「僕も死んだら、こうなるのか」愛犬の死に直面。肺がんステージ4の僕は.../僕は、死なない。

「病気の名前は、肺がんです」。医師からの突然の告知。しかも一番深刻なステージ4で、抗がん剤治療をしても1年生存率は約30%だった...。2016年9月、50歳でがんの告知を受けた刀根 健さん。残酷な現実を突きつけられても「絶対に生き残る」と決意し、あらゆる治療法を試して必死で生きようとする姿に...感動と賛否が巻き起こった話題の著書『僕は、死なない。』(SBクリエイティブ)より抜粋。過去の掲載で大きな反響があった本連載を、今回特別に再掲載します。

※本記事は刀根 健著の書籍『僕は、死なない。』から一部抜粋・編集しました。 
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

【前回】思わず言葉を失った...。冷たい声で医師に告げられた「恐ろしい予言」

「僕も死んだら、こうなるのか」愛犬の死に直面。肺がんステージ4の僕は.../僕は、死なない。 pixta_6402_S.jpg

ついに来た、痛み

あの掛川医師に会った日から、明らかに体調がおかしくなった。

再び頭の中に掛川医師の声が響き渡るようになった。

「胸が、痛ーくなります」

「咳が止まらなくなります」

「痰に血が混じります」

「水が飲めなくなります」

「だるくなります」

「寝たきりになります」

うわーっ、黙ってくれ!!!

ふと気づくと、頭の中が掛川医師に占領されてしまっていた。

その都度頭を振って掛川医師を追い出そうとしたが、すぐに彼は例の眉間にシワを寄せた表情で、再び僕に向かって語りかけてきた。

「胸が、痛ーくなります」

「咳が止まらなくなります」

「痰に血が混じります」

「水が飲めなくなります」

「だるくなります」

「寝たきりになります」

僕は彼に取り憑かれてしまっていた。

そのうち、研修で話している最中に咳が頻繁に出るようになった。

喉に痰が絡むようになった。

まずい、ヤツの言った通りになるのか?

不安が胸に押し寄せてきた。

そんなある日、11年飼っていた犬が死んだ。

夏に少し具合が悪くなり、しばらく体調不良が続いていたので、妻が病院に連れて行ったら、その日の夜にあっけなく逝ってしまった。

連絡を受け病院に到着し、亡き骸を抱きしめると涙が出てきた。

彼の顔、彼の声、彼の姿、全てが愛おしい。

しかし目の前の彼はもうピクリとも動かない。

まだ温かさが残る身体は、不思議と命のエネルギーが去って行ったことを示すように生気がなかった。

「僕の代わりに逝ってくれたのかもしれない......」

ポツリとつぶやいた。

「そうかもね......」

妻が目を伏せた。

僕も死んだら、こうなるのか......。

僕は彼の亡き骸を抱きしめながら、自分の死体がまぶたに浮かんできた。

いや、僕は死なない。

死ぬもんか!

すぐに頭を振って打ち消したが、青白く生気のない自分の顔が消えることはなかった。

 

刀根 健(とね・たけし)

1966年、千葉県出身。東京電機大学理工学部卒業後、大手商社を経て、教育系企業に。2016年9月1日に肺がん(ステージ4)が発覚。翌年6月に新たに脳転移が見つかるなど絶望的な状況の中で、ある神秘的な体験し、1カ月の入院を経て奇跡的に回復。ほかの著書に、人生に迷うすべての現代人におくる人生寓話『さとりをひらいた犬 ほんとうの自分に出会う物語』がある。オンラインサロン「みんな、死なない。」および刀根健公式ブログ「Being Sea」を展開中。

この記事は『僕は、死なない。 全身末期がんから生還してわかった人生に奇跡を起こすサレンダーの法則』(刀根 健/SBクリエイティブ)からの抜粋です。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP