人生100年時代になり、お金の不安も増え知識が必要になりました。「貯金はマラソンと同じ。全力疾走では長続きしません」。そう語るのは、ファイナンシャル・プランナーの飯村久美さん。その著書『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』より、お金を貯める心構えや考え方、コツをご紹介します。
貯金はマラソンと同じ。全力疾走してはいけない
貯金とダイエットは似ている
節約もダイエットも、計算式は同じです。
〇節約【収入-支出=黒字(赤字)】
〇ダイエット【摂取カロリー-消費カロリー=体重増(体重減)】
計算式は単純でも、そう簡単にいかないのがこの2つの悩ましいところです。
でも、この2つを解決する答えは、ほぼ明らかになっています。
それは、「無理をしないこと」に尽きるのです。
つまり、ストイックにがんばらず、ストレスをためないこと。
貯金は人生のある一時のためのものではなく、老後を送るそのときまで必要になってくるものです。
スポーツにたとえるなら、マラソンと同じ。
多くの人が勘違いをしているのが、ここなのです。
貯金生活を始めると、「さあ、がんばるぞ」と短距離走のようなスタートダッシュをしてしまいがちです。
でも、マラソンで最初からそんなにがんばってしまえば、当然のように途中で息切れしてしまいます。
ストレスがかかる方法はほぼ失敗する
お金を貯めようとがんばるストレスでありがちなのがこれです。
〇お金を貯めるために、毎日家計簿をつける
〇日用品を1円でも安く買うために、遠方のお店まで行く
といったことが続くのは、根性がある人だけ。
運動部員のように、コツコツと練習を積み上げて得られる達成感に喜びを感じる人にとって、それは最適な方法です。
でも、それ以外の人がやると、途中でリタイアするはめになります。
そもそも、現代人がこのような細かいことをする余裕なんてほとんどないでしょう。
食事も買い物も切りつめた結果、ストレスでリバウンドする。
これが失敗のパターンです。
実際、私は相談者にまずは常識的な節約をすすめます。
でも、多くの人は途中で脱落してしまうのです。
であれば、手間がかからず、楽しくて疲れない方法を長く続けたほうが確実に貯まります。
本書を読んで、まずは「これなら自分に合っている」「面白そう」と感じるものを1つ始めましょう。
それをとりあえず1カ月続けてください。
貯金成功の鍵は、楽しく続けることです。
1つ、また1つとクリアしていくと、あなたの貯めるエンジンは回転数を上げていきます。
それがある一定のラインを超えると、マラソンランナーが走っているときに快感を覚える、「ランナーズハイ」のような現象が起こります。
要は、お金が貯まっていくことで気分がよくなっていくのです。
「セービングズハイ」と言ってもいいでしょうか。
お金を貯める際に最も大切なことは、気持ちに働きかけることなんです。
家計簿はつけない
つけただけではお金は貯まらない
節約の必須アイテムといえば、家計簿でしょう。
しかし、
〇つけるのがストレスになる
〇つけてもそんなに見ない
〇見ても反省しない
このうち1つでも当てはまれば、家計簿向きの人ではありません。
家計簿に向かない理由は3つあります。
1つめは、なんだかんだいって家計簿をつけるのは面倒だからです。
「あぁ、家計簿つけなくちゃ」「またつけ忘れちゃった」と、嫌々やっているのはとても窮屈です。
2、3日に1回つけている人はまだしも、ひどいと、2カ月分のレシートを引っ張りだして、ヒーヒーいいながらつけている、なんて人もいるのです。
それに、「こんなにがんばってつけてるんだから」と言い訳して"自分にごほうび"なんてやっていたら、なんのためにつけているのかわかりません。
2つめは、毎日欠かさずつけてはいても、「自分はちゃんとやっている」という事実に満足して終わってしまっているためです。
こういう人は見返すことがないので、家計簿をつけている意味がないといっていいでしょう。
なぜなら、家計簿は、つけたあとが肝心だからです。
前月、前々月、昨年同月と比べて、出費が増えているところはないか、着実に貯金できているか、といったことをくまなく見ていくことで、お金の流れを把握したり、対策を立てたりするものだからです。
3つめは、2つめに似ています。
つけた家計簿を見ても、「ふーん」とただ見ただけで、生かそうとしていないためです。
せっかくつけたのですから、家計の問題を解決するためには行動に移さないと、家計は改善しません。
決められた金額内なら、なにに使ってもいい
この3つのいずれかに該当する人に、私は「無理して家計簿をつけなくていいですよ」とお話します。
なぜなら、お金を貯める簡単な方法があるからです。
それを実践すれば、ストレスになるとわかっている家計簿をつけなくても、誰でもお金が増えていきます。
私は相談者に「小遣いは減らさないように」「できるだけ趣味はやめないでください」(後述)といっているのですが、その際、まず小遣いの金額を決めます。
たとえば、手取り収入20万円で貯金2万円、残りが生活費と小遣いで、それぞれ15万円と3万円とします。
要は小遣いを3万円以内に収められるなら、なにに使ってもOKということです。
これができれば、家計簿は不要といってもいいでしょう。
家計をしっかり把握したい人は、簡単に入力できて使いやすい家計簿アプリを利用してみてはいかがでしょうか。
初めて家計簿をつける人にオススメなのは、「マネーフォワード ME」。
レシート読み取り、銀行やクレジットカードとの連携、電子マネーの利用管理など万能型のアプリです。
家族間で家計簿を共有したい人向けなのは「家計簿Zaim」、レシート読み取り機能が優れている「レシーピ!」は操作がとてもシンプルです。
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ファイナンシャル・プランナーが「お金を増やす方法」を全6章にわたって説明してくれる