「親が認知症になってほしくない...」介護のことも考えて、そう思う人も多いでしょう。東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生は「認知症は予防できる病気で、何もしないのはもったいない」と言います。そこで藤田先生の著書『親をボケさせないために、今できる方法』(扶桑社)より、食事と生活の中での「認知症の予防策」についてご紹介します。
お酒は2杯までなら飲んでもらったほうがいい
鍋は冬の定番料理ですが、わが家では一年中、鍋をつつきます。
さまざまな食材を一緒にとれ、その汁には、ナイアシンなど認知症予防によい栄養素がたくさんしみ出してきています。
ただし、市販の鍋の素は使いません。
糖質の含有量が多いためです。
家族で鍋を囲んだら、お酒で乾杯したくなりますね。
認知症予防には、ビールや日本酒、缶チューハイなどは控えたいところ。
糖質を多く含むからです。
反対に、焼酎やウイスキー、辛口のワインは糖質の少ないお酒です。
最初の1杯は「とりあえずビール」という親には、ハイボールをつくってあげましょう。
キリリと冷えた強炭酸水でウイスキーを割ってあげるとよいと思います。
ただし、たまにビールを1~2杯飲む程度ならば、身体は十分に対応できます。
家族や友人と楽しくワイワイ飲むときには、私も大好きなビールで乾杯します。
ふだんの晩酌はハイボールや焼酎など糖質の少ないお酒にしておいて、人と一緒に楽しく飲むときには、好きなお酒で乾杯する。
こんなメリハリをつけた飲み方ができると、いちばんよいのでしょう。
最近の研究では、適度な飲酒は認知症の予防になるとわかってきました。
2018年に英国で発表された研究では、お酒をまったく飲まない人は、適度に飲酒する人より認知症のリスクが1・47倍になるという結果が報告されています。
お酒を飲むと血流がよくなるので、脳へ送られる血液も増えます。
また、ストレスを減らし、心身をリラックスさせてくれる効果も、認知症予防には大きいのです。
ただし、「適量」を超えて飲めば、認知症を起こすリスクを今度は高めることになります。
過度な飲酒は認知症のリスクを3倍にするという報告もあります。
多量のアルコールが脳を委縮させ、認知機能の低下を引き起こすためです。
では、「適量」とはどのくらいでしょうか。
簡単にいえば、飲んでも赤くならない人やお酒が好きな人は「2杯まで」。
種類によってアルコール度数は違ってきますが、ざっくりと「2杯までなら、脳を健康にするよ」といえば親もわかりやすいと思います。
【まとめ読み】『親をボケさせないために、今できる方法』記事リスト
高齢の親の認知症を予防する「具体的な59の方法」が、4章にわたって解説されています