介護サービスを受けるために40歳から加入する介護保険制度。2000年の開始から3年に1度見直されていますが、2018年4月より新制度が始まりました。65歳以上の介護保険料は上昇し、40~64歳の保険料も総報酬割の採用により負担が増える場合があります。さらに8月からは、所得により介護サービス利用時の自己負担額が2割から3割に増加する人も。
新制度は加入者・利用者にどのような影響があるのか、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生に教えていただきました。
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10年後はさらに自己負担が増え、介護サービスは減少する!?
今回の改正では、「共生型サービス」が新設されました。これは指定を受けたデイサービスやヘルパーなどの事業所が、高齢者と障害者に一体化したサービスを提供するというもの。障害福祉サービスの受給者が65歳になると介護保険が適用され、これまで利用していた障害福祉サービスを利用しづらくなるという不利益の是正が期待されます。
しかし、「高齢者と障害者では基本的にケアの仕方が異なるので、共生型サービスの普及は難しいでしょう」と結城先生。
「また、介護保険の財源確保のため将来的に介護保険と障害福祉を合併し、介護保険料の負担開始を現在の"40歳"よりも若い世代に設定することを狙っているとも考えられます」
このような金銭的負担の増加はもちろん不安ですが、さらに深刻なのが、介護士やヘルパーの不足です。介護サービスの需要は高まりますが、
「保険料が上がっても、介護士やヘルパーの給料には必ずしも反映されてはいません。しかし利用者は"保険料を払っているのだから介護してもらって当たり前"と思ってしまいがちです。
利用者やご家族から介護士への暴言や暴力などの問題は多く、これが離職の原因にもなっています。将来、人員不足となったときに、扱いにくい利用者はサービスを受けられる事業所を見つけることが困難なケースも出てくるかもしれません」
そんなことにならないよう結城先生が提唱するのが「介活(介護活動)」です。未来のために私たちが今からできる6カ条から成っています。その詳細は次の記事へ。
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取材・文/中沢文子