「介護離職者」の半数以上が介護が始まって1年以内に退職している/介護破産(17)

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介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。実は介護破産の原因には、単に資産の多寡だけでなく、介護に関する「情報量」も大きく関わってくるのです。
本書「介護破産」で、介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法を学んでいきましょう。

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介護がはじまってから1年以内が要注意

ワーク&ケアバランス研究所の和氣美枝さん(45歳)は、不動産会社の正社員だったが、7年ほど前に認知症の母(77歳)を介護するために退職した。介護に関する知識がなく、情報をどう集めたらいいのかわからなかった。次第に生活のすべてが中途半端になり精神的に不安定になった。「介護者の不幸は選択肢がわからなくなることなんです。介護がはじまると『辞めるしかない』と思い込んでしまいます。病気になったら真っ先に病院に行くように、介護になったら真っ先に『地域包括支援センター』に行ってほしい」(和氣さん)

特に、介護がはじまって1年以内に退職した人が、介護離職者全体の半数以上にのぼるという調査結果もある。〝介護の初動″をうまく乗り切る、そのためには、会社の制度や介護保険の1割負担で使えるサービス、自治体が独自に行なっている安価なサービスを知っておく必要がある。「地域包括支援センター」とは、在宅の要介護者や家族にとっての相談窓口で、市区町村の中学校区に1か所設けられている。そこでは、要介護認定の申請やどんなケアプランを受けられるのかといった情報を教えてくれる。

事前にどんなことを相談したいのか、自分のなかでまとめておき相談員に伝えると、必要なものをそろえてくれる。ほかにも、「介護保険のしおり」「高齢者福祉のしおり」といった、自治体が独自で発行している小冊子ももらっておこう。特に、情報誌「ハートページ」を入手すると、地域の介護サービス事業者の最新情報がわかる。

介護の期間は平均4年11か月(約3割は4~10年未満)というデータ(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」速報版2015年9月79頁)があるように長期戦は必須。排泄や入浴介助が必要になったら介護サービスを利用してプロにまかせる。お金の面も含めて、家族の負担を最小限に抑えておくことが、破綻しないための一歩なのだ。

 

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結城 康博(ゆうき・やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部教授。1969年生まれ。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー。地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所への勤務経験がある。おもな著書に『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から 』(岩波新書)、『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護入門 親の老後にいくらかかるか? 』(ちくま新書)など。

村田くみ(むらた・くみ)
ジャーナリスト。1969年生まれ。会社員を経て1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」編集部所属。2011年よりフリーに。2016年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。おもな著書に『書き込み式! 親の入院・介護・亡くなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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『介護破産』
(結城 康博、村田 くみ/ KADOKAWA)

長寿は「悪夢」なのか!? 介護によって始まる老後貧困の衝撃!
介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。本書では現在介護生活を送っている人々の生の声をルポしつつ、介護をするにあたり知っておきたいお金のこと、法律面のことなどに言及。介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法論を記した一冊です。

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