俺は死ぬまでこの家に住む――認知症の父をいつまで一人暮らしさせるのか悩む日々

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:mamapanda
性別:女
年齢:46
プロフィール:遠方に一人で暮らす父の家に通う為、いかに新幹線を安く、便利に使うかを日々研究している主婦です。

俺は死ぬまでこの家に住む――認知症の父をいつまで一人暮らしさせるのか悩む日々 15.jpg

父(85歳)は認知症と診断されてからもう何年も経ちますが、今でも一人暮らしをしています。どんどん物忘れが酷くなっていますが、自分でもそれを自覚していて、こまめにスケジュール帳に予定を書き込み、毎日何回もことあるごとにそれをチェックするようにしています。運動も心がけ、毎朝マンションの方々とラジオ体操をし、趣味である音楽のイベント等があれば積極的に出かけているので、スケジュール帳を見れば、私よりもよっぽど忙しい予定を毎日こなしている父。同窓会も一人で新幹線に乗って参加し、ホテルに宿泊してきます。

夜お酒を飲んだ後もちゃんと家まで帰ってきたり、知らないホテルの部屋まで戻って来られるのが不思議......と思っていたのですが、調子の良いときと悪いときがあるようで、悪いときにはついさっき食事をしたことも、何を食べたかも忘れてしまうこともあるそうです。先日など、毎日通っているマンションの玄関のオートロックの開け方が分からなくなり、管理人の方にご迷惑をお掛けしてしまいました。

こうなると、いつまで一人暮らしをさせておいていいものか、悩みます。でも、母と暮らしたこの家を父は絶対に出たくない、と言うのです。私達もそれぞれの家庭の事情があり、今は引っ越して同居することが出来ません。頻繁に様子を見に行ってはいるものの、倒れてはいないか、ちゃんと食事はしているか、と毎日心配は絶えません。

けれど、テレビなどでは、老人は一人暮らしをしているほうがボケにくい、ということも言っています。確かに、父と同年代でお子様と同居している方の話を聞くと、全て家族が何でもやってあげる為、自分では全く何も積極的にせず、無関心、無気力になり、余計に認知症がどんどん進む、と聞きました。そんな方の様子を聞くと、今の父はよっぽど元気で、毎日楽しんでいます。父の認知症を進行させない為にもなるべく長く一人暮らしをさせておいたほうが良いのか......、でもきっと寂しいだろうし......と私達も堂々巡りです。きっと私の心のどこかに、父はいつまでも今の明るく元気な姿のままでいて欲しい、という願いがあって、これが決められない理由の一つだと思います。

ケアマネージャーやヘルパーさん、ラジオ体操仲間の方々は、何かあれば私達に連絡してくださいます。かかりつけの先生には、まだなんとか大丈夫、と言われています。今は周りの皆様の理解とご協力で支えられています。けれども、次に倒れたり怪我をしたりと何かあれば、それがきっときっかけになるのだろう、と覚悟もしています。それが明日なのか、1年先なのか、は私達にもわかりません。

父は「俺は死ぬまでこの家に住むからな」と口癖のように言います。そんなとき、私達は「いつまででも住んでいていいよ。でも、その為には元気でしっかりしていてくれないとダメだよ」と父へのエールとして毎回返事をしています。

関連記事:認知症のタイプは大きく分けて5種類。もしかして?と思ったら早めの受診を

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP