白か黒かではなく"グレー"。「あいまいさ」を理解しようとする心が問われる時代に

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「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか? 
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。

前の記事「食事も! スポーツも! 歳を取るほど自分が接するもののレベルを上げていく/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(31)」はこちら。

あいまいさを理解しようと心がける

「知っていること」に価値が置かれがちだったこれまでと比べて、考えることが重視される世の中になりました。この傾向は今後もずっと継続すると考えられます。

それは仕事の現場だけでなく、居酒屋でもそうではないでしょうか。
いまはもう物知りの人がもてはやされる時代ではなく、おもしろい発想のできる人が注目される時代です。

今は情報が加速度的に増えている時代です。それによって人間が得る知識も急増しています。「認知的成熟度」が問われる時代になったといっていいでしょう。「認知的成熟度」は少し難しい言葉ですが、内容は簡単でたとえば、あいまいさに耐える能力、たとえば、白か黒以外のグレーを認められる能力のことを言います。

子どものころは具体的な概念しか理解できませんが、成長するにしたがって抽象的な概念もわかるようになります。これこそ認知的成熟度が増しているということです。

もう少し説明すれば、たとえば薬というものは少しの量を摂取するぶんには体によい影響を及ぼしますが、過度に摂取すると毒となります。

このようにどのくらいが適正かというあいまいな境界を理解するためには、認知的な成熟が必要というわけです。認知的成熟度の低い子どもは、それを理解できないので、親は子供の手の届かないところに薬をおきます。しかし、その成熟度が増してくれば、親はたくさん飲んではいけないと注意するだけですむでしょう。

別の観点で考えると、他人を見たときに敵か味方か、いい人か悪い人かを判断するとき、その人の一面だけでなく、多面的に見ることができるかどうかということです。

こうした認知成熟度に前頭葉の機能が関与しているかどうかは今のところわかっていませんが、私は十分関わっている可能性があると思っています。

もう少し大きく考えれば、これから先の時代は、「こんな説もある、あんな説もある」という多様性を認められることが重要です。

情報を仕入れるだけではこの認知的成熟度は上がりません。常に「そういう考えかたもあるのか」「本当にそれは事実だろうか」「おもしろい視点だな」と思う姿勢が、認知的成熟度を高めます。

物事を知っただけで満足せず、その裏にある制度や背景の考え方にまで考えを巡らせてみることが前頭葉の機能を高めることは十分考えられることです。

和田秀樹(わだ・ひでき) 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。

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『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』

(和田秀樹/KADOKAWA)

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この記事は書籍 『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』からの抜粋です
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