「石の上にも三年」もはやナンセンス!人生100年時代を生き抜く働き方「トリプル・キャリア」のススメ

定年退職の後や年金受給の時期など、考えなければならないことが山ほどある「老後の暮らし」。哲学者・小川仁志さんは、これから訪れる「人生100年の時代」を楽しむには「時代に合わせて自分を変える必要がある」と言います。そんな小川さんの著書『人生100年時代の覚悟の決め方』(方丈社)から、老後を楽しく生きるためのヒントをご紹介。そろそろ「自分らしく生きること」について考えてみませんか?

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大杉潤さんが提唱する「トリプル・キャリア」とは

まずは働き方です。

『定年後不安』(角川新書)の著者大杉潤さんは、「トリプル・キャリア」という考え方を提唱しています。

大杉さんは、定年後の三大不安として、カネ、孤独、健康を挙げたうえで、それらを一気に解決する方法として、85歳まで現役で働くことをすすめています。

そのための方法がトリプル・キャリアなのです。

つまり三段階のキャリアを計画的に経ることです。

第一のキャリアは、会社員として「雇われる働き方」です。

これは多くの人が経験するものだと思います。次の第二のキャリアからが重要なのですが、まず遅くとも60歳の定年時から、あるいは50代後半から準備を始めるといいといいます。

ここではフリーランスなどの「雇われない働き方」をすすめています。

これに対して、第三のキャリアは、「理想の働き方」をすべきだといいます。

75歳前後の後期高齢者になる頃に、仕事内容、時間、場所、仲間などすべてについて自分の好きなものに絞り込み、自由に働くライフスタイルです。

たしかにこの第三のキャリアの部分がユニークだと思います。

ここからのキャリアは、これまでにはなかったものです。

人生100年時代だからこそ真剣に考えなければならない部分でしょう。

とはいえ、75歳以降、たとえば80代になってくると、さすがに第二のキャリア以前のような活躍をするのは難しくなってくるはずです。

そこで、最後は好きなことを無理なくやる形にすべきだというのです。

それを実現するために鍵を握るのが、実は第二のキャリアだといいます。

いわばこの段階で何をどうやるかが、第三のキャリアの準備になっているわけです。

合理性がなくなった「石の上にも三年」という発想

そう考えると、今後は最初のキャリアから100年を見越して、計画的にキャリアパスを経ていく必要があります。

最後に理想の働き方をし、生涯現役でいるために、長期的視点でキャリアを捉えなければならないのです。

とはいえ、長い人生何が起こるかわかりません。

長期的にキャリアを考えつつも、その都度修正をしていくことを余儀なくされるでしょう。

この修正の柔軟さも、人生100年時代のキャリアパスには重要な要素になってくるはずです。

常に長期的な展望を持ちつつ、それでいて柔軟に修正できる力。

それこそが100年という長い航海を無事に成功させるためのコツだといえます。

したがって政府や企業も、労働者が少なくとも三つのキャリアを経ることを念頭に置き、制度設計していく必要があるでしょう。

ちなみに、三つのキャリアが三つの仕事を指すとは限りません。

とりわけ第一キャリアの時点では、何度も転職をする人だっているでしょうから。

つまり、転職がしやすい風土や制度を作っていく必要があるということです。

転職というと、私の若い頃はマイナスイメージで捉えられました。

石の上にも三年といったアナクロニズムなお説教をしてくれる先輩や上司もいました。

しかし、自分がよりやりたいことをやるために、あるいは社会により貢献できることがあるときに、なぜ三年も待たなければならないのでしょうか。

そこにはまったく合理性はありません。

たしかに、ある仕事での忍耐力や基礎を身に付けるという意味では、それくらいの期間がいるということなのかもしれませんが、何も仕事で忍耐力を身に付ける必要はありませんし、基礎だって数か月で習得できる場合もあります。

三年で辞めるとか、一年ももたないとかいった言い方は、もう中学や高校の部活のノリでいっているとしか思えません。

ましてや雇用が流動化し、企業でさえ一年契約で社員を斬る時代に、どうしてこちら側が三年だとか数年同じところにいることを前提に働かなければならないのでしょうか。

人生100年時代ともなればその意義はますます薄れていきます。

なぜなら、転職によってキャリアチェンジしていくのが基本になるからです。

物事にはタイミングというものがあります。

変わることが原則になったときから、タイミングこそが最優先事項になってくるのです。

だから転職はフィーリングでやればいいと思います。

何度変わろうが何も問題ないのです。

いや、そういう人を問題視してはいけません。

それが当たり前と捉えるべきです。

その意味では、年度単位で書かせる履歴書も改める必要があるでしょう。

数か月で転職する人も増えてくるはずですから。

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117-H1.jpg哲学者が語る20の人生訓や新時代への考え方など、人生を豊かにしてくれる言葉が全5章にわたってつづられています

 

小川仁志(おがわ・ひとし)
1970年京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。大学で新しいグローバル教育を牽引するかたわら、「哲学カフェ」を主宰する。NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」に指南役として出演。最近はビジネス向けの哲学研修も多く手掛けている。

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『人生100年時代の覚悟の決め方』

(小川仁志/方丈社)

現在40歳の人の平均余命は残り44年。人生もう1回分あるのが今の時代です。これまでの価値観や方法は通用しないかもしれません。時代の変化に合わせて、自分を変えて、老後や余生を自然体で生きれるように。これからの人生を準備するための一冊です。

※この記事は『人生100年時代の覚悟の決め方』(小川仁志/方丈社)からの抜粋です。

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