ポイント欲しさに預金が激減!お得なスマホ決済の落とし穴

老後2000万円不足の問題を耳にして、すぐに貯蓄や投資を始めようとした人、ちょっと待って!何となく始めてしまうと、大きな失敗につながります。そこで、2万3000人の家計を再生したファイナンシャルプランナー・横山光昭さんの著書『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』(あさ出版)から、実際にあったお金の失敗エピソードを連載形式でお届け。動き出す前に、まずはお金の正しい知識を学びましょう。

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ポイント還元に踊らされ

近年、スマートフォンアプリによる決済の利用が急激に増えています。2018年は「LINE Pay」が「コード決済」を開始して利用者を増やしたのをはじめ、同年の12月には支払額の一部または全額相当を還元する「100億円あげちゃうキャンペーン」で華々しく「Pay Pay」が登場。「キャッシュレス元年」と騒がれたのも記憶に新しいところです。

ただ、そんなキャッシュレス化の波に乗って〝お得な生活〟を送ろうとしたものの、キャンペーンに踊らされて蓄えが激減してしまった人もいるようです。

●山口さん(37歳/男性)の場合......

「結局、いくら使ったのか、わからなくなってしまったんです」

山口さんは、独身の会社員。限られた収入を有効に使いたいと考え、キャッシュバックやポイントが付与されるキャッシュレス決済を積極的に活用していました。

しばらくは、利用額の2%のポイントがつく「LINE Pay」を愛用。コード決済利用でポイントが5%になってからは、コード決済も積極的に使っています。そして、「PayPay」もスタートと同時に使い始めました。スタート時には、全自動掃除機やベーカリー、そして炊飯器まで、合計20万円余りの買い物をしました。それだけでなくコンビニでも利用し、キャッシュバックの上限金額である25万円近くまで、何度か買い物をしたといいます。

ところがです。こんな生活を続けて迎えた年末、親に何か買ってプレゼントしようと考え、銀行でお金を引き出そうとしました。すると、思っていたほどの残高がありません。

ボーナスも入ったはずですし、毎月の給料の残りもあるはずなのに、思っていたより50万円も残高が少なかったのです。「ポイントやキャッシュバックでお得な生活を目指していたはずなのに......」と山口さんは慌てていました。なぜこうなってしまったのでしょうか。

キャッシュバック欲しさに無意味な買い物まで

現在、キャッシュレス化に向けて、さまざまなサービスが提供されています。ただ、日本のキャッシュレス決済の利用率は他国と比べてまだまだ低く、2015年時点で中国の利用率は60%前後に対し日本は20%程度、韓国にいたっては90%近くにも及びます。

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政府は、2020年までに利用率を40%まで引き上げようと、国を挙げてのキャッシュレス化の促進に努めている最中です(2019年3月現在)。

しかし、ポイント還元やキャッシュバックなどといったキャンペーンの言葉に、「絶対にお得だ、使わないともったいない」と踊らされ、深く考えずに使いまくると、思わぬ〝落とし穴〟が待っています。

というのも、ポイント還元やキャッシュバックを受けることが楽しくなり、買う必要のないものまで買ってしまうなど、サービスを受けることが〝目的化〟してしまう人が少なくないのです。

さらに、深みにはまってしまうと、サービスの種類が多様であることもあって、どのサービスをどれだけ使ったのか管理ができなくなってしまうといった人も。

山口さんも、ポイント還元やキャッシュバックを受けたいがあまり、余計な買い物をしていました。しかも、買った掃除機はほったらかし、ベーカリーも炊飯器も大して使っていませんでした。

こうなると、キャッシュバック狙いの支出は、もはや〝浪費〟でしかありません。相談時にも、「いくら使ったのかわからなかった」と反省していました。

山口さんは、これらのサービスを利用するに当たり、銀行口座とひもづけしていましたが、口座のお金が減ると、「買い物ができなくなるのではないか」と不安になり、補てんを繰り返していました。

これでは貯蓄が減っていって当たり前です。

たとえキャッシュレス決済が中心になっても、何にいくらを支払っているのかしっかり把握しておくことが必要です。

家計簿アプリなど、自分に適したアプリを1~2個選び、支出状況を把握しておきましょう。

今後、ますますキャッシュレス決済は増えていきます。キャンペーンに踊らされることなく、それぞれの特徴を冷静に見極め、お金を管理していきましょう。

【ここがざんねん】キャッシュレス決済が中心になると、支出の把握がしづらいうえに、ポイントなどに夢中になるとむだな支出まで増えてしまいます。スマホの家計簿アプリなどできちっと管理しましょう!

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横山光昭(よこやま・みつあき)

ファイナンシャルプランナー、家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。独自の家計再生プログラムで、抜本的解決、確実な再生を目指し、これまで2万3000人以上の家計を再生。個別の相談・指導で課題解決する活動は業界でも異端で、各種メディアへの執筆・講演も多数。

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『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』

(横山光昭/あさ出版)

世の中には「家計無頓着夫」「保険乗り換え貧乏妻」「教育費破綻夫婦」であふれてる!?「ウソでしょ?」と言いたくなる家計のやりくりや、「私も…」と悲しい共感をしてしまう投資の失敗まで、21の“残念なお金の話”がラインアップ。その対策から「正しいお金の増やし方」まで学べる家計の救済本です。

※この記事は『となりの家(うち)のざんねんなお金の話』(横山光昭/あさ出版)からの抜粋です。

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