【50代のお金プラン】定年後、いつまで働く?/一生お金に困らない(11)

将来の不安を感じさせる「お金」の問題。そんなお金に人生を振り回されないためには、「知恵が必要」だと経済コラムニストの大江英樹さんはいいます。そこで、大手証券会社で長年にわたり個人の資産運用業務に携わってきた大江さんの著書『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』(すばる舎)から、将来の不安をなくせるお金に関する知恵と備えるべき年代別ポイントを連載形式でお届けします。

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50代は「備える時代」

50代でやるべきことは"備える"ことです。

一体何に備えるのか?

言うまでもなくこれは「定年後」に備えるということを意味します。

ベストセラーになっている『ライフ・シフト』(*1)によれば、生涯を通じて何度でもシフトチェンジをすべきなので定年が必ずしも大きな転換点ではない、という考えかたもあります。

(*1) リンダ グラットン・アンドリュー スコット『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』東洋経済新報社(2016年)

しかしながら、現実には多くのサラリーマンにとって、「定年」というのは一大事であり、人生における大きな節目となることは間違いありません。

ただ、「定年」を必ずしも後ろ向きに捉えるのではなく、「ようやく自由を手に入れることができたのだ」と前向きに考え、その楽しみのための準備をすると考えるべきです。

そこで、定年までの期間が10年を切った50代に入った段階で準備しておくことについてお話しましょう。

定年後の仕事に備える

「え!定年後も働くの?」と思われるかもしれませんが、平均寿命が80代後半という時代においては、60歳ですべての仕事を引退してしまうというのは非常にもったいない気がします。

もちろん人生はさまざまですから、60歳で完全に仕事を引退し、そこからの人生は趣味やボランティア活動に勤しむ、という生きかたも良いと思います。

しかしながら、働くことでいくばくかの収入を得ることもできますし、何より、少しの緊張感を持って働き続けるというのは健康の面を考えても良いことです。

ただ、定年後も働こうということであれば、いくつかの準備をしておく必要があります。

(1)70歳まで働くプラン作り

なぜ、70歳なのか、というと前節でお話したように、年金受給を70歳まで繰り下げることによって受給額が大幅に増額されるからです。

お金の専門家「副業はやるべき!」・・・どうして?

高年齢者雇用安定法が2013年に改正されたことによって、現在では60歳で定年を迎えても希望すれば、ほとんどの場合は65歳まで継続して会社に残って働けるようになっています。

また2020年には70歳までの雇用が企業に努力義務となりました。

ただ、これは努力義務ですから、今後70歳まで会社に残って働ける企業は増えていくだろうと思われますが、当面は必ずしも70歳まで働けることが保証されたわけではありません。

それにいくら70歳まで会社で働き続けることができると言っても、ずっと同じ会社で働き続けるよりも気分を変えて、あるいは自分がやりたいと思っていた仕事にチャレンジするということも考えるべきです。

そのために70歳まで働くためのプラン作りを自分で考えてみてはどうでしょうか。

(2)人脈を作る

私は60歳の定年を機に会社を離れて独立しましたが、サラリーマン時代には仕事が苦行であったものが、独立して自営になった途端、仕事は楽しみに変わりました。

それは当然で、自分がやりたいことをやっているからです。

ところが多くの人は「自分のやりたいことをやれ、と言われても自分が何をやりたいのかがわからない」と言います。

なぜ、そんなふうに思うかと言えば、それは「サラリーマンは上から指示されて仕事をする」ということが染み付いているからです。

どんな仕事であれ、一つの仕事を5年なり10年なり続けてやっていれば、その道の立派なプロです。

ところが多くの人は「自分に何ができるのか」あるいは「自分にはどんな仕事が向いているか」がなかなかわかりません。

キャリアコンサルタントの人などはよく「自分の能力の棚卸しをしなさい」と言いますが、そんなこと、自分ではなかなかできるわけがないのです。

私の経験から言うと、自分で自分の能力を把握するのはかなり難しい。

ではどうすれば良いかというと、自分の得意分野を人から教えてもらうのです。

逆のことを考えてください。

あなたの親しい友達や会社の上司や同僚であれば、彼らや彼女らは一体何が得意かということはよくわかるでしょう。

したがって会社以外での人とのつながりを作ることは、自分の能力、自分にできることを指摘してもらうという意味で、とても有益なことです。

私が会社以外の人脈作りを始めたのは定年になった後でしたが、できるなら50代から始めておきたいものです。

定年後の生活に備える

定年後もできる限り仕事はやったほうが良いと私は思っていますが、こればかりは人それぞれです。

別に仕事はしなくても趣味や地域での活動、あるいはボランティアとか生涯学習など、定年後の自分の居場所を作る方法はさまざまです。

もちろんお金の面だけを考えれば働いたほうが良いに決まっていますが、それでも自分のやりたいことを優先したほうが良いでしょう。

ところが、ここでも「何をやりたいのか自分ではわからない」という"わからない病"の人が出てきます。

趣味も特になければ、ボランティア活動もやったことがない、だから何をすれば良いかわからない、という人達です。

でももしそうなのだとしたら、何でも良いからまずはやってみれば良いのです。

やりもしないで「何をやって良いかわからない」などと言っていては、いつまで経っても何もできるはずがありません。

結果として寂しい定年後を送ることになりかねないのです。

とにかく自分で思い付いたことや気になったことをやってみれば良いのです。

やってみて自分に合わなければやめれば良いのです。

何も無理をする必要はありません。

時間はいくらでもありますし、誰にも邪魔されることはありません。

それに趣味やボランティアの集まりに参加することで、それまで出会うことのなかった人達との人脈が生まれます。

そんな中から思いがけない仕事につながることもあるのです。

実際に私が起業した後、しばらくはほとんど仕事がなかったのに、2〜3年目ぐらいから少しずつ仕事がやってくるようになったのは、趣味の集まりに顔を出しているうちにつながった人達からの依頼がきっかけでした。

人生というのはどこでどんなきっかけで新しい生活が始まるのか、わからないものです。

定年を迎える前の50代から、定年後の生活に備えるため、さまざまなことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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【まとめ読み】「一生お金で困らない」記事リスト

165-c.jpg前半3章でお金に対する考え方や知識を、後半3章で実際のお金をどう扱うかの具体的な年代別戦略モデルを資産運用のプロが徹底解説しています

 

大江英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表。CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプラニング技能士。大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金法が施行される前から確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。主な著書に『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版)『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などある。

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『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』

(大江英樹/すばる舎)

お金の持つ本質的な意味と、働き始めてから定年後までの年代別対策法など、「一生もののお金の知識」が身に付く一冊。公的年金と社会保険の真実や、今の生活、老後に必要な具体的な金額もわかります! お金の大原則を知ることができれば、将来の不安は解消されるはずです。

※この記事は『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごし方』(大江英樹/すばる舎)からの抜粋です。

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