お嫁さんの料理を「犬の餌みたい」と言い放った母。実は認知症が始まっていた

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ペンネーム:つくね
性別:女
年齢:54
プロフィール:私のうちから実家まで車で1時間。毎週土日は実家に帰っていました。そんな距離でも、認知症の母には悩みました。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

これは、うちの実家の母が認知症になり始めた頃のお話です。私の母は元々口が悪くヒステリックで、何か気に入らないことがあるとカッとなって攻撃的になる人でした。なので、一体いつから認知症になっていたのかは定かではありません。ですが、気づいた時には自分の言動にブレーキをかけられない精神状態になっていたのです。

まだ家族が母の認知症に気付いていない頃、実家に帰るたびに母の意地の悪さが気になる時期がありました。例えば、私が口紅を塗っているだけで「何、そんな色塗って。いやらしいわね」と言うのです。私は長い間口紅を変えたことがなく、ごく普通の薄い色を塗っていたので、母がその色を気にすること、その言い方に、妙な違和感を感じました。

まだ園児だった娘の服を「ホームレスみたい」だと貶し、意地の悪さは日に日にエスカレート。そんな時に、二世帯住宅で暮らしていた兄のお嫁さんに呼ばれ、二人で話をすることになったのです。

お嫁さんは、両親ともっと親しくなろうとお料理をたくさん作って、もてなしてくれたことがあったそう。姑に出す食事だからと随分頑張って料理をしたそうなのですが、母はその食卓を見るなり「犬の餌みたいね」と言ったらしく、お嫁さんは「このままだとお義母さんのこと嫌いになりそう」だと相談してきました。

私だけならまだしも、お嫁さんにまでそんな仕打ちをするだなんて、何とか解決しなければならないと思った私は、母が何か意地の悪いことを言うたびに「自分で何言ってるか理解できてる?」と問い詰めるようになりました。

そして年末の大掃除のころ、たまには実家の冷蔵庫を掃除しようと思って片づけていたのですが、その冷蔵庫を見て、ようやく私は母が認知症であることに気付くことができました。

それは、冷蔵庫の至る所からチューブのワサビが出てきたからです。その数30個以上。冷蔵庫のドリンク用ポケットや卵入れ、野菜室、冷凍庫などからどんどん出てきました。消費期限が2年以上前に切れているものや、ちょっと使っただけのものなど様々です。
そのワサビを集めながら、母の言動が認知症によるものだと理解できました。認知症によって、元々持っていた意地の悪さが、まるでストッパーが外れたかのように強烈になっていったのでしょう。

母が認知症なのだと感じるようになると、母のおかしな行動が見えてくるようになりました。

外出先の駐車場で、車の陰に隠れて用を足していたり、まったく知らない人を後ろから指さして、「この人男かしら、女かしら」と大きな声で私に聞いてきたり。それまでなぜ母のそんな姿から認知症に気づかなかったのかと、不思議になるほどでした。

その後は内科の担当医と事前に相談して、内科の診察日に精神科を受診するように母を説得してもらい、その場で予約を入れて頂きました。そして、母が自分の言動を自覚できるように接し方も改めていき、母がそれ以上悪化しないようにと、家族で話合いを重ねていきました。

精神科は予約がいっぱいで、初診は1カ月先。結局は精神科を受診する前に母が脳疾患で倒れ、言葉も話せない状態になってしまいましたが、それまでの間は喧嘩にならないように気を付けながら、母が意地悪なことを言うたびに、その言動の自覚を促していきました。

母自身はなかなか理解できないでいましたが、理性がコントロールできないというのが認知症の症状の一つだと説明すると、認知症になることを恐れていた母も少しは話を聞いてくれるようでした。私は、母が何か言うごとに「今のお母さんの言葉は、認知症の症状なんだよ」と言い続けました。

私が注意するごとに、母は数時間の間、言葉に気を付けてくれるふしがあり、兄夫婦と協力して母の自覚を促すように続けました。母のストレスを考えるとそれはいい方法だとは言えませんが、母が言葉を選んでくれるようにするにはそれしかなかったのです。

もしも精神科を受診出来ていれば薬を使用できたので、よりいい方法があったのでしょう。今はどこの精神科も予約が難しいので、気付いたら早めに受診することが最善の方法だとわかりました。今更ながら私たち家族も、「もっと早く精神科に連れて行けば良かった」と、後悔しています。

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