仕事、結婚...イヤな人をどうすれば? キャリア70年の精神科医が教える「居心地が良い場所の作り方」

家族に仕事、人間関係など、人生にはさまざまな悩みがつきもの。精神科医として、70年近く働いてきた中村恒子さんの著書『うまいことやる習慣』(すばる舎)には、そんな悩みとの向き合い方や受け流し方のヒントが詰まっています。多くの人を勇気づけてきた言葉から厳選して、連載形式でお届けします。

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人を変えることにエネルギーを使わない。「自分がどうしたら快適にすごせるか」にエネルギーを使う。

人生、自分の思うようにならないことはた~くさんありますな。

「もっとこうしてくれたらいいのに」

「なんであの人は、いつもああなんやろうか?」

「あのやり方はちょっと間違ってる」

人が集まれば、いろいろな不平不満が生まれてきます。

ここは最高やと思って入った職場でも、時間が経つにつれてイヤなところが見えてくる。

初めは大好きで結婚した人であっても、長く一緒にいると許しがたいものも見えてきたりします。

外来でいろんな悩みごとを聞いてきましたが、こうした人の悩みは尽きることがありません。

ものすごくイヤな人や合わない人がいたら、その人と離れて生きるのがいちばんラクやと思います。

もし、その人のことがイヤすぎて、つらくて大変で心が病みそうやったら、思い切って離れてしまえばええんです。

今は仕事もやめやすいし、離婚だってめずらしいことじゃありません。

ただ人生不思議なのは、新しい場所に行ってもイヤな人、合わない人は程度の差こそあれ、多かれ少なかれ出てくることです。

時代も変わる、組織も変わる、人も変わる。

そうすると、必ず思いどおりにいかないことが出てくる。

仕事を変えても、パートナーを変えても、イヤなところは必ず出てきます。

結局、どこに行っても一緒なんやなあ。

100%満足できる環境はないんです。

だから大事なのは、「今いる場所で、どうしたら己が快適に過ごせるのか」を中心に考えることやと思います。

他人さんを変えて快適にするのではなく、「自分がどう動けば快適になるやろうか」「ここで気持ちよく過ごせるようになるやろうか」なんです。

ハッキリ言ってしまうと、他人さんを変えることなんか無理。

100%不可能とは言いませんけど、ちょっとやそっとの努力では、人の考え方やふるまいは変わりません。

あの手この手を使って、何年も十何年も徹底的にめんどうを見る。

それくらいの覚悟やエネルギーが必要になるもんやと思ったほうがええでしょう。

私自身も結婚生活で大いに学びました。

私は27歳で外科医(耳鼻科)の夫と結婚しました。

友だちから「いい人だから」と紹介してもらって結婚したんやけど、この夫がまあ大変な人やった(笑)。

根は悪い人やなかったけど、とにかく酒が好きで飲み歩きが大好き。

そして無類のおごり好き。

家のことは構わずに毎晩毎晩、いろんな人と飲んでは給料を目いっぱい使って大盤振る舞いしてしまう。

だから収入がまったくあてにならへんのです。

何度か改めてくれるように言ったんやけど、人の性格っていうのはちょっとやそっとでは変わらない。

離婚届を取ってきて脅しても、しばらく大人しくなるだけで、また同じことをしはじめる(笑)。

なんでここまで言っても変わらんのや、わかってくれへんのや、そうやってどんどんイライラしていきますわな。

そんなんを繰り返しているうちに、もうこの人を変えるのは無理やとアホらしくなってやめました。

じゃあ、夫を変えずに、どうしたら快適な家庭になるやろうかと考えたら、家計のほうは自分で働けばいい。

夫の収入はまったくあてにしないことにしたんです。

長男と次男の2人の子どもがおったんやけど、小さいときは寂しい思いをさせたやろうなあと思います。

ただ、子どもにとっては父親と母親がそろっていて家庭が円満であることがいちばん大切やと思って、できるかぎり平穏な毎日が続くように努めました。

じゃあ、たまった私のストレスはどうしてたかと言うと、患者さんと夫の悪口を言い合いながら発散してましたな(笑)。

自分の主治医と旦那の悪口を言い合えるというのは、患者さんにとっても楽しかったらしく、おかげで女性の患者さんとは特に仲よくなれました。

怪我の功名ってやつかもしれませんわ(笑)。

とにかく他人さんの性格や行動を変えるのは至難の業やから、自分がどうすればええか、どう動けば少しでも快適になるやろか、という発想が大事やということです。

そっちのほうが、自分への負担を考えたらよっぽど効率的なんですわ。

私は、合わない人とは薄~く付き合って、あたりさわりなくやり過ごすようにして、この人と話すと楽しいな、気が合うなと思う人とは、濃密に親しく付き合うようにしてきました。

いろんな場所、さまざまな病院で働きましたが、この基本は一緒です。

合わない人やイヤな人には意識をできるだけ向けないで、楽しい人、ウマの合う人に意識と時間をできるだけ向けていると、どんな場所でもそれなりに長く居続けられるようになるものです。

生きるのがラクになる「うまいことやる習慣」記事リストはこちら!

105-H1-umaikoto.jpg「仕事」「人間関係」「生き方」などの6テーマから、キャリア70年を誇る精神科医が考え至った37のメッセージがつづられています

 

中村恒子(なかむら・つねこ)
1929年生まれ。精神科医。1945年6月、終戦の2カ月前に医師になるために広島県尾道市から1人で大阪へ。混乱の時代に精神科医となる。子育てを並行しながら勤務医として働き、2017年7月(88歳)まで週6日フルタイムで外来・病棟診療を続けた。「いつお迎えが来ても悔いなし」の心境にて生涯現役医師を貫く。

奥田弘美(おくだ・ひろみ)
1967年生まれ。精神科医・産業医。日本マインドフルネス普及協会代表理事。

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『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』

(中村恒子・奥田弘美/すばる舎)

悩んだり、立ち止まったり、いろいろあるのが人生。本書は、そんな人生をたんたんと生きてきた精神科医・中村恒子さんの波乱万丈な半生を軸に、「うまいことやる考え方」がつづらています。彼女のどこまでも自然な姿に、「こんな生き方でもいいのか」という気づきを与えてくれる一冊です。

※この記事は『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(中村恒子・奥田弘美/すばる舎)からの抜粋です。

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