長く続いたデフレのトンネルから脱しようとする日本。しかし、世の中的に景気がよくても、それを実感できていない人は多いのではないでしょうか? 老後破産や格差社会の不安が広がる昨今、自分を守るために必要なのが「お金の教養」です。
本書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』で、株高時代を逃さず、チャンスをつかむ方法を学びましょう!
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景気のカギは個人消費にあり
好景気にはモノがよく売れる、皆がお金を使う。これは常識ですね。では、その買い手の主軸を担うのは誰だと思いますか?それは一般市民です。企業でも、政府でもありません。景気に与えるインパクトが強いのは、
1 個人
2 企業
3 政府
の順です。好景気とは、「個人消費が増える」こととほぼイコールといってもいいでしょう。
経済成長率の6割から7割を占めるのは、個人消費です。不景気のときには政府が頑張って金融緩和や公共投資を行いますが、個人が動かない限り効果は出ません。企業が頑張って設備投資をしても同じことです。
個人消費が増えてこそ、企業の業績も上がります。業績が上がれば賃金も増えて、ますます消費が増えるという好循環が起こります。その点から考えても、日本は上げ潮に乗る条件を備えています。なぜなら日本人は、個人の金融資産が非常に多い国だからです。
それも、キャッシュが多い。資産のうち、預金が占める割合が多いのです。株や不動産投資よりも手堅く貯金しようという安全志向、そして何よりも長いデフレの経験により、日本国民は今、世界中のどの国の人々よりもお金を「もっている」人々になったのです。デフレからインフレへと潮目が変わろうとしている現在、せっかくのお金をタンス貯金や銀行預金にしまい込むのはナンセンス。少しでも投資をして、増やすべきときが来ています。
個人消費が伸びない原因は「格差」だった
一方で、「景気が良くなってきた実感がない」という声もまだまだ聞かれます。「賃金も上がらないし、消費しようという気分になんてならない」と感じる人も多いでしょう。確かに、賃金と個人消費になかなか火がつかないことは、「謎」とされています。
これは世界全体に見られる傾向です。アメリカでもヨーロッパでも、金融緩和の影響でようやく経済が回復しつつあるというのに、賃金も個人消費も、さほど伸びてきていません。これはどうしたわけか、と経済アナリストも首をひねっている状況です。
しかしこの謎、簡単に解くことができます。答えを握っているのは、金融資産のピラミッドです。ピラミッドの頂上にいる「超富裕層」の数は約3300万人。世界の人口のわずか0.7%です。この人たちが、世界全体の金融資産の 46.6%、半分近くを占めているのです。
このことが、消費の伸びない原因です。なぜなら、わずか3300万人という少人数では、どんなに贅沢をしたところで、世界の消費量に影響を与えられないからです。大金持ちとて、車を1人で何百台も買うことはまずないでしょう。日に何十回も食事をとることもできません。そもそも彼らはたいていのモノはすでにもっているので、新たに何かを買い足す必要もないのです。
お金持ちが買う量はたかが知れている、人数の多い中間層や貧困層は生きるのがせいいっぱい。これでは全体の消費は上がりません。その結果、賃金は上がらず、庶民の消費意欲にも火がつかないのです。
サラリーマン不遇の時代がやって来る!
「それなら、インフレ時代なんてやっぱり来ないのでは?」と考えるのは間違いです。金融緩和によって世界各国でお金がだぶつき、そんな状況が局地発生的に集中する現象が起きていること、それがときにはバブル的様相を呈していることは、明白な事実だからです。
今はまだ、お金に詳しい人しか知らないこの流れ。そこに参加するか否かは皆さん自身が決めることですが、お金持ちになるには「お金の教養」が必要です。「お金の教養」の差が、富める者と貧しき者の差を生んでいるのです。
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スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。
変化の激しい時代に次々予想を的中させることから「経済の千里眼」の異名をもち、政財界にも多くの信奉者をもつ。『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方〔2018年上半期版〕』(実務教育出版)など著書多数。
(菅下清廣/KADOKAWA)
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