「『小さな暮らし』を選んだのは、終活のためではありません。これからも立ち止まらず、気持ちよく前に進むための方法なのです」と語る管理栄養士で料理研究家の村上祥子さん。今回は「小さな暮らしの10のルール」についてお聞きしました。
【前回】料理は「発想を変える」、モノは無理に「捨てなくていい」。村上祥子さん80歳の「小さな暮らしのルール」
必要なものしか置いていないキッチン。お盆に載せて食事をし、そのままシンクへ。
【ルール】「あげる」けど「もらわない」
街頭で配られるポケットティッシュや、化粧品を購入すると付けてくれる試供品は、相手が気を悪くしない程度にやんわりと断ることにしています。
うっかり受け取ったら最後、わが家に逗留し始めますが、処分しようとすると、「新品なのに捨てるの?」と、後ろめたい思いに駆られます。
物のない時代を経験している者として自然な心の動きです。
小さなものでも品物をもらうということは、完全に受け身です。
親しい人や仕事を共にした人との交流の中でいただくものとは違います。
使う目的なくもらったものは、ただたまって家の中のスペースをとるだけです。
一人で食べ切れない到来物の野菜は常備菜を作り、自分の分を残してお嫁さんや秘書に尋ね、欲しいと言われれば秘書には保存容器で渡し、お嫁さんには、クール便で送ります。
お菓子なら仏様に供え、お線香をあげて手を合わせたら、すぐにおろしておやつの時間にスタッフとご相伴にあずかります。
「小さな暮らし」を維持するためには、余分なものを家に入れない。
ご厚意のいただきものは近しい人とシェア。
そして、いつも笑顔で感謝の気持ちを忘れずに。
撮影/江口 拓(スタジオ COM)