一時金は?加算金は?夫に先立たれた場合の「年金」基礎知識

私たちの社会の年金制度はどこへ向かっているのでしょうか。10月からは消費税も増税されます。限られた年金の中で、心に豊かさを感じて暮らすにはどうすればいいのでしょうか。社会保険労務士、年金アドバイザーの清水典子さんに、「夫に先立たれた妻の年金」についてお聞きしました。

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妻の年齢で年金が変わります

夫に先立たれた妻が一定の条件を満たした場合には、遺族年金を受け取れます。

夫が自営業などで国民年金に加入していたにもかかわらず、一度も年金を受け取らずに亡くなった場合には、寡婦年金か死亡一時金を受け取れる可能性があります。

寡婦年金は妻が60歳から65歳になるまでの5年間。自分の年金が受け取れる期間と重複する場合には、どちらか多い方を選びます。死亡一時金と自分の年金は併せて受給できます。

一方で夫が会社員などで厚生年金に加入中または加入していた場合には遺族厚生年金が受け取れます。

ただし、妻が65歳未満か65歳以上かで異なります(下図参照)。

遺族厚生年金は、夫が受給していた額の4分の3が基本額となり、一定の条件を満たすと加算金がつきます。妻に老齢厚生年金があるなら全額受け取り、遺族厚生年金の方が多ければ差額を遺族厚生年金として受け取ります。

夫が亡くなったとき妻が受け取れる年金は?

●夫が国民年金の場合

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●夫が厚生年金の場合

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●夫が亡くなったとき妻の年齢が65歳未満の場合(加算金がつく場合)

妻が65歳になるまでは遺族厚生年金と中高齢寡婦加算(年額約60万円)が受け取れます。妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受け取れるので中高齢寡婦加算はなくなります。経過的寡婦加算は妻の年齢によって変わります。

●夫が亡くなったとき 妻の年齢が65歳以上の場合

65歳以上の妻は夫の生存中、振替加算と自分の老齢基礎年金を受け取っています。振替加算は年金額が低い配偶者のためのもので金額は生年月日によって異なります。その後、夫が亡くなると遺族厚生年金と経過的寡婦加算が加わります。

相談は「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165)または各地域の年金事務所へ

取材・文/向山 勇

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<教えてくれたのは>

清水典子(しみず・のりこ)さん

社会保険労務士、年金アドバイザー。「オフィス・椿」所長。年金分野に特化した社会保険労務士として2万件超の年金請求等の実績を持つ。「障害ねんきん相談室」を開設し代理請求に取り組む。監修した書籍に『図解 いちばん親切な年金の本 19-20年版』など。

この記事は『毎日が発見』2019年9月号に掲載の情報です。

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