<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ちもちも
性別:女
年齢:52
プロフィール:子育てはほぼ修了。勝手気ままに暮らしたい海外旅行大好き主婦。
仕事先で月に1〜2回顔を合わせるA子(35歳)は酒豪でした。わたしもお酒は大好きなので、共通の友人を介して3人で飲み会を企画、実現したのが2年前のことです。
当日少し遅れて来たA子。席に着くなり「財布を忘れてきて、ATMでお金をおろせなかった〜」。もう1人の友人と顔を見あわすも、仕方ないので「大丈夫よ、出しとくから次返してね〜」と答え、飲み会は始まりました。
「いつものカバンと違うのを持ってきたから、中身を全部入れ換えてなくて〜」とわかったようなわからないような言い訳をA子はしていました。
電車に乗って来ているのに財布を忘れるとかあるかな、と思いつつもそのときは深くは考えませんでした。
その日は2軒ハシゴして、金額をグループLINEで送信して別れました。1人6000円強くらいでした。お酒が強いA子は、最後まで一番しっかりしていました。
それから1週間ほどたち、仕事先でA子と会いました。飲み会で一緒だった友人もその場にいたのですが、A子は屈託ない笑顔で「こないだは楽しかったね〜! また行こうね〜」と、立ち去りました。友人とわたしは顔を見合わせ「??」。「A子、忘れてるのかな? そんなに酔ってなかったと思うけど......」と不思議に思っていました。
まあ、また会うだろうしいいか、とそのときは軽く考えていたのです。
そしてしばらく経ってまたA子と会いました。
「久しぶり〜! 元気〜⁈」と手を取り合いながら、わたしは意を決して言いました。
「A子〜、もしかして飲み会のお金、忘れてなーい?」
はっとした顔のA子はうろたえながら
「あ〜〜! ごめ〜ん! 忘れてた〜! どうしよう〜、今度飲みに行ったとき絶対おごるからー!」
えっ⁉︎ 今返してくれるんじゃないの⁈ 今度って何? と思いつつも、悪気のなさそうなA子の態度にそれ以上言えず、釈然としない思いを抱きつつその場では別れました。
後に別の友人にその話をすると、「A子、わりとそういうの多いらしいよ」と言うではありませんか。
「そういうのって?」、「飲み代割り勘にして、あとで払うって言って延ばし延ばしにする、みたいなの。払った人もそんなに高額でもないし、日が経つうちにもういいか、ってなる」
えー、そうなのー⁈
確かに、その時点で3カ月くらい経っていて、一度ははっきり請求したからなんとなくもういいかな、って気にもなっていたのです。
そうこうするうちにまた飲み会の話が出ました。メンバーはあの日一緒に飲んだ友人とA子とA子の同僚と4人でした。友人と「やっと飲み代返してもらえるわ。今日わたし財布持って来てないから〜」と半分茶化して言っていました。
が、当日。A子は来ませんでした。正確には来られなかったのですが。
昨夜から北陸地方は大雪で在来線も止まっていました。その日会ったA子の同僚から聞いた話では、A子は仕事を辞めて実家へ帰っていたらしいのです。
この日はわざわざ出てくると言っていたのに、生憎の雪で来られなくなってしまったと......。
それからも「辞めたらしい」A子とは2〜3カ月に1度、忘れた頃に仕事先で顔を合わせます。
屈託なく「久しぶり〜」と笑う顔も相変わらずです。
お金を返してもらおうとはもう思ってないけれど、2年経ってもそしてこの先も忘れることはできないんだろうな、とモヤモヤ感が拭い去れないのでした。
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