人生100年といわれる時代。50歳という年齢は「人生の折り返し地点」でもあります。わたしたちはゴールに向けて、どのように走っていくべきなのでしょう?「50歳は人生最大の転機であり、チャンスでもある」という実業家・本田直之さんの「自分をリセットし、変化と実験を繰り返しながら走り抜ける」エッセンスをお届けします。
※この記事は『50歳からのゼロ・リセット』(本田直之/青春出版社)からの抜粋です。
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老後にいくら必要か、なんて発想自体がナンセンス
定年退職後のお金に関する考え方も変化しています。
あなたは、この先、お金がいくらあったら安心だと考えていますか?
人の金銭感覚についての研究によると、「あなたはお金がいくらあったら安心ですか?」
というアンケートを取ると、たいていの人は自分の年収や持っている資産の2倍の額を答えるそうです。
年収500万円の人であれば1000万円、資産1億円の人は2億円、100億円持っている富裕層も200億円と答え、稼いでいる人、持っている人であっても金銭を求める欲と失うことへの不安には限りがありません。
実際、雑誌やネットでも「老後の資金にいくら必要」という記事は人気があります。
「最低3000万円は備えておきましょう」とファイナンシャルプランナーが答えている場合もあれば、「1億円」とする記事も、「老後資金は貯めるな!」と異論を示す専門家もいます。これはつまり、誰もが安心し、納得できる答えなどないということです。なぜなら、幸せな暮らしの定義は人それぞれだからです。
大切なのは、あなたのイメージする幸せな暮らしを実現するために、今やるべきこと、これからやりたいことをしっかり理解すること。それができている人は、人生においてすべてを得る必要はないことも理解できています。
わたしたち50歳前後の世代は、十分な物に囲まれた社会を生きてきました。そして、働けば働くほど収入が増えていく右肩上がりの時代は終わり、多くの人が物による豊かさのために働くという構図に疑問を持つようになっています。
そんなこれからの50代が幸せになるためのお金の使い方は、次の4つのポイントが重要です。
・物ではなく経験にお金を使うこと
・自分が本当にやりたいことにお金を使い、生活の質を高めること
・ステレオタイプの価値観、周囲の目に振り回されないこと
・お金についてしっかり学ぶこと
高級外車を買って「すごいクルマだね!」と言われ、派手なブランド物の服を着てみんなに注目される。バブルの頃までは、物をセットで買うことで幸せが感じられる時代でした。
しかし、お金で人とは違う高級品を買い、他人から認められることで得られる幸せ感は持続しません。より高級な物、より新しい物に目が移り、周囲の評価に振り回されるからです。
日本は今、物が売れない時代だと言われていますが、これは若い世代を中心に多くの人が物を追いかける幸せのむなしさに気づき、お金に対する満足度が変わってきたからでしょう。
4章構成で「新たな人生」を踏み出すためのヒントが満載!