あなたは今、「家族のための私」で生きていませんか? 「もしあなたが『このままの人生で本当にいいんだろうか』。そう感じているならば、自分と向き合うサインです」と語るのはAmeba公式トップブロガー・中道あんさん。「夫や3人の子供たちとくらべて、ただ歳を重ねているだけ」と感じながら専業主婦をしていた中道あんさんですが、40歳でパートを始めたことをきっかけに、その後は正社員となり、夫と別居、そして50代半ばで起業をするまでに人生が変わりました。
中道あんさんが「このままではいけない、変わらなきゃ」「一歩を踏み出そう」と考え、「私のための私」になれたのはなぜなのか。中道あんさんの著書『昨日とは違う明日を生きるための 新しい幸せの始め方』(KADOKAWA)よりこれからの時代を生きるヒントを厳選してお届けします。
【前回】自分の人生を生きていますか? まず大事なのは「変わろう」と決めること
【最初から読む】専業主婦だった私が40代でパートを始め、夫と別居し、50代で起業した理由
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「母親の手料理」という呪縛を断ち切る
「おふくろの味」信仰にサヨナラを
昭和世代の私は、自分が母親の手料理で育っているせいもあって、「母親たるもの手料理は当たり前」と思っていました。
「子どもには、小さいころに正しい味覚をつけさせておいたほうがいい。うどんや蕎麦は昆布とかつお節で出汁をひいて添加物なしで作るべき」といった具合です。
女性だから母親だからといって、誰もが料理好きというわけではありません。料理が嫌いな女性、得意じゃない女性もたくさんいます。私はたまたま食いしん坊がゆえに料理好きですが、せっかく丁寧に作っても家族には不評で、食べてもらえないことも少なからずありました。
「時間をかけて作るより、何か買ってきたほうがよかった」と思ったこともしばしばあります。それでもやっぱりまた作ってしまうのは「ちゃんとした食事」への義務感が、私の中に根強くあり、「おふくろの味」=母親の愛情の現れ、という価値観があったからです。
家庭料理は誰が作ってもいい
私と同世代の母親たちの中には、離れて暮らす子どものために何種類もおかずを作って、密閉容器に詰めて宅配する「仕送り飯」に精を出している人もいます。時間や交通費をかけて子どもの部屋まで行き、料理を作ってあげる「にわか家政婦さん」に変身する人も少なくありません。
それはやはり「栄養のあるちゃんとしたものを食べさせたい」という母心からです。スーパーやコンビニに行けば、いろいろなおかずがすぐ手に入る時代なのに、成人した子どもにも、「おふくろの味」を届け続ける人がいるのは、「これが正しい食生活」という刷り込みのせいではないでしょうか。
この「おふくろの味」や「手料理」がいちばんという考え方が、忙しい女性たちにプレッシャーを与えていると感じます。
最近、料理が得意な人が自宅に来て「作り置き料理」をしてくれるサービスが人気ですね。「母親の手で作られた料理でなくてはいけない」というところから一歩進んで「手作りなら、母親の料理でなくてもいい」という風潮になってきたといえるのではないでしょうか。海外の一部の家庭のように、台所さえない食生活とまでいかずとも、「家庭料理は誰が作ってもいいんだ」という概念が生まれてきた証拠だと、私は捉えています。
「お惣菜」や「テイクアウト」、さらには「家事代行」を利用することに、母親が罪悪感を持たなくてもよくなり、当たり前に利用する時代が、すぐそこに来ているのだと思います。
POINT
「母親の手料理がいちばん」という考え方をやめてみよう