ずかかります。仕事との両立であれば、なおさら日々の生活の中で、ストレス場面が出てきます。

ストレスを感じない介護者は、誰ひとりいないでしょう。動機付けという観点から見たとき、あらかじめ自分はこの人(親・配偶者・自分が介護することになりそうな人)の介護をすることになったら、どのような動機付けから介護をするのだろうか、と気持ちの整理をしておくと、その後の環境や心のマネジメントがしやすくなります。

介護も長くなってくれば、動機も変化するかもしれません。その時は自分の気持ちを素直に受け入れ、それぞれの場面で関係のある人たち(家族・親せき・ケアマネジャー等の介護スタッフ・会社・医療)にもそのことを伝え、マネジメントを見直せば良いのです。

日々起こるストレスを少しでも減らすことができるはずです。

自分の動機を知る

カミングアウトする

マネジメントする

何事においても大切ですが、介護と仕事の両立には、特に考え方や心の柔軟性が必要になります。

自分の動機はなんだろう。今の自分と要介護者の体と心の状態はどうだろう。仕事と介護の両立で負荷がかかっていないだろうか。負荷の原因はなんだろう。そういったことを介護者は常にスクリーニングしていきましょう。

両立へのメンタルヘルス:六つのポイント

介護と仕事を両立していくためには、介護のストレス、職場でのストレスの両面を意識していくことが大切になります。

職場のメンタルヘルスを支えるのは、
1、仕事の満足度
2、人間関係
3、健康、睡眠
です。両立していると、この三つにも影響がでてきます。介護の心のマネジメントは、職場と介護現場のダブルで考えなくてはならないのです。

まずは一番の敵、「介護うつ」を知りましょう。

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プロでも一人じゃムリ!介護と仕事を両立させる「自分ファースト」という考え方 51jkcHLCo3L._SX337_BO1,204,203,200_.jpg「がん終末期」「認知症」といった状況の違いも踏まえ、13章にわたって介護問題の原因と対策がまとめられています

 

飯野三紀子(いいの・みきこ)

(社)介護離職防止対策促進機構 理事。ウェルリンク(株)にて「介護とこころの相談室」を立ち上げ、現在、専任チーフコンサルタント。企業の人事部経験を経て、人材紹介会社で、キャリアコンサルタントとして従事。2000年に母と2人で叔母の介護と看取りを経験。その後、母親が認知症発症、同時期に親友のうつ病介護が重なり会社員生活を断念。自身のキャリアを見直しフリーランスとして独立。心の問題を扱うべく大学で心理学を学び直し、現在は、要介護4の母を在宅介護しながら、働く人の「心の健康」と「介護と仕事両立」のための支援を行なっている。5人の介護と4人の看取りを経験。ココロとカラダのケアラボ主宰。

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『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』

(飯野三紀子/方丈社)

「介護離職」「介護うつ」「家族間ギャップ」など、介護にまつわるあらゆる問題の解決方法が分かる「介護の指南書」。家族や親友など5人の介護と4人の看取りを経験し、悩み抱える多くの人々を支援してきた著者が、実体験に基づく実践的な介護の心得を示しています。「人生100年時代」とも言われる現代、誰にでも訪れる「介護」に備えるべし。

※この記事は『仕事を辞めなくても大丈夫! 介護と仕事をじょうずに両立させる本』(飯野三紀子/方丈社)からの抜粋です。

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