発生確率100%のリスク「相続」とは/法律のプロと相続を考える

pixta_18348753_S.jpg「相続」とは、法律のことでも、税金のことでも、一部のお金持ちが心配することでもありません。「人間の思い込みと感情」がぶつかり合う場です。

そんな相続の現場で起きていること、考えなければならないことを、相続、遺言、家族信託支援を専門にする司法書士・青木郷が、実際に事務所で経験した事例も交えながら、全13回にわたって解説していきます。

第2回目の今回は、「相続は将来、必ず発生するリスク」であることをご紹介します。

第1回目の記事はこちら→「あなたの知らない「相続」の世界」


【人は必ずいつか死ぬ】

突然ですが、みなさんの中で
「僕(私)は絶対に死にません!!」
こんなふうに断言できる人はいるでしょうか?

ドラマの中でこのように断言する人はいるかもしれませんが、現実の世界では、残念ながらいまのところ人は100%死にます。それは50年後かもしれないし、5分後かもしれません。いつその時が訪れるかは予知できませんが、死が訪れることだけは確定しています。

【相続により発生するリスクとは】

「何を当たり前のことを言っているんだ」と思っていますか? 相続とは、「人の死」が原因となって始まるものです。そして相続の世界では、人が亡くなったあとに残された相続人たちが、自分や他の相続人たちの感情、法律上の手続き、お金の問題等々、様々な問題と向き合うことになります。亡くなった人との時間の積み重ね次第では、最も厄介な相続人同士による「感情的な争い」に突入する可能性もあります。

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また、相続が発生すると預貯金等の金融資産は、原則的に全相続人の同意がない限りは凍結され、一切引き出すことはできなくなります。土地や建物についても相続人が売却しようと思っても、亡くなった人の名義から相続人の名義に変更しない限りは、実質売ることはできません。

相続税の申告については、亡くなった時から10か月以内に、原則的に現金一括で納めなくてはなりません。借金が多い場合は相続を放棄することができますが、この手続きは亡くなったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に対して一定の手続きを行わなければなりません。

このように、感情的な争いになるリスク、財産に応じて各種の手続きをしなければ凍結されてしまうリスク、期限がある手続きが同時かつ複数発生するリスクと、各種のリスクをはらんでいるのが「相続」という現象になるのです。

【相続というリスクについて備えることを常識にしよう】

pixta_36078164_S.jpgそんなリスクに対して、残される相続人たちが困らないようにするための手段は講じているでしょうか。一家の大黒柱を失ったときのための生活保障としての生命保険や、病気やけがに対する医療保険、モノが壊れたり誰かを怪我させてしまったときのための損害保険などなど、このような各種保険について考えることは、いまや常識になりました。「相続」というリスクに対しても、保険と同じように考えることを常識にしていくのはどうでしょうか。

・感情的な争いを事前に防止するために、いまから家族でしっかりとコミュニケーションを取っておく。
・どこにどんな財産があるのか把握して、まとめておく。
・すべての相続人の同意が得られるまで、財産が凍結されてしまうリスクを回避するために、公正証書遺言を作成しておく。
・相続が発生した際にやるべき手続きを、事前に調べてまとめておく。
・どのくらいの相続税がかかる可能性があるのか、事前に試算しておく。

いまからできる相続に対するリスクマネジメントは、たくさんあります。「相続=100%発生するリスク」であると認識して、ご家族のために動いてみませんか?

プロフィール写真.jpg青木郷(あおき・ごう)

司法書士・行政書士・家族信託専門士・家族信託コーディネーター。開業当初より、相続、遺言、家族信託に特化した業務展開を行ってきており家族信託組成支援を含む相続・承継の支援を行った家族は300世帯を超える。複雑で難解な相続手続きを明快に整理したうえで支援、またそのご家族に合った相続・承継対策を一緒に作り上げている。遺言書作成や家族信託組成支援については、お客様の希望や想いを丁寧にヒアリングしたうえで、税理士、不動産コンサルタント等と連携して支援を行っている。共著に『ファイナンシャルプランナーのための相続⼊⾨』(近代セールス社)、執筆・監修に『わかさ11⽉号 保存版別冊付録【⽼い⽀度⼿帳】』(わかさ出版)がある。

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