人生100年時代になり、お金の不安も増え知識が必要になりました。「貯金はマラソンと同じ。全力疾走では長続きしません」。そう語るのは、ファイナンシャル・プランナーの飯村久美さん。その著書『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』より、お金を貯める心構えや考え方、コツをご紹介します。
ビールは「箱買い」しない
安くても消費量は2倍に増える
多くの人がまとめ買いをするのは、平日は仕事で忙しいので、週末に1回買い物するだけなら手間が省けて、節約できた気分になれるからでしょう。
その際にやりがちなのが、晩酌用のビールを箱買いすることです。
自宅で飲むことが増えた昨今、さらに箱買いしている人が多くなっているのではないでしょうか。
その習慣、実はお得ではありません。
1本あたり数十円安いので、「1箱で数百円も得した!」と思うでしょう。
実際そうなんですが、そのせいで消費量が格段に増えてしまうところが、箱買い、まとめ買いの盲点なのです。
あると思うと、ついつい進んでしまうのがお菓子やアルコール類の嗜好品です。
甘味やアルコールをとると脳が快感を覚えます。
この快感を覚えるメカニズムは、なんと麻薬中毒と同じなのです。
そのため、甘いものもアルコールも、体がもうこれ以上必要がないというサインを出しても、脳がそのブレーキを解除してしまうのです。
ダイエット中の人が、ときどき甘いものを猛烈に食べてしまうことや、じゅうぶんに酔っている人がビールをおかわりしてしまうのは、依存性があるからです。
ビールを箱買いするようになってから、休肝日がつくれなくなったという話をよく耳にします。
1日1本を守れる人はいいのですが、「今日は大変だったからもう1本飲もう」と増えていった結果、消費量は2倍になってしまうのです。
ですので、お菓子やビールが欲しくなったら、その都度必要な分だけ買うことをオススメします。
もう少し飲みたいと思っても、わざわざ外に買いに行く手間を考えると、それが抑止力になるのです。
その結果、おなかも出費もおさえられます。
そもそもビールは、原価は安いものの酒税があるため、メーカーや小売店にとって利幅の少ない商品です。
なので、利益を生むには数を売らなくてはなりません。
数を売るには、酔いという作用をもたらすビールは格好の商品で、お酒が好きな人にたくさん買ってもらえるようお得感を訴えれば、乗ってくれるお客さんがたくさんいるのです。
お酒のほか、ジュース、チョコレートやスナック菓子といった嗜好品、それから肉や野菜といった生鮮食品も、安いからといってまとめ買いするのはオススメできません。
買ったことを忘れて冷蔵庫に入れたままにしていると、腐らせたりするからです。
お金と健康を大切にしたかったら、その都度買いをぜひ実践してください。
ついつい買ってしまわなければ、ムダがなくなる
でも、すべての買いだめがいけないとはいいません。
トイレットペーパーやシャンプーなど、いざというときにないと困るもの、あっても腐らないもの、消費のスピードが一定のものに関してはOKです。
防災用品などもあらかじめ買っておいてもいいものだと思います。
ただし、置き場もないくらい買いだめするのはやめましょう。
メーカーや小売店は、私たちの財布のひもをゆるめるために、ありとあらゆる戦略を考えています。
それは、私たちに「ダマされた!」と思わせないよう絶妙な方法で仕掛けてきます。
その際に狙われるのは、私たちが抱えている欲望やコンプレックス、不安やストレスといった心のスキマです。
ここをめがけてアナウンスしてくるのを理解したうえで上手につきあえれば、お金も貯まる賢い消費者になれるのです。
「今がチャンス」「全品3割引」の宣伝文句で買わない
チラシはお店に来てもらうためのまき餌である
ついムダな買い物をしてしまうのは、買いだめや箱買いによるものだけではありません。
「同じものなら、安く買いたい」という人間の心理をついてくる宣伝文句にも注意が必要なのです。
ですので、食品や日用品の出費が多いという人には、チラシや広告を見るのをやめることをオススメします。
なぜなら、そういった人は、チラシにあるお買い得品を求めて買い物に行ったはずが、余計なものまで買っていることが多いからです。
つりにたとえると、私たちが獲物なら、チラシや広告はまき餌えのようなものです。
つり糸がたれているところまでおびき寄せるためにあるのです。
そのため、チラシには「全品3割引」「5時からタイムセールで半額」といった、私たちの胸が躍るような文言が巧みに並べられています。
店側からすればお店に来てもらえれば、しめしめという感じなのです。
それは、スーパーなどの店内には、私たちがつい買いたくなるような仕掛けが張り巡らされているからです。
スーパーは裏側から入ると浪費しない
そもそも、店内での行動経路を思い浮かべると、私たちはまさに回遊魚のような動きをしていることがわかります。
スーパーのほとんどが、お客の流れが左回りになるように設計されています。
心臓が左側にある人間にとって、左回りのほうが心地よく感じるためといわれているのです。
また、ほとんどのスーパーでは、メインの入り口付近に果物売り場があります。
そうなんです、スーパーの店頭に鮮やかな明るい色を配置することで、買う側の気持ちを高揚させるのです。
そのほうが、購買意欲が高まり、財布のひもがゆるむからなんです。
確かに、外観や店内が暗いスーパーを見たことがないでしょう。
また、ハンバーガーショップや牛丼店の看板は、みな色鮮やかです。
暗いよりも明るいほうが気分は乗ってきます。
店頭には果物のほか、お買い得品がこれでもかと積まれていることがありますが、それは、その商品をカゴに放り込むことで浪費スイッチが入るようになっているのです。
店側のいろいろな仕掛けにはめられているのが、私たちなのです。
そこで、提案です。
スーパーには裏側から入ってみましょう。
スーパーには出入り口が表側と裏側の2カ所ある場合が多いので、気分を高揚させる表側の入り口は避けるのです。
また、たくさんものが積めるカートではなく、カゴを両手に抱えて重みを感じながら店内を回りましょう。
たったそれだけのことで、これらのマジックに引っかからずに、買いたいものだけ買うことができるはずです。
さらに、あらかじめ必要なものをメモしてから、買い物に臨みましょう。
また、ご紹介した冷蔵庫の中の写真を撮って、それを見ながら必要なものだけ買うといったことも有効です。
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スーパーではお得なものを買うよりも、余計なものを買わないということを心がけること。
それがあとあと家計に効いてきます。
ぜひ覚えておいてください!
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ファイナンシャル・プランナーが「お金を増やす方法」を全6章にわたって説明してくれる