人生100年時代になり、お金の不安も増え知識が必要になりました。「貯金はマラソンと同じ。全力疾走では長続きしません」。そう語るのは、ファイナンシャル・プランナーの飯村久美さん。その著書『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』より、お金を貯める心構えや考え方、コツをご紹介します。
お金を貯めたければ「捨て上手」になりなさい
断捨離が「貯め体質」をつくる
部屋にものが少ない人ほど、ムダづかいをほとんどしていません。
だからこそ、お金がどんどん貯まっていって、心にもゆとりができます。
すると、好きなことだけにお金を注ぎ込めるのです。
以前、ものを思い切って捨てる「断捨離 」がブームになりました。
最近では、それがさらに進化して、必要最低限のものしか所有しないミニマリストという人たちに注目が集まっています。
その理由は、ミニマリスト=「お金も心も豊か」というイメージがあるからでしょう。
かつては家、車、別荘など、たくさんのものを所有していることが豊かさの象徴でした。
今ではその価値観も変わり、ものを持たないことが、おしゃれでカッコイイ時代になったのです。
とはいえ、実際はなかなか捨てられないのが、人間という生き物です。
でも、たった1回捨てるだけで、人生はガラッと変わるのです。
そんな例をご紹介しましょう。
知人から聞いたある男性の話です。
がらんとした広いワンルームに住む彼は、かつてはマンガやDVD、つり道具など、自分の趣味のものを収集する癖があり、足のふみ場もないくらい部屋が散らかっていたそうです。
当時、デザイン事務所で働いていた彼は、毎日深夜まで仕事をし、たまの休みにショップ巡りをしては買い物でストレスを発散していました。
もちろん、貯金なんかありません。
捨て上手になるとお金の不安も消えていく
しばらくして、体調を崩した彼はデザイン事務所をやめ、フリーのデザイナーとして自宅で仕事をすることにしました。
それをきっかけに、部屋に最低限のものしか置かない生活を始めたのです。
会社勤めのときは、苦労して集めたものを楽しむ時間なんてほとんどありませんでした。
そのため、思い切ってそれらを処分して、部屋にはベッドと冷蔵庫、パソコンだけしか置かないようにしたそうです。
あれほど執着していた数々のものをいざ手放しても、困ることはなにもなかったというのです。
使わないのであれば、ガラクタも同然です。
すると、お金がどんどん貯まっていって、フリーランスという不安定な立場でも、前よりもお金の心配が少なくなったといいます。
その理由は、ものが片づいたことでお金の大切さをより実感し、一切浪費しなくなったため。
さらに、仕事に集中できる環境で仕事の質・スピードが格段にアップし、ますます依頼が舞い込むようになったため。
極めつけは、今までもので満たされていた心が整理されたことで、今の自分にとって、なにが大切なことかがはっきりしたためだそうです。
必要最小限まで減らした道具で、仕事の合間につりを楽しむ余裕も生まれ、お金も気持ちもいっそう豊かになったといいます。
浪費癖のある人は浪費そのものよりも、その原因となっている自分の心と向き合うことで、お金の問題はきっと解決するはず。
その方法として、思い切って「ものを持たない人」を目指してください。
冷蔵庫やクローゼットの中の写真を撮る
冷蔵庫にあるものを、また買ってしまう人
「ものを持たない人」が、お金を持っているというお話をしました。
生活がシンプルになると、必要最低限のものしか買わなくなります。
すると、ムダづかいがなくなってお金は貯まっていくのです。
では、「ものを持ちすぎている人」は、どうしてお金が貯まらないのでしょうか。
まず、お金が貯まらない人は、自分の持ちものを管理できていません。
必要なものはあるのに、つい、ものを買ってしまうのです。
一方、お金が貯まる人は、自宅のクローゼット、冷蔵庫になにが入っているかをおおよそ把握しています。
ですので、すでに冷蔵庫にあるヨーグルトをまた買ってしまうなんて失敗はしません。
それだけの違いなのです。
そこで、ものを持ちすぎている人には、こんな方法が有効ではないでしょうか。
ついムダな買い物をしてしまうのは、「食品」「洋服」「雑貨」などです。
それらが収納されているところを、スマホなどで写真に撮って保存しておくのです。
そうすれば、いちいち頭の中で記憶しておく必要はありません。
買い物の前にその写真を見るだけで、必要なものがすぐにわかります。
最近では、冷蔵庫にある食材の写真を撮って賞味期限も管理できる「Pantry Photo」「Limiter」や、クローゼットの衣類を撮影して同じものや偏ったものを買わないようにチェックできる「XZ」「JUSCLO」などの便利なスマホアプリもあります。
こうした便利アプリを使って、自分の持ちものを管理する習慣が身につくと、不思議とものを買わなくなって、いらないものがどんどん捨てられます。
ムダなものに対する意識が高くなるのでしょう。
同じ光景でも、写真だとまったく違って見える
写真を撮ることで「ものを持たない人」になれた例があります。
28歳のある美容師の女性は、自分が撮った写真を日記風に見せる、「インスタグラム」を活用しました。
その女性はインスタグラムに、自分のクローゼットや小物入れの写真を定期的に載せました。
写真に撮ったクローゼットは実際に目で見るよりも、だいぶ印象が違って見えたそうです。
それを初めて見たとき、その雑然ぶりに「こんなに散らかっていたの」と驚いたとのこと。
インスタグラムは他人にも見られるので、それもよかったのかもしれません。
それをきっかけにきちんと整理して、いらないものを捨てるようにしたところ、コートやニット、シャツなどでビッシリと埋まっていたハンガー掛けには、今では数着しかないといいます。
洋服自体も3分の1にまで圧縮できたそうです。
それを見た友達からは、クローゼットが変わっていく様子が「面白い!」とほめられたといいます。
これまで買い物に費やしていた休みを有効に活用できるようにもなって、お金のムダもなくなっていったと聞きました。
まずは、ものでいっぱいのところを写真に撮ってみるところから始めましょう。
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ファイナンシャル・プランナーが「お金を増やす方法」を全6章にわたって説明してくれる