人生100年といわれる時代。50歳という年齢は「人生の折り返し地点」でもあります。わたしたちはゴールに向けて、どのように走っていくべきなのでしょう?「50歳は人生最大の転機であり、チャンスでもある」という実業家・本田直之さんの「自分をリセットし、変化と実験を繰り返しながら走り抜ける」エッセンスをお届けします。
※この記事は『50歳からのゼロ・リセット』(本田直之/青春出版社)からの抜粋です。
前の記事「人生経験でのマウントはNG!若者と付き合う「50歳からの心得」/50歳からのゼロ・リセット(1)」はこちら。
あえてアウェーに飛び込むことで得られるもの
転職。退職。リストラ。会社員はいつの日か、会社から離れる日がやってきます。そのとき、会社の外の世界を知らずに生きてきた人は変化に対応できず、右往左往することになります。
社内でどれだけの仕事ぶりを見せていたとしても、それがそのまま外の世界で評価されるわけではありません。重要な役職に就いていたとしても、外の世界で通用するかどうかは定かではありません。
20代、30代ならばまだしも、50代、60代で井の中の蛙(かわず)のまま会社の外の世界に出てしまうと、その落差に驚き、落ち込むことになります。それは定年後の悲哀を題材にした小説や映画、ノンフィクションで何度となく描かれてきた情景です。
ともかくアウェーに出て、疑似サバイバル体験をすること。すると、変化に対応する力を鍛えることができます。一番のアウェー体験は外国での生活ですが、普段付き合っていない層の人たちと一緒に過ごすだけでも十分なアウェー体験になります。
そして、そこで出会う人たちとの交流によって意外な自分の強みが見つかることもあります。というのも、あなたの持つ本当の強みには、なかなか自分では気づけないものだからです。
常にインプットを続けることの重要性
外の世界に出てみると、自分が強みだと思っている部分は人に興味を持ってもらえず、自分では当たり前と思っていたことをおもしろがってもらえることがあります。
わたしの場合、自分では当たり前だと思っていた本の読み方についてビジネス書の編集者に話したところ、「おもしろい」と言われて『レバレッジ・リーディング』という初めての著書の出版につながりました。
外の世界に出ると今の自分のことがよく見えるようになります。手に入れた自由な時間をパッシブな状態で過ごすのではなく、アクティブにアウェーへ飛び込み、自分を発信していきましょう。
そして、発信するときに欠かせないのがインプットを重ねるというトレーニングです。例えば、オリンピックに出場するトップレベルのアスリートはもちろんのこと、アメリカの独立リーグで戦いながらメジャー入りを目指している野球選手、J2、J3でプレーするJリーガー、プロデビューを控えた新人ボクサー......。
カテゴリーや種目に関係なく本気で取り組んでいるアスリートたちは、1日の活動時間のほとんどを練習に費やします。
わたしたちが試合で目にする彼らの晴れ姿は、9割の練習に支えられた1割の時間。アスリートは人生の大半をインプットのために使っているのです。
一方、わたしたちビジネスパーソンはどうでしょう?
アスリートにとっての晴れの場である試合は、ビジネスパーソンに置き換えると日々の仕事です。では、アスリートにとってのインプットである練習をビジネスパーソンに置き換えると何になるのでしょう?
わたしは仕事のための勉強や下準備、健康管理が当てはまると考えています。
ところが、総務省の統計によると、30代から50代のビジネスパーソンの平日1日あたりの平均勉強時間は、たったの10分。ほとんどの人が練習をせずに毎日試合に臨んでいるのです。しかも、1日平均8時間は働いていますから、10分の練習で8時間の試合をしているようなもの。これでは、どんどんレベルが落ちていくだけです。
逆に言えば、インプットすることで仕事の能力は年齢に関係なく上昇していきます。
4章構成で「新たな人生」を踏み出すためのヒントが満載!