<この体験記を書いた人>
ペンネーム:mamapanda
性別:女
年齢:46
プロフィール:老化で毎日変化していく父(85歳)にどう接すれば良いかを毎日考えている主婦です。
最近、父(85歳)がとても音に対して敏感になっていることに気付きました。普段、テレビを見るときはいつも大音量で、電話でも大声で話しているので、耳が遠くなっただけだと思っていたのです。ところがある日、私が洗い物の途中でうっかり手を滑らせて、金属のボウルを落としてしまった時、その瞬間ものすごい大声で、「何してる! 変な音させるな!」と父が怒鳴ってきました。年をとり短気になったと言っても、そんな大声で父が怒ることは無いので、私は飛び上がるほど驚きました。金属音は誰でも嫌なものだからしょうがないけれど、そんなに怒ることないのに、と心の中で父に文句を言っていました。
ところが別の日、空のペットボトルがテーブルから落ちたときも同じように父が突然「うるさい! 変な音させるな! 馬鹿野郎!」と怒鳴ってきたのです。明らかに、音に異常な程反応しているのが分かりました。
調べてみると、それは老化の一つで、自分が聞き慣れない音がすると何が起こっているのか理解できず、異常に不安になったり心配になったりするそうです。確かに、いずれも父が聞き慣れない音でした。よくよく考えてみると、家族が集まり、皆が一斉に喋り出すときも急に「黙れ!」と怒り出します。単にお喋りがうるさいと怒っているのかと思っていましたが、誰が何を話しているのか、そのスピードに付いていけないので理解できず、ただの雑音になり不愉快なようです。普段は一人暮らしをしている父にとって、一斉に聞こえる声は聞き慣れない音なのでしょう。会話に入れるようにゆっくりと、父にも「そうだよね」「どう思う?」などと話しかけたりすると、父も相槌を打ちながら会話に参加し、ご機嫌もすぐに直ります。
こうした発見が毎日あり、父にとって暮らし辛いことが増えていっていると感じます。そして同時に、心配も増えていきます。毎日自転車に乗って出かける父が、途中何かの大きな聞き慣れない音にあって驚いて転倒しないか、怒りを通り越してパニックにならないか、などです。でも、そんな万が一の為に、父を家にこもりっきりにさせる訳にもいきません。私達がいつもそばに居ればいいのですが、そういう訳にもいきません。
最近、近所の鉄橋の上を列車が走りすぎる音を聞いて、「なんだ、あの音は!」と言い出しました。毎日聞いているはずの音ですが、風の向きで大きく聞こえたのか、たまたま周りが静かになったのか、何の拍子か分かりませんが、その音が耳につき、気になったのでしょう。いつもの鉄橋の音だよと言っても、聞いたことが無いと言います。また、先日、私がお風呂に入っている時に「なんだ、あの音は!」と怒りながら突然扉を開けられたときは、真っ裸のこっちの方がビックリしてしまいました。
きっと父も、聞き慣れないと思う音を耳にすることが毎日増えてきているのでしょう。その度に不安を感じ葛藤している父を思うと可哀そうでたまりません。そして、それを防ぎようもない無い私達も、毎日不安と心配が尽きません。でも、調子の良い時と悪い時の差があるので、なるべく調子良く過ごしてもらうように、いつも明るくニコニコと対応するよう心がけている日々です。
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