「妊娠・出産・育児」をすっとばして、いきなり「介護」が始まった! 離れて暮らす高齢の義両親をサポートしている島影真奈美さん。40代にさしかかり、出産するならタイムリミット目前――と思っていた矢先、義父母の認知症が立て続けに発覚します。戸惑いながらも試行錯誤を重ね、いまの生活の中に無理なく介護を組み込むことに成功。笑いと涙の介護エピソードをnoteマガジン『別居嫁介護日誌』からご紹介します。なんとなく親の老いを感じ始めた人は必読!
こんにちは、島影真奈美です。要介護認定の代理申請を地域包括支援センターにお願いするつもりが、義父に「その日は都合が悪い」と一蹴された前回。それなりに手際よく片付けてきたつもりだけれど、介護のキーパーソンとして関わらなくてはいけない手続きに次々と直面し、じわじわ追いつめられてきました......!
前の記事「次々に解決策を提案してくれるなんて! ありがたや~地域包括支援センター/別居嫁介護日誌(16)」はこちら。
介護認定の手続きは一刻も早く済ませたほうがいい。もの忘れ外来のクリニックでも、地域包括支援センターでも、会う人ごとにそうアドバイスされた。要支援・要介護度は「要支援」(1・2)から「要介護」(1・2・3・4・5)の7段階あり、それぞれ介護サービスを利用できる内容や回数、利用する際の自己負担額が異なる。
義父母の場合、「たぶん要介護1だと思うけれど、もしかしたら要支援2になるかもしれない」というのが地域包括支援センターの見立てだった。面談以来、何かと相談にのってくれていた看護師Cさんからは「要支援止まりだと利用できる介護サービスが限定されてしまうので、できれば要介護1がとれるといいですね」と言われていた。
それはぜひとも、要介護1をとりたい。でも、どうやって? 書籍やインターネットで認定調査について書かれた記事を探し、読み漁った。
わかったのは、家族の前ではヨレヨレでしゃべるのもやっと......というおじいさんやおばあさんも、なぜか認定調査員の前ではシャッキリし、見違えるようにしっかりした応対をするということ。認知症があっても例外ではなく、なぜかその日だけ、まったく認知症ではないように振舞うようだ。できないことも堂々と「できます」と答え、その結果、介護度が軽く判定されてしまうケースが少なからずあるという。認定調査員の前で、紳士淑女然としてふるまう義父母の姿が目に浮かぶようだった。
ぜんぜんダメじゃん!
家族としてできることはまず、普段の様子や困りごとを認定調査員にしっかり伝えること。ただし、本人の前で赤裸々に話すのは得策ではない。メモを渡すとか、本人が聞いてないところで話すといった、尊厳を傷つけないための配慮も必要......といったことを実践するにはそもそも、認定調査に立ち会う必要がある。
自宅から夫の実家まで約1時間半という距離は、ものすごく遠いわけではないが、近くもない。短期間に何往復もしていると、どんどん腰が重くなり、気持ちがどんよりしてくる。
介護のキーパーソンに立候補したときに、ある程度大変であることは覚悟していたつもりだったけれど、想像以上にきつい。しかも、まだ義父のもの忘れ外来受診という宿題が終わってない。これでまた一往復するのか。もう全部放り出して逃げ出したい。
日ごとにドンヨリしていく私を見かねたのか、夫からこんな提案があった。
「親父のもの忘れ外来の受診、姉貴に付き添いを頼もうか?」
夫に言われるまで、義姉に頼むという選択肢はまったく考えてなかった。義姉は教師としてフルタイムの仕事をしている。だから、平日の受診付き添いは無理だと思い込んでいたのだ。
「仕事があるのは俺たちだって同じだし、姉貴も有給休暇とかあるでしょ。聞くだけ聞いてみようよ」
おっしゃる通りだった。義父母が今、どういう状態にあるのか。今後、どのようなケアが必要になるのか。医師から直接説明を聞けるという意味でも、このタイミングで受診に付き添ってもらうのは、すごくいいことのように思えた。
夫がLINEで依頼のメッセージを送ると、義姉はふたつ返事で引き受けてくれた。案ずるよりも産むがやすしとはこのことだね。すばらしい。これで少し肩の荷を降ろせるに違いない。きっと多少はラクになるよ。そのときの私たちは能天気に、そう信じていた。
●今回のまとめ
・介護のキーパーソンには何かと役割が集中しがち
・「聞くだけ聞いてみる」のスタンスで、他のきょうだいにも協力要請をしてみよう
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イラスト/にのみやなつこ