定年まで働いたのにもらえる年金が少ないという事実/介護破産(2)

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介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。実は介護破産の原因には、単に資産の多寡だけでなく、介護に関する「情報量」も大きく関わってくるのです。
本書「介護破産」で、介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法を学んでいきましょう。

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フサエさんの友人のカズコさん(仮名、80代)も一人暮らし。月々の年金受給額は8万円にも満たない。介護サービスを受けても1割負担の費用が支払えないからと、要介護認定を受けていないという。

「病気になったらおしまい、ピンピンコロリが理想ね」とカズコさんは笑う。 定年まで勤め上げたトシオさん(仮名、70代)は、年金不安はないものの、近頃物忘れがひどくなり、認知症の治療を受けはじめた。一人で生活できるうちはいいが、グループホームなど施設に入るようになったらいくらお金がかかるのか、不安は尽きない。

「ときどきこうして、みんなで集まってお茶をしているのが、一番楽しくて安上がりなんですよ」(カズコさん)
定年まで働いたのにもかかわらず、余裕がない生活を余儀なくされているのは、もらえる年金が少ないから。 ひとたび病気や介護をきっかけに費用の負担が増えれば生活が成り立たなくなる―。介護破産〝予備軍″の一つはフサエさんたちのような、年金受給額が低い高齢者たちだ。

日本の公的年金制度(厚生年金と国民年金)は、現役世代の保険料負担で、高齢者世代を支える「世代間扶養」の考え方を基本として運営されている。しかし、少子高齢化が進むなかで、現役世代が納付する保険料のみでは年金給付をまかないきれなくなっている。

現役世代6713万人の保険料収入は37兆6000億円。これに対して、年金受給の高齢者は3991万人で給付総額は53兆4000億円(いずれも2014年)。保険料収入よりも給付額が上回っている状態だ。

給付額の不足分は、国庫(税金)から補てんし、さらに保険料の一部を「年金積立金」として保有して、一部を運用しながら切り崩している。

 

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結城 康博(ゆうき・やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部教授。1969年生まれ。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー。地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所への勤務経験がある。おもな著書に『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から 』(岩波新書)、『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護入門 親の老後にいくらかかるか? 』(ちくま新書)など。

村田くみ(むらた・くみ)
ジャーナリスト。1969年生まれ。会社員を経て1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」編集部所属。2011年よりフリーに。2016年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。おもな著書に『書き込み式! 親の入院・介護・亡くなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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『介護破産』
(結城 康博、村田 くみ/ KADOKAWA)

長寿は「悪夢」なのか!? 介護によって始まる老後貧困の衝撃!
介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。本書では現在介護生活を送っている人々の生の声をルポしつつ、介護をするにあたり知っておきたいお金のこと、法律面のことなどに言及。介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法論を記した一冊です。

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