母に遺言を書かせるようで気が引けたけど...兄の死をきっかけに考えた生前分与

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ペンネーム:こみく母
性別:女
年齢:58
プロフィール:私は既婚者で子どもが2人います。あることを機に、母と妹と生前分与を考えることにしました。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

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私は既婚者で、子どもが2人います。先日、離れて暮らす兄が病気で亡くなりました。県外の実家には母と妹がいますが、兄の住んでいる場所からは遠く、母も高齢であるため、病院の手続き・葬儀・遺品整理などは私が行いました。

実の妹である私も結婚し、姓が異なるため、手続きに必要なものが多く、母の委任状や市役所での必要書類、証明書の用意など、手続きにとても時間がかかりました。このことを機に母と妹と生前分与を考えることになりました。

生前分与は、相続税対策や遺産分割対策などの理由で行なう場合がほとんどだと思います。私の場合は、兄の手続きに多くの時間と手間がかかり、この手間をなるべく減らしておきたいということ、母が高齢でアルツハイマー型認知症であることを理由に生前分与を行ないたいと考えました。

家族間で生前分与を行なう場合、「あげる」「もらう」という口約束や実際に贈与税がかからない程度の財産を渡してしまうことも多いです。しかし、私の場合は、母の認知症の症状を考え、贈与契約書を作成することにしました。贈与契約書には贈与者である母、受贈者である私と妹の住所・氏名・印鑑を記載しました。現金以外の財産がないため、贈与契約書には現金と金額を記載。相続の専門家には依頼しませんでした。

 

私自身も歳を重ね、母が高齢なことも理解していました。ですが、母の現状や相続税対策を考慮した生前分与だと分かっていても、贈与契約書を作る際はまるで遺言書を作成しているような気持ちになり、母にお願いするときはなんとも言えない気持ちでした。家族間だからこそ、その先の死を実感するような手続きを行ないたくない気持ちになりますが、それでも贈与契約書は第三者にもしっかり内容を理解してもらえる最善の方法だと思います。

私自身、いつなにが起きてもおかしくありません。母の相続のあとには、自分から子どもたちへの相続があるのです。「自分はまだ大丈夫」という気持ちはありますが、兄の死やアルツハイマー型認知症で朝のことも忘れてしまう母を見ていると、意地を張らずに、相続について子どもたちと話をしたいと思うようになりました。

生前分与は、現金の金額や不動産の有無などにより贈与税がかかる場合もあります。また、子どもに内緒で名義預金をつくってしまう場合もあります。親心として、子どもにどのようにモノを残していけるのか、受け継いでもらうのか、考えなければならないと感じています。子どもが苦労しないように、相続させてあげたいですが、その方法は家々や家庭環境によってベストが異なります。子どもたちと話し合い、私のベストを探したいと思いました。

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